テクノロジー・イノベーション

レースチーム「Rotor Riot」が描くドローンの未来

Ken Kaplan Executive Editor, iQ by Intel

プロフェッショナルなドローン・レース・チーム「Rotor Riot」のメンバーたちが、衝突防止テクノロジーや、動画のライブ・ストリーミング、ロボットを飛ばすことへの情熱について語ります。

PC ゲームに熱中するプレーヤーたちの情熱が数百万ドル規模の e スポーツの発展を促し、ゲームをプレイすることで生計を立てられるような道を開きました。ドローンの世界でも、これと同じことが起きつつあります。これまでドローンを飛ばすことを趣味として楽しんでいた人たちの中に、ぞくぞくするような高揚感が高じて、国際レースやフリースタイル競技で賞金を稼ぐプロフェッショナルなパイロットになる人が現れているのです。

一方で、ロボットを飛ばしたいという情熱が、スピードと空中アクロバットへの欲求と相まって、ドローンパイロットの道を選択した人もいます。楽しいことが大好きで少々無鉄砲なスティール・デイビス氏、チャド・ノヴァク氏、トミー・ティバジャ氏、カルロス・「チャープ」・プエルトラス氏もこうしたトレンドを象徴する人たちです。そんな彼らが結成したのが、ドローンレースのチームの「Rotor Riot」です。

Rotor Riot のメンバーはみな、ドローン・テクノロジーへの情熱がスキルを磨く原動力になっています。これは世界中で増え続けているドローン愛好者も同じです。

チームがレースの準備を進める中、「レースにも人生にも、あまり真剣になり過ぎないようにしています。面白い動画を観て、友人とだらだら過ごすのが好き。真面目に考え過ぎても、どうにもならないからね」と語っていたデイビス氏。

Rotor Riot は、ドローンを中心としたライフスタイルを動画シリーズにして YouTube で配信。ほかのドローン愛好家たちと新しい技や才能、テクノロジーを使いこなすコツなどをシェアしているのです。

チームは、ドバイで開かれた 2016 年ワールド・ドローン・プリ の予選で、100 チームと対戦。フリースタイル競技で、デイビス氏とノヴァク氏はそれぞれ第 2 位と第 4 位という結果を収めました。レース後は、チームメイトのティバジャ氏も加わり、障害物回避のための奥行き認識や動画のライブ・ストリーミングなど、ドローンをめぐるテクノロジーについてのアイデアを交換。また、空飛ぶロボットを組み立て、改良することの楽しさについても語りあいました。

ドローンが「モノを見る」能力を獲得:衝突防止テクノロジ

インテル® RealSense™ テクノロジーをベースとした奥行き認識カメラなどの衝突防止テクノロジーは、コンシューマー向けドローンの世界で爆発的な人気を得るだろうとデイビス氏は見ています。ただし、スピードを追求するプロのドローンレースでは敬遠されるかもしれません。

「衝突防止機能というのは、飛行体は飛べば必ず衝突するという前提で働いていますからね」とデイビス氏は苦笑します。レースの醍醐味の 1 つは、障害物レースに似たコースに沿って操縦しながら、どれだけドローンのスピードを上げられるかという点です。

一方、ティバジャ氏は、パイロットを乗せられるほど大きなドローンが登場する日を夢見ています。もし実現すれば、ドローンのスピードや俊敏性を損なうことなく被害を最小限に抑えるために、衝突防止テクノロジーを駆使する意味も出てくるでしょう。

彼が思い描くとおり、2016 年 3 月 30 日、Volocopter VC200 が、認可済みマルチコプターとして史上初の有人飛行に成功しています。

ドイツの e-volo 社が設計したこの電動飛行機の登場は、空飛ぶタクシーが街の上空を飛び回る将来を垣間見るような出来事でした。e-volo 社のフライト制御システムにはインテル傘下の Ascending Technologies 社が提供した障害物回避テクノロジーが使われており、自動でホバリングしたり安全に飛行したりゆるやかに着陸することが可能です。

「衝突防止テクノロジーのおかげで、光り輝く 100 機のドローンが夜空を舞うショーが実現したように、ドローンレースの世界も自律飛行の領域に近づいて行くかもしれません。さらにパイロットが衝突防止テクノロジーから情報を得ることができれば、ドローンのスピードをさらに高めたり、もっと条件が厳しい場所で飛ばせたりするかもしれません」とノヴァク氏。ゴーグルを使えば、肉眼で見ている現実に情報を付加することもできるでしょう。

とはいえ、ノヴァク氏にとってみれば、ドローンレースを盛り上げるのはやはりパイロットの操縦技術と独創性です。「ドローンレースではテクノロジーもさることながら、人間の要素が大きくものを言います」とノヴァク氏は語っています。

動画のライブ・ストリーミングが直面している課

「ドローンからライブ動画を送る際に一番問題となるのは、強度と信頼性に優れたワイヤレス帯域幅の確保です」とデイビス氏は説明します。現在、ドローンレースのレーサーはアナログ動画を使っています。これはデジタル動画を転送するよりも融通が利くという理由からです。

「デジタルによるデータ接続がパイロットの要求に応えられるほど高速かつ堅牢になる日が来るまで、動画データの転送はアナログで行われるでしょう」とデイビス氏。

先日、ATT 社とインテルが共同で、4G ワイヤレス・ネットワークを通じてドローンからライブ・ストリーミングするデモを行いました。

次世代 5G ワイヤレス・ネットワークを構築中のテクノロジー企業がドローンレース用の動画をデジタルでライブ・ストリーミングできるようにしようとするなら、高解像度かつ低レイテンシーでなくてはならないというのがノヴァク氏の考えです。それには、強力でクリアなワイヤレスデータ信号が欠かせません。

