教育

10 代の若者が廃棄物を使った発電技術で国際的な科学賞を受賞

カナダ出身のオースティン・ワン氏は、有機性廃棄物をエネルギーに変換する微生物燃料電池を開発し、Intel ISEF 2016 の最高賞を獲得。次点には膝固定装具とバッテリーの改良をした米国出身のシャマンタック・パイラ氏とキャシー・リュー氏が選ばれました。

ハン・ジエ (オースティン)・ワン氏は、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー出身の 18 歳。人生はまだ先が長く、自分が生きていくこの地球の環境を守ろうと決意しました。

この 4 年間、ワン氏は微生物燃料電池 (MFC) の効率を上げることで二酸化炭素排出量を削減する方法を模索してきました。

MFC とは、微生物の電子伝達能力を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変換する生物電気化学システムです。

Intel International Science and Engineering Fair (ISEF:インテル国際学生科学技術フェア) の研究プロジェクトで、ワン氏は、遺伝子的に強化された大腸菌の特殊な遺伝子によって、効率的な発電が可能になることを突き止めました。

「私は、細菌を使って廃棄物を分解して発電する装置を使って研究しています」とワン氏。

ワン氏のシステムは、既存の MFC システムよりも発電量が大きい上に、太陽光発電と同程度のコストを抑えられます。 このシステムを利用すれば MFC を採算の取れる事業にできる、と彼は信じています。

さらに、MFC が炭素排出量の削減と同時に、第三世界や開発途上国への電力供給に役立つようになってほしいと願っています。

若い微生物学者であるワン氏は、この研究で 2016 年の Intel ISEF の最高賞である the Gordon E. Moore Award (ゴードン・ムーア賞) を獲得し、75,000 ドル (約 824 万円) の奨学金を手にしました。

次点入賞者

テキサス州フレンドウッド出身のシャマンタック・パイラ氏 (15 歳) とユタ州ソルトレーク・シティー出身の キャシー・リュー氏 (17 歳) は、革新的な研究が評価され、次点にあたる Intel Foundation Young Scientist Awards (インテル青年科学賞) を受賞し、50,000 ドル (約 550 万円) の奨学金を獲得しました。

パイラ氏は、脚に障害のある人がもっと自然に歩けるようにするために、低コストの電子制御補助の膝固定装具を開発しました。

その研究によると、米国内だけで 600 万人を超える人が、 けがや病気のために Knee-Ankle-Foot-Orthoses (KAFO:長下肢装具) を必要としています。 この装具で膝関節を固定することで、脚を曲げることなく立ったり歩いたりできるようになります。

「しかし、通常の歩行では膝を曲げる必要があるため、従来の膝を固定する KAFO では、歩行偏位、股関節や背中の痛み、関節や筋肉の損傷、過度なエネルギー消費といった健康上の問題が生じてしまいます」とパイラ氏は言います。

この問題を解決するため、パイラ氏は従来の装具を改良し、健常な脚にジャイロセンサーを付け、ロボット制御の膝固定装具で障害のある脚を制御しました。

ポリオで部分的に身体に障害を持つようになった 2 人の被験者で試作品をテストしたところ、ほとんどすぐに自然な足取りを回復し、可動域も広がりました。

リュー氏は、それとはまた別のアプローチで研究を行っています。 彼女は航空機内、携帯電話、ホバーボードのバッテリーによる発火に関する最近のニュースに関心を持ち、解決策を探し始めました。

そして、バッテリーの安全性だけなくパフォーマンスも向上した新たなバッテリー・コンポーネントの開発に成功しました。

「バッテリー内の可燃性の液体を固体高分子に置き換えることで、安全性が大幅に向上し、バッテリーの蓄電量をさらに増やすこともできます」と彼女は説明します。

研究の中で、リュー氏は候補となる 90 種類を超える固体電解質を評価しました。 黒焦げのヘチマでのテストに基づいて、砂糖と水素化ホウ素化合物という奇抜な組み合わせを思いつき、それを検証しました。この組み合わせは、最も一般的に研究されているものに比べて、約 100 倍優れたイオン伝導率を記録しました。

氏が開発した新しい蓄電池は、従来より小型かつ軽量で、リチウムイオン電池につきものの発火のリスクもありません。

この研究により、さらに効率的かつ低コストで、持続可能なエネルギー貯蔵が可能になりました。

次世代のイノベーターを刺激する

「インテルは、今年の受賞者を祝福するとともに、彼らの業績がほかの若いイノベーターたちを刺激し、彼らの好奇心やアイデアが今日の世界全体の課題に応用されることを願っています」と、インテルコーポレーションの人材担当副社長、企業行動部長、インテル財団社長のロザリンド・ハンデルは述べています。

「この国際的な理工学フェアは、さまざまな経歴や視点、出身地の学生たちが集まってアイデアやソリューションを共有すれば、どんなことを達成できるかを示す素晴らしい例です」。

今年は世界 77 の国や地域で開催された 419 の支部大会で勝ち残った 1,760 人の若い科学者が、Intel ISEF に参加しました。

上位入賞者に与えられた賞のほか、最終選考に残った約 600 人の参加者にも、その素晴らしい研究に対して 20 の「部門最優秀賞」などの賞と賞金 5,000 ドル (約 55 万円) が授与されました。

それぞれの受賞者の出身校や代表となった支部大会にも、インテル財団から 1,000 ドル (約 11 万円) が贈呈されました。

賞金総額は約 400 万ドル (約 4 億 4,000 万円) に上ります。

「今年の上位入賞者であるワン氏、パイラ氏、リュー氏は、研究を行って重要な問題の解決策を見つけ出す能力と年齢は無関係であることをはっきり示してくれました」と、Society for Science & the Public の社長兼 CEO のマヤ・アジメラ氏は言います。

「彼らの成功に対してだけでなく、その献身的な努力に対して心からお祝いの言葉を述べたいと思います。 受賞者たちも Intel ISEF の最終選考に残ったその他の参加者も STEM (科学・テクノロジー・工学・数学) 分野の新進気鋭の科学者であり、彼らが自らの情熱を追求し、今度は未来の若者たちのためにより良い世界を築いてくれる姿を見る日を楽しみにしています」。

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