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ゲームがブラジルの次なる輸出品に?

Jason Johnson Freelance writer and editor

Horizon Zero Dawnのようなビッグタイトルに取り組むブラジルのゲーム開発スタジオに代表されるように、中南米のゲーム開発が勢いを増しています。

今年最もよく売れたゲームの 1 つ、Horizon Zero Dawnは、巨大なキラーロボットとの白熱した戦いでプレーヤーを熱狂させました。ゲームに登場するクロムめっきの恐竜は、もちろん中南米の一般的な輸出品ではありません。しかし、この堂々とした金属の怪物は紛れもないブラジル製です。

このロボットの 3D モデルの構築を担当したゲーム開発スタジオ Kokku 社の設立者で CEO のティアゴ・デ・フレイタス氏は、「ブラジル人は、国内でも本当に質の高いゲームを開発できることに気づき始めています」と語ります。

Horizon Zero Dawnが 2 月に出荷されるとまもなく、Kokku 社は、現代の人気ビデオゲームに取り組むブラジル初のゲーム開発スタジオとなりました。しかも、Kokku 社が最初で最後ではなさそうです。ブラジル中で、他の会社が同社に追随しようとしています。

ゲームの輸出を促進しようとするブラジル政府の奨励策のおかげで、ブラジルのゲーム開発者の未来は明るく見えます。

ゲームは作るものではなく遊ぶもの

このような展開は、今までは考えられなかったことです。それもそのはず、ブラジルは輸入税率の高さで有名な国であり、それゆえ、類似品や偽造品の文化が助長されてきたのです。

アーケードゲーム会社の Taito of Brazil 社が、法外な輸入税に直面し、アメリカのピンボール台の模造品を制作するようになったのは有名な話でしょう。Williams Electronics 社の伝説的な名機であるピンボール台 Black Knight は、模造メーカーの手で Cavaleiro Negro になったのです。

このような慣習から、ブラジルには、ゲームで遊ぶことはあっても作らない風土が根付いていたことが分かります。

「15 年前は、ゲーム開発者になりたければ、勉強して外国に行くしかありませんでした。国内にゲーム開発会社がなかったのです」と、ゲーム開発スタジオを対象としたブラジル・ゲーム・デベロッパー (BGD) 協会、Abragames で副会長を務めるパウロ・ルイス・サントス氏は語ります。ゲームをする仲間たち

しかし、最近のブラジルにおけるゲーム開発は勢いを増しています。45 以上の大学がゲーム開発の授業を提供し、BGD のウェブサイトには、ブラジルでゲームを開発している 83 のゲーム開発会社が掲載されています。中でも Kokku 社は、ブラジル最大のゲーム開発スタジオで、市場のニーズに応じて 40 ~ 90 名の開発者をあらゆる場所で雇用しています。

ゲーム開発の奨励

こうした方向転換のきっかけの 1つは、ブラジル政府が開始したゲーム開発の奨励策です。例えば、BGD の輸出プログラムでは、サンフランシスコで開催される Game Developers Conference、ドイツのケルンで開催される Gamescom など、主要な業界ネットワーク・イベントにブラジルのゲーム・クリエイターが参加する場合に、その入場料が支払われます。

Kokku 社のフレイタス氏は、この輸出プログラムでネットワーク作りを行った先駆者です。この財政支援がなければ、Kokku 社が Horizon Zero Dawn のどう猛なロボットを世に送り出すこともなかったでしょう。アムステルダムに本社を置くトップクラスのゲーム開発スタジオ、Guerrilla Games 社との良好な関係を確立した後、Kokku 社は同社からコラボレーションを持ちかけられました。

フレイタス氏によると、この取引は、会社の設立を後押ししただけでなく、始まったばかりのブラジルのゲーム業界に種をまくことができたといいます。

「当社はトップクラスの企業からより良い開発者になることを学んでいます。社員のだれかが退職して会社を設立するとしたら、当社で学んだことを糧にして、素晴らしいゲームを開発することでしょう」(フレイタス氏)

ブラジル国立映画庁 (ANCINE) は、ブラジルの素晴らしいゲームをさらに盛り上げようと、別のプログラムで、新興デベロッパー向けのコンテストを展開しています。このプログラムでは、最も将来性のあるゲームを選び、収益を返還する条件で財政支援を提供します。

昨年のコンテストで、サンパウロの地方州当局から財政支援を授与されたのが、ゲーム開発スタジオの Mad Mimic 社です。同社は、ゲームのダウンロード購入サイト「Steam」上で最近リリースされたNo Heroes Hereを開発。これは、4人のプレーヤーが中世風の敵を砲弾で撃破することで城を防御するバトルロイヤル・ゲームです。

コンテストに参加するまで、この新しいゲーム開発スタジオは若干さまよっているように見えました。大きな進展もないまま、いくつかのプロジェクトを抱えていたのです。

Mad Mimic 社の CEO、ルイス・フェルナンド・タシロ氏はこう振り返ります。「期限というものが全くないなかでプロジェクトを進めていましたが、コンテストに参加するためのプロセスが、会社の組織化を促してくれました」

ANCINE コンテストは、ゲーム開発会社の財政的なストレスを緩和するだけでなく、Mad Mimic 社をアマチュアからプロのデベロッパーへと成長させました。コンテストに参加するためには、ゲーム設計戦略の検討、適切な期限の設定、ビジネスプランの策定を行う必要があったからです。

このようなコンテストのおかげで、若い人材がブラジルのゲーム業界の進歩に貢献すべく、自らの方向性を再設定するようになります。また、賞を獲得できなかったとしても、プロ意識の醸成につながります。

結果として、ブラジルのゲーム開発会社が、国際的なゲーム業界で認知されつつあるのです。10 月には、30 万人のブラジルのゲームファンと、Sony、Microsoft などの主要なゲーム関連企業が、サンパウロで開催された Brasil Game Show に集結しました。これに対し、ロサンゼルスで開催された今年の Electronic Entertainment Expo (E3) の参加者は 6 万 8,000 人です。

「市場全体がブラジルに注目し、ブラジル人を極めてクリエイティブな人材とみなしています。ブラジル人は創造性を生まれ持っているのです」とフレイタス氏は語っています。

 

 

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