ゲーム

ゲーミフィケーションで顧客獲得を狙う小売企業

Intel Japan Writer

コンシューマーの興味を喚起するために、小売企業はマーケティング戦略にゲームを取り込みつつあります。

3 月のある火曜日、曇り空のもと、数名の通行人がロンドンのメイフェア近くにあるファッション・ブランド Ted Baker のフラッグシップ店のショーウィンドウに集まっていました。

ウィンドウには「こんにちは。おせっかいなご近所さん!」と書かれており、2017 年春期キャンペーン「Keeping Up with the Bakers (ベイカー一家におくれないで)」を紹介するマネキン一家が並んでいました。架空の暮らしが繰り広げられるオリジナルドラマ 「TedPix」 に登場するベイカー一家は、郊外に住む典型的な家族です。

店先を通り過ぎるとき、だれもがディスプレイにキャプチャーされていることに気づきます。まさに「捉えられた」状態です。さらにウィンドウのホットスポットに手を当てると、カメラがパシャリと音を立て、買い物客の反応が、目から出る緑のビームとして表示されます。

店先は自撮りするたくさんの人たちであふれかえっていました。

インテルのインダストリー・セールス・グループ (米国) のジェネラル・マネージャーであるレイチェル・ムシャワーによると、マーケティング担当者は、店舗に足を運ばないコンシューマーの興味を喚起するために、ゲームを検討し始めていると言います。

「どの業界のブランドも、コンシューマーのブランドに対するエンゲージメントを高める方法としてゲームを利用するようになっており、その結果、実際に収益が上がっています」とムシャワー氏。

成功への第一歩は、まず参加すること

オンラインメディアの Retail Touchpoints によると、ビジネスにおけるゲーミフィケーションとは、「ゲームの要素を取り入れて、コンシューマーと製品との関わりや、やり取りを促すこと」と定義されています。

「ゲーミフィケーションによって、コンシューマーを熱心なファンに変えることができます。熱心なファンは、無料で宣伝してくれるだけでなく、忠実なコンシューマーでもあります」と、Spreadshirt でゲームのグローバルヘッドを務めるクラウディア・シンドラ氏は説明。Spreadshirt は、ゲームによる販促に重点を置く e コマース・プラットフォームです。

「ゲーミフィケーションの仕組みがクリエイティブで使いやすく、うまくてきていれば、マスコミやインフルエンサーを惹き付けることができ、さらにそのファン層にも共有されることになります」

また、アリゾナ大学でエグゼクティブ教育の副学部長を務めるジョー・カレラ氏も、ゲームはロイヤルティーの高い顧客を魅了するだけでなく、多くの小売企業が喉から手が出るほど欲しいミレニアル世代の心を捉えることができるとしています。

「ミレニアル世代では、ソーシャル活動がますます盛んになっており、彼らはゲームを通じて学習しています。ゲーミフィケーションによって、これまではつまらないとしか思えなかったようなことにも、娯楽、遊び、達成感といった要素を見いだせるのです」(カレラ氏)

インテルの副社長兼リテール・ソリューション部門ジェネラル・マネージャー、ジョー・ジェンセンによると、一般に、ミレニアル世代は同世代が購入するものにインパクトを与えたいと思っていると同時に、パーソナライズされたサービスや製品を期待する傾向にあります。

また、ゲームによって、飽きの来ているコンシューマーの興味をもう一度喚起することもできると言います。

ゲームを通じてロイヤルティーを向上

ゲーミフィケーションは、さまざまな業界のブランドがコンシューマー体験について考え直すきっかけになったとはいえ、そもそも娯楽やゲームは特に目新しいものでもなんでもありません。

毎日ゲーミフィケーションを活用している Starbucks の場合、カード利用者は、コーヒーを 1 杯買うごとに、星や報奨を獲得しています。「ゲーミフィケーションによってロイヤルティーは高まります。Starbucks のアプリを持っていれば、間違いなく参加しているでしょう」とムシャワー氏。

Nike もゲーミフィケーションを取り入れているブランドのひとつです。ユーザーがランニングの距離、速度、時間を追跡して、仲間と主要な測定値を比較できるようにしています。

また、NFL は、この秋シルク・ドゥ・ソレイユと提携し、拡張現実のゲームを備えた NFL のライブ体験をタイムズスクエアで実現する予定です。

Volkswagon (VW) 社の Sports Car Challenge 2 というアプリは、VW 傘下の選り抜きのスポーツカーをテストドライブできるアプリですが、最初の 10 週間でディーラーへの問い合わせが 2 万 5,000 件、無料のダウンロードは 100 万件に達しています。

「ブランドに関して何かすごいことを実行すれば、ハロー効果によって売上が伸びます」と、Ted Baker のブランド・コミュニケーション・ディレクター、クレイグ・スミス氏。

小売店との関わり方がますますゲーム化するにつれ、やがてコンシューマーは、買い物体験とその仕組みとを区別する方法が分からなくなるかもしれません。

ブランド側にとっての最大の課題は、そのゲームをいつ始めるかです。

 

 

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