エンターテインメント

スマートシップ、未来への船出

Dana McMahan Writer

クルーズ船業界では最新技術を駆使して、ハイテクに精通した若い行楽客の関心をスマートシップでの航海へと惹きつけています。

道に迷うのと同じように、クルーズ船の中でも迷子になることがよくあります。 19 のデッキに船室、レストラン、アトラクションを備えた MSC メラビリア号の全長は、フットボール競技場のほぼ 3 つ分に相当します。 ちょっとした都市のような広さで、移動の際に GPSや Google マップが欲しいと感じるほどです。

MSC メラビリア号に 4,000 個以上のセンサーが装備されている理由はここにあります。 乗客は、手持ちのデバイスを使用したり、船内 144 カ所に戦略的に配置されたデジタルスクリーンの前でスマート・リストバンドを振ると、現在位置と目的の場所までの経路を確認できます。

ハイテククルーズ船は、モノよりも体験にお金を使いたいという比較的若い旅行者の心を惹きつけています。 ハイテクに精通した彼らは、船旅の間もデバイスの電源を切ることなど考えません。

MSC for Me アプリを使えば、その日のアクティビティーをチェックすることから、デジタルスクリーンでレストランのメニューを調べたり、席の予約をしたりといったことまで、乗客はさまざまな体験ができます。MSC クルーズのビジネス・イノベーション担当最高責任者であるルカ・プロンツァーティ氏は、こうした一連の体験を「大いなるパラダイムシフト」と呼んでいます。

停泊中のクルーズ船
全長 1,000 フィート (約304メートル) に及ぶハイテククルーズ船 MSC メラビリア号は、船内 19 デッキの移動に使用できるアプリを用意。 写真提供: MSC クルーズ。

「これは大変革と言えます。 [Guests can]「は船のどこにいても、いつでも必要な情報の取得、あらゆるサービスの予約ができるのです」とプロンツァーティ氏。

船旅に特化されたハイテク機能

世界最大のクルーズ船の運航会社 Carnival 社は、同社のクルーズ商品であるプリンセスラインにおける船上テクノロジーを今年後半に初公開する計画であると発表しました。一方、世界最大規模の客船会社 Royal Caribbean 社のように、リストバンドを提供する会社も現れました。乗客はリストバンドを使用して、個室の施錠の解除や、船内での買い物の支払いが行えます。

そして、旅行者に休暇を最大限楽しんでもらいたいとの想いから MSC メラビリア号を建造したのが、スイスのクルーズ船会社である MSC Cruises 社です。 船内で迷子になって途方に暮れた経験のある人も、MSC for Me アプリを使えばクルーズ船内の移動がスムーズになります。

乗客は客室のテレビやクルーが携帯するタブレットを使って、サービスのオプションをその場で申し込むことができるため、案内デスク前の行列はそろそろ過去のものとなるはずです。

MSC メラビリア号の乗客は 5,700 人。子どもたちはリストバンドを着けているため、たとえ迷子になっても今どこにいるかを確認できます。

MSC クルーズの広報担当最高責任者、ルカ・ブロンドリーリョ氏は「私の息子はデバイスをなにも持っていませんが、 このアプリを使えば、レゴルームで遊んでいようと、船内に 4つあるプールのいずれかで泳いでいようと簡単に見つけることができます。

このテクノロジーは客室内の従来型テレビでも利用できるので、タブレットやスマートフォンを持たない乗客にもメリットがあります」と説明。

乗客はリストバンドを使用して、客室のドアを開けたり、船内での買い物の支払いが行えます。 その他、化粧室やエレベーターを容易に探せるツールなどもあります。

MSC メラビリア号
航行中は世界最大の LED ドームで覆われる、MSC メラビリア号の回廊式天井。 写真提供: MSC クルーズ。

MSC メラビリア号に装備されたその他のハイテク設備には、仮想現実 (VR) による F1 レースカーのシミュレーターが設置されたアミューズメント・エリア、4D 映画館、世界最大の LED ドームで覆われ、航行中は常に変化する空が映し出されるプロムナードの天井などがあります。

若年層も取り込む新しいクルージング

典型的なクルーズ客といえば退職者や高齢者を思い浮かべますが、Cruise Lines International Association (CLIA) の調査によると、リゾート地、ツアー旅行、別荘レンタル、キャンプといった陸上ベースの休暇よりもワンランク上の休暇が過ごせるとして、船旅を選ぶ若年層が増えていることが分かっています。

39% 近くの人々が、もっとも望ましい休暇の過ごし方として、海洋クルージングを挙げているのです。

未来へと向かう船

MSC メラビリア号の就航とともに稼動したこのテクノロジーは、通常の乗船体験を超えるものであることは確かですが、「これはまだ出発点に過ぎません」とプロンツァーティ氏。

さらに、「マシンラーニングと人工知能 (AI) を駆使して体験を強化することにより、乗客の今いる場所や時刻に関連する情報を提供し、よりパーソナライズされた体験へと進化させることができます」と続けます。

また、最新の顔認識テクノロジーによって、クルーは「お客様」ではなく、乗客の名前で呼びかけることができ、さらに一人ひとりの関心事やその他の情報をいつでも簡単に把握できます。

スマートシップ
ハイテクに精通した若い旅行者の中でスマートシップの人気が上昇。 写真提供: MSC クルーズ。

また、AI テクノロジーのおかげで、クルーは乗客の使う言語で話しかけることもできます。 毎年、MSC クルーズで船旅を経験する人々の国籍は 180 カ国以上にわたります。 現在、MSC for Me で利用できる言語は 6 つですが、さらに中国語が加わる予定です。

VR の開発も進行中で、こちらは寄港地での小旅行体験に重点が置かれています。 「港での時間は限られています。 多くの場合、大急ぎで観光スポットを回るだけで、ゆったりと充実した時間を過ごすことがなかなかできません」とプロンツァーティ氏は指摘。

寄港地観光の前後に VR を利用すれば、乗客は目的地を堪能し、さまざまな訪問先についてより深く知ることができます。 「これによって、お客様は観光名所の真価をより深く理解できるのです」とプロンツァーティ氏。

つまり、新しい体験の価値を正しく認識してもらうということが最も重要な目的なのです。

 

 

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