「ドローンレースのパイロットにとっては、デジタル信号の伝送環境が劣悪だとすべてが台無しになってしまいます」とノヴァク氏。それはまるで、レース中のパイロットの目を手でふさぐようなものなのです。ノヴァク氏はさらにこう続けます。

「アナログ信号の場合は、信号が弱まると徐々に静止画になるものの、それでもレースは続行可能です。今どきは誰もがデジタル化したがるのですが、デジタル信号の場合は、動画の画質が完璧な状態か真っ黒な状態かのいずれかで、その中間が存在しないのです。これでは使い物になりません」

ここまではパイロット向けの動画の話ですが、観客向けのエンターテインメントとしてのライブ動画になると話は変わります。もしドローンからのデジタル動画を直接インターネットやスマートフォンに確実にストリーミングすることができたら、おそらく Rotor Riot のメンバーは、Twitch か YouTube で「ドローンライブ24時間放送」のようなタイトルの動画を視聴する時間がぐんと増えることでしょう。

デイビス氏は、質の高いストリーミングができるようになるまで、当面はライブ配信アプリの Periscope を使ってドローンからスマートフォン経由で短いライブ動画をストリーミング配信し、Twitter で共有し続けるつもりです。

「私は 1,000 人以上の視聴者にライブ・ストリーミング配信している最中に、自分のスマートフォンをクアッドコプターにくくりつけて、コンクリートの屋内レーストラックに挑んだ最初の人物の一人ですよ」とデイビス氏。

また、「ドローンからライブ・ストリーミングされるデジタル動画の信頼性と品質が向上したら、迫力満点のレース生中継が実現するかもしれません。私がゴーグル越しにリアルタイムに見ているレースの様子や壮大な景色を、視聴者も見ることができるのですからね」とノヴァク氏は補足します。

ドローンの組み立てと改

PC の新しい改造方法を模索するコンピューター・モッダーのように、デイビス氏はドローン関連機器をいじくり回すのが大好きです。こうした作業は彼の日課になっており、心の底から深い喜びが得られる瞬間でもあります。

「ドローンを組み立てるのが楽しくて仕方がないのです。お気に入りの音楽を聴きながら 3 時間から 6 時間ほど作業に没頭していると、気持ちが落ち着いてくるのを実感します」とデイビス氏。

新しい設計を模索していると、新しい技やテクニックが脳裏に浮かぶこともあれば、その逆もあると言います。もっとも、ドローンの組み立てにはマーフィーの法則が潜んでいることもあるとして、デイビス氏はこう語ります。

「やっと組み立てが完成したと思った矢先にちょっとした間違いが見つかり、解体しなければならないことがあります。そのまま放置しておけば、時速 70 マイル (約 113Km) 超で飛行したであろう出力重量比 8-1 という化け物のようなドローンが、高価なだけで役に立たない文鎮と化してしまうのです」

一方、ティバジャ氏にとっての最高の瞬間は、自分の手で組み立てたドローンを初飛行させるときです。もちろん、そこに至るまでの道のりは容易ではありません。

「調子よく 10 の工程をこなした直後に、取り付け方法や配線方法でもっとすっきりとうまくいくアイデアがひらめくことがあります。でもやり直すことを考えるとイライラが募るだけなので、先に進むことにしています」とティバジャ氏。

ノヴァク氏も機械いじり好きを自認する一人ですが、すでに十分に工夫されていることをさらに練り上げ、より良いものにできたときに達成感が得られると言います。

「もちろん、本当はドローンを飛ばしたい気分なのに作業場で長時間の作業を強いられれば、フラストレーションが溜まることもありますけどね」 (ノヴァク氏)

新しいドローン・テクノロジーに望むこ

デイビス氏は、ボトルネックとなっているのはコンピューターの処理性能ではなく、バッテリーの持続時間だとしています。一方、ティバジャ氏はコンピューターの処理性能がアップすれば、ジャイロスコープやモーター、フライト・コントローラーがタイムラグなくリアルタイムに通信できるようになると見ています。

「重要なのは、究極の安定飛行です。加速度計などのセンサーと組み合わせることで、好みの設定で飛行をコントロールすることができます。例えば高度 3m で時速 90 マイル (145Km) を維持することができるのです」とティバジャ氏。

ドローンにきらびやかに輝く光を取り入れてみたいと言うデイビス氏は、「深海で生物発光するクラゲのように、効率のよい方法で滑空してみたいですね。とてもシンプルな LED か、軽量で低消費電力の発光装置を装備できれば最高でしょう」と語っています。

ドローンレースの未

クールで新しいテクノロジーが登場することで、ドローンレースの未来も変わっていくでしょう。やがてサッカーのようなチームスポーツもドローンが主役になるかもしれません。人間の代わりにドローンたちがフィールドを駆け巡るのです。

ノヴァク氏は大型ドローンのレーシングリーグを思い描いています。それは、自動車の 3 分の 1 ほどの大きさのドローン 8 機が 20 分間のレースを展開し、ときどきバッテリー交換のためにピットインする光景です。

「たまにクラッシュがあれば迫力満点でしょうね。新しいテクノロジーは新しい可能性を広げてくれます」とノヴァク氏。果てしなく広がるドローンレースの未来に胸が躍ります。

 

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