イノベーションを生み出す母たち

メーカー・ムーブメントの火付け役、発明の母に注目!

次世代の女性発明家たちをほめたたえ、奮い立たせる Maker Faire*

9 月 26 日、27 日にニューヨークで開催された Maker Faire* は、史上最多の参加者数を記録。このイベント自体がムーアの法則を凌ぐ勢いで世界中に広まっていることもあり、メインステージに登場する女性の数も急増しています。 女性たちはイベント会場で大きな存在感を放ち、発明品に関する情報を世界中の人々とシェアしたり、後進の若者たちにインスピレーションを与えています。

メーカー・ムーブメントが起きてから 10 年の歳月を経て、このイベントは、テクノロジーに関心を持つ女性や少女たちにとって、内に秘めた「発明家魂」をとことん追求できる場となっていることは明らかです。そして、女性の発明能力は決して男性に引けを取らないことも公の場で証明されてきたのです。

今回の Maker Faire* で人気をさらった 4 人の発明の母たちをご紹介しましょう。

ベサニー・コービー

母であり、デザイナーであり、Technology Will Save Us の共同創立者でもあるベサニー・コービー。Technology Will Save Us は、DIY 用のガジェットキットのメーカーで、子供やファミリー、教育者に、テクノロジーを利用した学びと創作の機会を提供している会社です。

2015 年初め、メーカーイベント Bay Area MakerConインタビューで、コービーは、「若い人たちにとって、テクノロジーは単なるスクリーンに過ぎません。 しかし、実際はスクリーンよりもはるかに壮大な世界なのです」と指摘。

コービーの目標は、子供たちがテクノロジーを使って、ただの消費者ではなく、クリエーターになるのを手助けすること。

テクノロジーを使って何かを作ってみると、子供たちはそのプロセスから何かを学びとるだけではなく、プロセス自体に興味を示して夢中になります。 そうなると、子供たちと対象物との関係や、プロセスそのものに関与しているものとの関係が、がらりと変わるのです。

子供たちが夢中になる様子を、 コービーは、「ゼロからメーカーへ」と表現しています。

Technology Will Save Us が商品化しているキットは、10 代の若者たちの意見を参考に、 ゲーム、サイクリング、音楽など、子供たちの興味を反映して設計されています。

コービーが常に念頭に置いているのは 12 歳のメンタリティーです。

「12 歳の女の子に緑色の回路基板を差し出して、『ほら、 これでプログラミングをするとおもしろいよ』とか、 『これでセンサーを作って楽しんで』とは言いたくないのです」とコービー。

彼女はこうした考えのもと、いろんな用途に使えるものや、身に着けられるものなど、何か“スゴイ”ものを作る機会を 12 歳の女の子に与えています。 何を作るにせよ、本人がまた作りたい!と思えるものであることが大切です。

「私は若い世代の人たちにインスピレーションを与えたいのです」とコービーは語っています。

ヤ・ブデヤ

若きエンジニア兼発明家兼インタラクティブ・アーティストのアヤ・ブデヤに言わせれば、電子回路は「私たちの時代の積み木」。そんな電子回路が専門家しか入手できない状況に我慢がならなかった彼女は、この現状を変えてみせました。 ブデヤが開発したのは、オープンソースのモジュール式電子回路「littleBits」です。磁石で電子回路をつなぎ合わせる工程を通じて、すでに世の中にあるさまざまな発明の力を実感し、応用することができます。

ブデヤは、米国の経済誌 Forbes の中東版「Forbes Middle East」のカバーストーリー・インタビューで、「目標は、ハードウェア産業を民主化、革命化して、もっと身近なものにすることです」と語っています。

littleBits なら、エンジニアでなくても、プログラミングや配線、はんだ付けの経験が全くなくても大丈夫。 回路の組み立て方を理解することに時間を費やす代わりに、回路を使っていろんなものを作ることに時間を費やそうというアイデアです。実際、どんなものでも作ることができます。

各モジュールには、ライトやサウンド、モーターやセンサーを付加できるほか、新たに Arduino* ソフトウェアも追加できるようになりました。ブデヤは Maker Faire* 2014 で、「これまで以上に複雑なデバイスを作ることが可能になりました」と発表しています。 さらに、今年ニューヨークで開催された MakerCon では、ハードウェア版アプリケーション・ストア「the bitLab」の公開を発表。

これまでに littleBits は、遠隔操作可能なロボットや、楽器、ジャンケンができるアニマトロニック・ハンドなど、実にさまざまな電子工作に使われています。

最近では、TEDWomen 2015 において、2 人のプレゼンテーターが littleBit を応用した発明品を紹介しました。

発明家のクリスティーナ・メルカンドは、littleBits を使ってスマートリングの原型を製作。これは、インターネットと接続し、着用者に情報を伝えてくれる指輪型のデバイスで、例えば重要な電話が入ってきたとき、あるいは会議がもうすぐ始まるときなどにはリングが通知してくれます。 一方、ギタリストのカーキ・キングは、ブロックで組み立てる電子楽器「littleBits シンセキット」を使ってマルチメディア・ショーを製作。彼女のギターそのものがディスプレイに変身し、ギターの表面に映像が映し出されます。

MIT メディアラボで修士号を取得後、NYU および Parsons の大学院で教鞭も取ってきたブデヤ。エンジニア以外の人々、特に若い女の子たちに科学とテクノロジーの指導を行う彼女は、

