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ビッグデータがマーチマッドネスの優勝予測を完璧にする?!

Shawn Krest Writer, Movable Media

ハイテクなゲーム・シミュレーター、クラウドソーシング、高度な分析ツールを使えば、一ファンにも NCAA トーナメントの優勝チームが予測できます。しかし、完璧に予測するとなると、最高峰のデータ分析専門家をもってしても難しいのが現状です。

十分な情報に基づく意思決定を支援してくれるビッグデータの影響力や豊富な分析ツールをもってしても、NCAA の「マーチマッドネス (3 月の狂乱)」トーナメント (全米大学体育協会が主催する大学バスケットボール大会のニックネーム) のファンは、優勝チームを完璧に予測することなどほとんど不可能に近いようです。

一部の人にとっては、データが多すぎるのも困りものなのです。

「死人が大量に出るよ。地雷だらけさ」。元 NCAA 選手で ESPN (米国のスポーツを専門としたテレビ局) のジャイ・バイラス氏は、今年の優勝チーム予測についてこう述べています。

確かに、予測は全くもって簡単ではありません。全 63 試合から優勝チームを当てようとすると (全トーナメントは 67 試合ですが、通常、オープニングの 4 試合はファンの予測表には含まれていません)、正解に予測できる確率は 9.2 x 10 の 18 乗分の 1 で、さらに低い可能性もあります。

技術に明るいファンは、試合をポゼッション (ボール保持権) ごとに計算するゲーム・シミュレーターから、アカデミー賞を予測できるほど精度の高いスポーツ勝敗予測グループ、脅威的な勝率を誇るデータマニアまで、予測確率を上げるための確かなデジタルツールを味方に付けています。

しかし、それでもなお、完璧な予測の兆しは見えてきません。

数の力で勝負

バスケットボールはチーム戦ですから、NCAA の優勝チーム予測にファン同士のクラウドソーシングで挑むのも何ら不思議なことではないでしょう。

例えば、UNU は、結果についてあれこれ議論し合う「スワーム (群れ)」と呼ばれる大規模なユーザーグループに依存しています。

今シーズンのはじめに、大学バスケットボールの専門家と予測対決をした際には、スワームが勝利を手にしました。彼らは 35 試合について勝敗を予測した結果、ポイントスプレッド (試合終了時の点差を予想し、プラスマイナスのハンデを付けて賭けること) で 20 試合を当てることに成功したのです。一方、CBS Sports.com のゲイリー・パリッシュ氏は同じ試合に対して 13 試合しか当てることができませんでした。

スワームは、他のスポーツの優勝チームも同様に当てることに成功しています。シミュレーション用マネーを使ったフットボール・ゲームにおいて、スワームはカレッジ・フットボールで 34% の利益を得たのに対し、ESPN の番組に出演する専門家は 24% の損失を出しました。また、アカデミー賞では、全カテゴリーの受賞者のうち 76% を言い当てることに成功。Variety、Rotten Tomatoes、Rolling Stone、USA Today、LA Times などの映画評論家に少なくとも 10% の差をつけての勝利です。

データマニアの高度な統計情報

ユタ州の気象予報士は、いつになったらバスケットボール・ファンの試合予測を手助けしてくれるのでしょうか。その答えは、ケン・ポメロイ氏が握っています。米政府の気象学者であったポメロイ氏は、退職後に大学バスケットボールの予想屋になりました。

同氏は高度なバスケットボール計測の第一人者で、登録制のサイト kenpom.com は、真面目なバスケットボール・ファンにとっては必見です。

ポメロイ氏は 2003 年から毎シーズン、大学バスケットボールの全 351 チームを評価し続けてきました。その統計手法は、ポイント数の少ないチームは防御力が低く、試合展開が遅い可能性があるとする、速さを考慮しない高度なものです。

このほか、スケジュール力、オフェンスとディフェンスの効率、さらにはチームのまでを考慮し、ランキング予測を導き出しています。

KenPom.com ではすでに全国のトーナメントに関するレーティングと予測を発表しており、NCAA のトーナメント表が発表されると同時に、さらに活動を本格化すると見られます。

