教育

新たなキャリアパスを拓く AI

AI の専門知識を取得したい人が急増する中、企業はその需要に対応するため、オンライン教育コースを提供して、将来の人材を育成しています。

コンピューターやデバイスは、ますます自律的に学習し動作するようになっています。これには、人工知能 (AI) やマシンラーニング (ML) を構成するソフトウェア・アルゴリズムが使用されます。 スマートフォンが音声コマンドを理解し、家庭用のスマート・スプリンクラー・システムが天気によって動作を変更し、オンラインサービスがユーザーの求めるものを予測するといったことを実現するには、AI や ML に熟達したプログラマーが必要です。 このようなコーディング・スキルの需要は急増しています。

一方で、デバイスをスマート化し、先を見越した動作をさせることには異論もあります。オートメーションによって失業者が増えることを懸念するからです。 それでも大半の人々は AI や ML の今後に期待を寄せています。 調査会社の Accenture は 12 の先進経済圏を分析し、AI のおかげで 2035 年までに年間経済成長率が 2 倍になる可能性があるとしています。

自動車、銀行、小売などの業界は、この可能性を原動力に AI や ML を検討し、ビジネスに組み入れようとしているのです。 インテルのデベロッパー・プログラムのディレクターであるスコット・アーペランによると、こうした動きを受けて、AI 関連のスキルを持つ人材の獲得に向けた激しい競争が発生していると言います。

「ビッグデータ、演算能力、ニューラル・ネットワークの融合により、現在 AI は現実のものとなり、全く新しい可能性の世界が切り開かれました。急速に成長している AI 分野に参入するには今が最適です」とアーペランは語ります。彼は、オンラインや数百もの大学で開発者向けに AI トレーニングやツールを提供するインテル® Nervana™ AI Academy の指導を支援しています。

一方、増大する AI スキルのニーズに対応するため、オンライン教育サービスを提供する Coursera 社はインテルおよび Google と連携。将来の雇用機会創出に向けて人材を強化するコースを構築しました。

リラ・イブラヒム
オンライン教育によって、コンピューター教育を世界中の誰もが平等に受講できるようになると考えるリラ・イブラヒム氏 (右側)。

「テクノロジーによって約 80 万の仕事がなくなる可能性はありますが、一方で、350 万もの新しい仕事が生まれるチャンスもあります。差し引きすればプラスです。ただし、そのためには、数年前には存在しなかった仕事に就くために、再教育やスキルアップを支援する機会が必要です」と、Coursera 社の COO (最高執行責任者) であるイブラヒム氏は語ります。

イブラヒム氏の記憶では、ほんの 2 年前には自動運転車など過激なアイデアだと考えられていました。

「初めて自動運転車が走っているのを見た人は、山ほど写真を撮ったものです。 今や、SF のように思われていた多くのことが受け入れられるようになっています。 それらはやがて、生活の一部になるでしょう」とイブラヒム氏。

将来の仕事に向けてスマートに

Coursera 社の教育コースは、モバイルアプリを使ってオンライン受講できます。 受講生は、スタンフォード大学、エール大学、ジョンズ・ホプキンズ大学など、150 もの世界トップクラスの大学や教育機関から専門や学位を選択できます。

「9 月には、これまで以上に幅広く、内容の濃い AI コンテンツのカタログができます」とイブラヒム氏。

同氏の考えによると、高校生や大学生だけでなく、プログラミングの新たなキャリアに関心のあるすべての人が、AI 教育に平等にアクセスできる状況をできるだけ早く作ることが重要だと言います。

「テクノロジーが適切な人の手に渡れば、必ずや素晴らしいことが起こります。

データ、テクノロジー、発想の三拍子が揃ったら、後は投資するだけです」(イブラヒム氏)

2012 年に設立された Coursera 社には、すでに 2,600 万人以上の受講者が登録しており、テクノロジー、データ科学、ビジネス、クリエイティブ・アートなど、数十のトピックにわたる 2,000 以上のコースを受講しています。

イブラヒム氏によると、AI コースの新設は Coursera 社に極めてふさわしいものです。というのも、AI と ML は同社が創業当初から継承してきたものだからです。 創業者は AI および ML のパイオニアであり、このテクノロジーを使用して、一から会社を築き上げたのです。

新しいコースでは AI や ML の教育そのものにも AI を使用。 授業は自動的に調整され、受講者の成績に応じて一人ひとりに最適化されたトレーニングが提供されます。

イブラハム氏は自身が受講した ML コースについて、こう説明します。 「質問に正解できなかったときは、不正解であることが伝えられる代わりに、誤って学習したと思われる内容に基づいて実際に提案をしてくれました。例えば、ある概念の理解に苦労していることを検出すると、コースの中のどこを復習するべきかを指摘してくれるので、学習スピードがアップしました」

また、「今の時代は、どこに住んでいようと、インターネットさえあれば、トップクラスの大学、研究機関、または企業の最高レベルの教育コンテンツにアクセスできます」とイブラハム氏。

ノートブック PC で学習する男性
コーディング・スキルの需要の高まりを受けて AI や ML の授業を提供している、Coursera 社をはじめとするオンライン・トレーニング企業。

「このコンテンツを、ブラジル、アフリカ、またはアジアに住む起業家が利用できるようにすれば、新たなスキルを身に付けて、各地域の問題を解決することができます」(イブラハム氏)

デジタル時代の問題解決スキル

Pew Research Center の調査によると、労働者の 87% が、職場やテクノロジーの変化についていくためには、職業人生全体を通して、新しい仕事のトレーニングを受け、スキルを身につけることが不可欠であると考えています。

また、この調査では、教育プログラムへのアクセス方法を増やすことが重要だと強調しています。そうすることによって、人々はデータとアルゴリズムを使用して作業する方法、3D モデリングを実行し、3D プリンターを操作する方法、AI や拡張現実 (AR)、仮想現実 (VR) の新たな機能を適用する方法などを学習できるからです。

「今は想像もできないようなことが、AI によって解決できるのではないでしょうか。 当社がこの AI や ML に関するコンテンツを提供するようになってから初めて、人々はデータから分かることの可能性を発見し、問題解決に役立てることができるようになりました」

新しい教育プログラムでは、大学向けプログラムか企業向けプログラムかに関係なく、さらに多くのコンテンツと選択肢が用意されています。 Coursera 社に中級の AI コースを提供しているインテル® Nervana™ AI Academy では、世界各地の数百もの大学で無料のワークショップも提供。学生大使を採用し、トレーニングした上で、大学構内において AI ミーティングやワークショップを開催しています。

インテル® Nervana™ AI Academy の受講生
ニュージャージー州のラトガース大学など、世界各地の大学で無料のワークショップを開催しているインテル® Nervana™ AI Academy。

受講生は身につけた新しい AI スキルを良いことに使用するよう奨励されるとして、アーペランはこう説明します。

「例えば、現在、約 700 チームが Kaggle 社のディープラーニング・コンペティションで競い合い、癌の早期発見に最適なアルゴリズムを開発しています。100 年前に工業化と電気によって人間の仕事や生活のスタイルが変化したように、AI によって日常生活のさまざまな側面が変革されようとしています」

オンライン教育は、その変化のカーブの先を進み、明日のイノベーターになるために必要な知識を獲得するチャンスを提供してくれます。

「新しいことを実行するチャンスは非常にたくさんあります。 もちろん、テクノロジーによって要らなくなる仕事が出てくる恐れは常にあります。 実際、一部の仕事はなくなるでしょう。しかし、それ以上に多くの仕事が生まれるだろうと期待しています」

 

 

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