スポーツ

プロのドローンレーサーになるには?

Ken Kaplan Executive Editor, iQ by Intel

ワールド・ドローン・プリに向け飛翔するローター・ライアット・チーム

世界最大のドローン・レース・トーナメントで戦うには、チームワーク、練習、細かい機械作業、スピード感覚、そして仮想現実への素養を要します。しかし、スティール・デイビス氏ローター・ライアット・チームのメンバーたちは、ドローンレーサーに本当に必要なのは、陽気に全力で楽しむことだと口を揃えます。

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記録を伸ばす秘訣は、リラックスして心を空にすること。

チームが準備を進める中、「レースにも人生にも、あまり真剣になり過ぎないようにしています」とデイビス氏は語っています。彼のチームは、ドバイの 2016 年世界レーシング・ドローン・プリ (World Organization of Racing Drones Prix) の予選で、100 チームと対戦することになっていました。

「面白いビデオを観て、友人とだらだら過ごすのが好き。真面目に考え過ぎても、どうにもならないからね」と語るデイビス氏と彼のチームメイトのチャド・ノヴァク氏は、そんなマイペースを貫いて、ワールド・ドローン・プリ決勝トーナメント (32 チーム出場) 上位 10 入賞を果たしました。

3 11 12 日に開催されたこの世界最大級のドローンレースは、その賞金総額も 100 万ドル ( 1 1,000 万円) と、ドローンレースとしては最高です。

自らもドローンレーサーであり、アドベンチャー・スポーツの熱心な愛好家であるドバイ首長国のハムダン・ビン・モハメド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム皇太子の呼びかけで始まったこのレースは、規模も投資も世界レベルに拡大。プロ・ドローン・レースの成功の証となりました。

ドバイでのレースに出場するためには、ロサンゼルス、韓国、ドイツ、中国全土の各都市などで開かれる予選を通過しなくてはなりません。チームは、ドローンを操縦するパイロット、ドローンの周囲を確認するナビゲーター、ドローン飛行に関わる技術者、ピット・ストップ・リーダー、チーム・マネージャーで構成されます。

レースは、まず 32 チームから 16 チームに絞られ、8 チームずつ行われる 2 つの準決勝で勝ち抜いたチームが決勝に進み、優勝者が決まります。

ローター・ライアット・チームのメンバーたちは、パイロットと役割をシフトして 3 つのチームを構成。ローター・ライアット・スティール、ローター・ライアット・ノヴァク、チャープ FPV (ローター・ライアット・チームのパイロット、トミー・ティバジャ氏の率いるチーム) 3 つです。それぞれ個別にレースに出場するため決勝で顔を合わせる可能性がありますが、知識はチームメイト間でオープンに共有しています。

屋内で開催される予選会場は、決勝戦の行われる屋外メインコースの 3 分の 1 の大きさです。レースの開幕まで公にはされていませんが、メインコースには、移動ゲート、特別レーン、特別ボーナス付きの障害物が設けられているという噂です。世界トップクラスのドローンパイロットたちが挑む特設の屋外飛行コースは、全長 591 メートル。主催者によれば、テクノロジーを駆使した前代未聞のコースだと言います。

ノヴァク氏は、小さな屋内コースと、ドバイの巨大な屋外コースとのギャップが、パイロットたちの最大の課題だったと振り返ります。それぞれのコースを最適な状態で飛ぶために、ドローンにはさまざまな工夫が求められます。ドバイは過去 10 年間で最大の暴風雨に見舞われたこともあり、パイロットたちは練習もままなりません。

「最後はパイロットの力量と、天気 (風)、コース状態、周波数の干渉といった制御できないものへの適応力が問われます」とノヴァク氏。

チームワークで賞を狙う

総額 100 万ドル (約 1 億 1,000 万円) の賞金は魅力的ですが、ローター・ライアット・チームの主眼は、楽しむことにあります。

「将来有望なレーサーに会うのが楽しみ。ドバイには、凄腕の 14 歳も来ていますよ。ずっとネットで見てきた人たちと対戦できるのがすごいですね。顔を合わせるのも初めて。ここでしかできない体験です」と語るのは、ドローンレーサーの平均年齢よりやや若い 26 歳のデイビス氏です。