すべてを知るゲーム・シミュレーター

NCAA トーナメントの組み合わせをシミュレーションするプログラムはいくつかありますが、成功率はそれぞれ異なります。ジェフ・サガリン氏は 20 年以上もの間、独自のチーム統計格付け表とモンテカルロ・シミュレーション法を用いて 6,800 万回も NCAA トーナメントを予測。優勝最多チームを記録し続けています。

ただし、個別の試合を予測したい場合は、ジョン・ペンス氏の Game Sim を試すべきでしょう。このツールは彼が運営するサイト SCACChoops.com の中で展開されており、全米で最も正確なシミュレーターの 1 つです。勝利チームを当てるだけでなく、驚異的な精度で最終スコアを当てることができます。

ペンス氏によれば、カギとなるのは試合終了時のスコア結果だけではないとのこと。ショット、ポイント、リバウンドなど、ゲーム全体をシミュレーションしていると言います。

「Game Sim は 2 チームの予定表に対して統計データと戦力を考慮し、ポゼッションごとに試合をシミュレーションします。具体的には、各ポゼッションにおけるチームのシュート率、ターンオーバー率、フリースローライン率を決定し、その後、さらに詳細に落とし込みながら各試合をシミュレーションするのです」とペンス氏は説明します。

プレーヤーがシュートした場合、Game Sim はリバウンドをもらう可能性の高いプレーヤーやチームを予測。さらにランダム化の手法を用いて、各シミュレーション結果が常に同じにならないようにしつつ、難しくなりすぎないようにもしていると言います。

「Game Sim には複雑な式などありません。代わりに、適切な確率で物事が発生するように調整しているのです。素晴らしいことに、このシミュレーターは試合のスコア結果を限りなく正確に予測できます」とペンス氏。

Game Sim を 5 年間使用している同氏は、全試合の 75 ~ 80% で優勝チームを当てた上に、全試合の 3 分の 1 は、そのチームの実際のスコア結果と 5 ポイント差以内だったと言います。ラスベガスのポイントスプレッドで 53% の成功率を誇り、「利益になると言われたよ」と語っています。

選手の異動による問題

優勝チーム当てゲームで、ファンがこうした技術ツールに依存する理由の 1 つは、異動率の増加にあります。ベストプレーヤーは、1 シーズンしかチームにいません。

昨シーズンの NCAA チャンピオンのデューク大学 Blue Devils も、スターティング・メンバーのセンター (ジャーリール・オカフォー氏)、ポイントガード (タイアス・ジョーンズ氏)、スモールフォワード (ジャスティス・ウィンスロー氏) を、1 シーズンで NBA ドラフトに奪われました。代わりに、今年のチームポイントの 48% を得点した新人のメンバーで穴埋めしたのです。

こうして最高峰に登りつめたチームは、NCAA トーナメント経験のない新人だらけとなり、前年よりもさらに混沌とした展開になるでしょう。バイラス氏によると、有能な新人の流入に期待するしかないケンタッキー大学やデューク大学のようなチームが、昨シーズンと同レベルに達していない場合は、その他のチームから本命を選ぶことになります。

「特に今年は、どのチームも似たり寄ったりですね」とバイラス氏。良いチームは多いものの、飛び抜けて有望なチームはありません。

つまり、小さいながらも上級生やベテラン選手を多く抱える大学に対し、知名度の高いチームの有能な新人が年齢と経験を上回ることができるかどうか。ファンはこの点を見極めなければならないということです。

運と言えば…

最新の統計情報、Game Sim、さらにはスワームを味方に情報武装しても、3 月のトーナメントを確実に読み切れるほど甘くはありません。

「だてにマーチマッドネス (3 月の狂乱) と呼ばれているわけではありません」と言うペンス氏は、こう続けます。「スリーポイント・シュート (成功すれば 3 点が与えられるシュート) を決めるすごいプレーヤーが現れても、怪我をする可能性もあるし、ガールフレンドと別れて気分が落ち込み、何も手につかなくなることも考えられます。それが大学生です。どの試合でも、驚異的な偉業を成し遂げることもあれば、驚異的な間抜けぶりを披露することもあるわけです。

シミュレーションは平均的な予測結果を出すことはできますが、誰もが知っているとおり、マーチマッドネスは平均とは程遠いことが起こるのものなのです」。

 

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