仮想現実

仮想現実(VR)はどのように融合現実(MR)となるのか

Ken Kaplan Writer

人間に近い感覚と人工知能を VR ヘッドセットに追加することで、創造力が解き放たれる新たな世界が生まれます。

車に乗り込みヘッドセットを装着し、臨場感あふれるシミュレーション上のアウトバーンを運転した後、車から降りると、そこは中世の城跡。ヘッドセットを通した視界には栄華を誇った城の様子がデジタル技術で再構成され、 360 度、どの方向でも見ることができる。

強力なプロセッサー、人間の知覚に近いセンサー、人工知能により、ヘッド・マウント・ディスプレイ (HMD) は急速に進化しており、こうした臨場感あふれるマージド・リアリティー (融合現実) 体験は、2017 年にさらに普及すると予想されます。

「娯楽と情報への接し方は変革のときを迎えています」と、インテルの副社長兼パーセプチャル・コンピューティング事業部長のジェネラルマネージャー、アチン・ボウミックは語ります。

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思わず引き込まれる仮想現実 (VR)、拡張現実 (AR)、融合現実 (MR) 体験は、人間の創造力とともに、自然の基本原則にしたがってデジタルの世界に現実の世界を再構成する、高度でパワフルなテクノロジーが実現しています (『VR のブレークスルーに必要なものとは?』を参照)。 ボウミックのチームは、こうした体験をさらに進化させるために、VR、AR、MR を実現するインテルのテクノロジー (プロセッサー、グラフィック、メモリー、ソフトウェアなど) に、人工知能やインテル® RealSense™ テクノロジーを駆使した人間の感覚に近いセンサーを追加しました。 その結果、現実の世界をデジタル化して仮想現実に導く、新たなデバイスの開発を支援するヘッドセットのリファレンス・デザインとして誕生したのが、インテルの Project Alloy です。

周囲の環境を感知して認識する機能をデバイスに追加することで、現実世界とデジタル世界を融合する新たな可能性が生まれるとボウミックは語っています。

「VR ヘッドセットが装着者の周囲の環境を認識し、現実の世界にあるものを仮想世界に取り込むことで、自分の手で仮想世界に描き出されたさまざまなものを操作できるようになります」とボウミックは説明します。

例えば、緻密に再現された融合現実(MR)を利用することで、医学生は全く新しい方法で人間の DNA や内臓器官を学ぶことができると彼は指摘します。

「Project Alloy ヘッドセットを装着すれば、DNA 分子を 3D で見ながら回転させたり、触ったりすることができます。 人体の内臓器官、脳、心臓の立体構造に触れながら、その仕組みを学べるのです」(ボウミック)。

彼のチームは 5 年がかりで人間に近い感覚をデバイスに認識させるテクノロジーを開発しました。 ここ数年、奥行きを認識するインテル® RealSense™ テクノロジーは、さまざまなコンピューティング・デバイスに3次元情報を提供し、手の動きや表情を認識させ、現実世界の物体をデジタルとして捉えられるようにしました。また現実の3次元空間ではドローンやロボットの目として機能し、衝突を回避したり、自動操縦も実現しています。 そのインテル® RealSense™ テクノロジーを VR ヘッドセットに組み込むことで、空間認識やコンテキスト認識が可能になります。

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ボウミックのチームが開発した Project Alloy は、コンピューター一体型 VR ヘッドセットです。 装着者は、ケーブルで外部のコンピューターとつながることなく、また正確なポジショニングや頭部トラッキング用の外部センサーを必要とせず、自由に歩き回ることができます。 2016 年 9 月のインテル・デベロッパー・フォーラムで初公開され、CES 2017 で新型のデモが披露されました。

「Project Alloy は、感知、認識、指示、操作、学習できるインテリジェントなデバイスです」とボウミックは語ります。

「目の前の世界を 3D でリアルタイムに取得し、3D コンピューター・ビジョン・アルゴリズムによって、その内容を認識します。 機械学習機能により、手の動きなどの人間の意図を理解することもできます。融合現実(MR_)ではヘッドセットを装着し、自分の手をヘッドセットの視界にとらえると、自分の手がVRの中に描き出され、その手を使ってVRの中のさまざまなものに触れることができます。外部コントローラーは必要ありません」(ボウミック)。

Project Alloy ヘッドセットをつけていれば、現実世界の寝室に自分の犬が入ってくると、犬は瞬時にVRの世界にも現れます。 ヘッドセットの中で手を伸ばせば、犬の頭を撫でることだってできるのです。

ボウミックは、VR 環境下で自分の手足を視認することで、身体の感覚を保持することにより、感覚の混乱を抑えることができるため、VR を長時間体験した後の不快感を解消できると説明します。

「融合現実(MR)体験における感情的結びつきを深めるために、Project Alloy ヘッドセットは、現実世界から膨大な量の 3D データを取得して自然な感覚を再現しています。 とてつもない量のデータを高速で取得して処理する必要があります」と彼は語ります。

現実世界を緻密に再現された VR に変換するために、新型 Project Alloy ヘッドセットは、毎秒 5,000 万以上の 3D データを取得して処理しています。 この処理能力により、開発者は没入感の高い新たな融合現実(MR)体験を作り上げることができるとボウミックは語っています。ユーザーはあらゆる場所からお気に入りの旅行スポットを訪れたり、宇宙旅行を楽しんだり、学習や娯楽を体験することができます。

現在Project Alloy ヘッドセットは、新たな融合現実(MR)製品やアプリケーションの開発のため、世界中のデバイスメーカーに提供されています。

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一方、インテル® RealSense™ テクノロジーも、インテリジェンスと自律性を高めるために、あらゆる種類のコンピューティング・デバイスやシステムに組み込まれています。 ボウミックは、物を立体でとらえる高度な視覚系、両耳による聴覚系、触覚神経系と直結した肌触り、嗅覚と味覚で構成される人間の知覚は、自然界で数十億年の歳月をかけて進化し、磨かれてきたと語ります。 この優秀な感覚器官のネットワークが、卓越した処理能力を持つ強力な脳に情報を供給しています。

急速に進んだ知覚コンピューティングの技術革新により、デジタルデバイスはたった 10 年で人間のような感覚を得ることができました。 デバイスを通して得た知覚に基づく経験値をもって、さまざな状況に対応していく世界は目前に迫っています。

 

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