「これからもクリエーター、発明家、コントリビューターたちを勇気づけていきたい」と語っています。

ヌーク・ウィップレヒト

「ファッション業界に足りない重要なものが 1 つある」と指摘するのは、アヌーク・ウィップレヒトです。足りないものとは、マイクロコントローラーです。

そこで彼女は、ファッション、アート、テクノロジーを組み合わせて、新しいロボット・ファッションを生み出しました。 アヌークは、ファッション業界を舞台に、スタイリッシュでロボット的なウェアラブル・テックの開発で新境地を開いてきたのです。 過去数年間に彼女が生み出してきた作品には、インテルの技術を利用して製作したスマートドレスや、Audi* をモチーフとしたデザインなど、さまざまなものがあります。

彼女の作品は、「Make」誌でも定期的に取り上げられており、思わずページをめくりたくなるような魅力にあふれています。 メーカーたちにとってバイブル的存在の電子雑誌「MAKE」の 11 月号では、彼女の作品が表紙を優雅に飾る予定です。

人工知能を服に取り込むというアイデアに惹かれたウィップレヒトは、息をのむほど美しいうえに、着用者に予期せぬ驚きを与えるドレスをデザイン、設計してきました。

例えば、脳波モニタリング機能の付いたシナプスドレスは、着用者の今の気持ちを感知して伝えます。スモークドレスは、着用者のパーソナルスペースに誰かが侵入してきたことをセンサーが検知すると、人工の煙を吐き出します。インティマシー 2.0 は、着用者の心拍数の変化に合わせて透明度が変化します。

また、2014 年にサンフランシスコのベイエリアで開催された Maker Faire* では、電子的に雷雨を起こすファラデードレスを発表して人々の度肝を抜きました。さらに 2015 年の CES では、目を見張るようなスパイダードレスで人々を興奮の渦に巻き込んでいます。このドレスは、着用者のバイオメトリクスに反応するだけでなく、外部からの刺激にも反応。着用者の感情の変化を視覚的に伝えるアニマトロニックな蜘蛛の脚を持ったドレスです。

最近では、自動車メーカー Audi* のプロジェクトを完遂。このプロジェクトを通して、ウィップレヒトは、将来的にスマートカーとスマートファッションがどうつながるかを模索していたと言います。

彼女の作品の多くはインテル® Edison 開発ボードを搭載しています。これは、ワイヤレスでほかのデバイスと通信できる切手サイズのマイクロコントローラーです。

ウィップレヒトは、最近開催された Maker Faire* のプレゼンテーションで、「私の作るドレスはマイクロコントローラーで心臓を動かし、バッテリーを夕食としています」と語っています。

ベッキー・スターン

ウェアラブル・テックの世界の最新事情をもっと知りたくなったでしょうか? もし興味をお持ちなら、YouTube の「Wearable Electronics with Becky Stern」(ベッキー・スターンと覗くウェラブル・エレクトロニクスの世界) をぜひチェックしてみてください。

スターンは 、電子製品および付属品の設計と販売を行うオープンソース・ハードウェア企業 Wearable Electronics with Adafruit でディレクターを務めています。 教育関連のリソースもプロデュースしており、「Stern’s weekly vlogs」 (スターンのウィークリー vlog) もその 1 つ。
※vlog は文章の代わりに映像を用いて綴るブログ。

ニューヨークを代表するアートとデザインの専門大学 Parsons で学んだスターンは、テキスタイルと電子を組み合わせてユニークでクールなウェアラブル・ガジェットを生み出しています。 さらに、駆け出しのメーカーたちのために DIY のチュートリアルを共有。彼女のデザインを模倣したり、彼女のプロジェクトを出発点にしながら、ユニークな作品を創り出せるように支援しているのです。

最新の iQ 記事の中で、「新しいウェアラブルのアイデアの源泉は、防衛、表現、イタズラ、好奇心、観察、行動といった積極的な心の動きです」と彼女は述べています。

「私が創り出すウェアラブルは、プログラミングや導電糸を使ったソーイングなどの新しいスキルを身に付けるためのインスピレーションとなることを意図しています。 こういうものが欲しいと思ったら、自分で作り上げられないといけませんからね」

スターンの勤務する会社が手がけたプロジェクトの中には、スマートフォン・ミトンGPS モジュール付きの NeoGeo ウォッチ、シンセサイザーのような音がするフィンガードラム手袋、さらには、少々冗談めいていますが、着用者とノートブック PC をすっぽり包み込むことでプライバシーを守り、寒い日には防寒具にもなるコンピュボディー・ソックスなどがあります。

最近行われたインタビューで、スターンは、「私の目的は、テクノロジーの力を利用してユニークなウェアラブルを創造する方法を人々に教えることよ」と語っています。

「例えば、娘さんたちのために、ご両親がライトアップできるティアラを作ってあげたという話を聞くと、とても嬉しくなります。きっとその娘さんたちは、大きくなってもテクノロジーへの抵抗がないでしょうね」

素晴らしいお手本に続く次世代の女性たち

エネルギッシュな女性たちがさまざまなアイデアやインスピレーション、発明品を世界と共有してくれるおかげで、次世代の女性クリエーターたちの未来は輝かしいものに映ります。 「まっすぐな瞳を持ち、探究心に満ちあふれ、貪欲なまでに答えを見出そうとする若い女の子ほど素晴らしい存在はないと思うのです」(ウィップレヒト)

メーカー向けのニュースや情報については、インテルのメーカー向け情報サイトをご覧ください。

 

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