Rotor_Riot_Dubai2016

彼は、未曽有の困難なコースにも対応できる優れた無線制御が可能だというドバイ・エディション Team BlackSheep Crossfire を使用します。

Rotor_Riot_TBS Crossfire_TX_radio_controller

ローター・ライアット・チームは、プロペラモーター同士を結ぶ本体の対角スパンが 260 270MM のクアッドコプターを使用。各プロペラは、長さ 6 インチ ( 15.2 cm) のガラス繊維強化ナイロン製です。各ドローンには、カメラ、電子速度制御装置、充電式電池、ノートブック PC を使ってプログラムするフライト・コントローラー、3 つのモーター (全開で 1 分間に 36,600 回転) が装備されています。

ローター・ライアット・チームのメンバーは、常に今を楽しみ、遊び心に溢れています。中でもデイビス氏は、独特な話術で有名です。彼の話にチームメイトは一瞬戸惑い、そこにどんな意味が込められているのだろう? と考えた後で、爆笑するという具合。そんな光景も、彼らの YouTube シリーズではおなじみです。

「ミスタースティール」で知られるデイビス氏は、長年ホビーショップで働いている電子技術者で、リモート・コントロール・テクノロジーの知識は膨大です。

彼のチームメイトであるオーストラリア人のチャド・ノヴァク氏、別名「FinalGlideAUS」は、フルサイズのグライダーでレースへの参加を始めました。カルロス・「チャープ」・プエルトラス氏は、FPV ドローン (一人称視点が楽しめるホビードローン) の専門家、トミー・「アマガウド」・タバジャ氏は、ハリウッド、パサデナ、ラスベガスのクラブサーキットの有名な DJ です。

ローター・ライアット・チームが結成されたのは 2015 年。ラジコン飛行機の愛好家集団、Flite Test のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるチャド・カッパー氏が、4 人の多彩なドローンパイロットを集めて、YouTube で新たにシリーズもののドローン・ライフスタイル動画を配信したのがきっかけです。

Drone racer team Rotor Riot

同チームは、ドローンファンにコツやヒントを伝授してくれますが、その真骨頂は、気まぐれでインテリジェントな解説と、本物の友情にあるのです。

未来のドローンレーサーへのヒント

デイビス氏の最初のドローンは、現在彼が飛ばしているマルチローター・ドローンに比べると大型で重い Team Black Sheep Discovery Pro でした。彼のドローン飛行歴はわずか 2、3 年。3D ヘリコプターからマルチローター (複数のプロペラで動く無人飛行機) への鞍替えです。

「いくつドローンを作ったか、思い出せません。同じモデルでたくさん作りますが、レース用、フリースタイル飛行用というように、スペックや目的はさまざまです」とデイビス氏。

デイビス氏にとってのヨー (上下を軸にした回転)、ピッチ (左右を軸にした回転)、ロール (前後を軸にした回転) は、ドローン操作というより、自己表現の形です。

また、ハードウェアをできるだけきれいに、シンプルに保つのも、彼のスタイルです。

「きちんと整理しておかないと、どこか一部分の失敗につながり、それがシステムの失敗へ、さらにはクラッシュへとつながっていきます。そうなると、時間的にも金銭的にも痛手ですからね」

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デイビス氏は、トレーニングに熱心で、反骨精神旺盛な一面もあります。毎週、3 分間のランを最大 40 回行い、ほかの人たちの動画は観ません。

「イノベーションを大切にしてきたので、偏見を捨て、画一性から逃れないといけません。今から始める人には、同じ趣味を持つ仲間との出会いを大切にすることをお勧めします」とデイビス氏。

ノヴァク氏によると、ドバイでは、レース時に限らず、お祭り騒ぎやいたずらが日常茶飯事だと言います。

「レーサーたちはみんな、楽しむために、そして良い友好関係も築くためにここに集まってきます。飛ぶことが好き、という共通項がすべてを支えているのです」(ノヴァク氏)

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