イノベーションを生み出す母たち

女の子に教育の機会を!国際ガールズ・デー

国際連合 (国連) が 10 月 11 日を国際ガールズ・デー (International Day of the Girl Child) と定めてから 4 年が経ちました。その間、世界中で教育支援活動が活発になり、女の子たちの人生が変わろうとしています。

南アフリカのヨハネスブルグから北東に約 2 時間半、牛や山羊が草を食むトゥイーフォンテーン地域では、50 人の若い女性がテントの下に集い、テクノロジーのスキルを学んでいます。

その中の何人かは電気もない粗末な家に住んでいますが、ここではその件には触れないでおきましょう。彼女たちには、このような教育こそが自分たちの暮らしを向上させ、いつの日か、貧困と虐待の悪循環から抜け出すきっかけになると分かっているのです。

近年、女の子と女性の権利が国際的に注目を集めるようになったのを受け、さまざまな取り組みがスタートしています。その 1 つがこの教育プログラムです。特に、国連が 2011 年に 10 月 11 日を国際ガールズ・デーと定めてから、こうした取り組みが加速しています。

インテルの Global Women and Girls Initiative (世界中の女性と女の子のためのイニシアチブ) のディレクターを務めるスザンヌ・フォレンダーは、「女の子や女性に直接働きかけることによって、社会的かつ経済的自立を促す大きなチャンスがあるのです。

また、教育を受けたりテクノロジーを利用することが、彼女たちの自立を促すうえでどれほど役立つかを示す、有意義な研究結果もあります」と説明。

簡単に言えば、女の子と女性に教育の機会が与えられることは、すべての人にとって有益なことでもあるのです。

#62milliongirls

調査によると、学校に通った女の子は、支給される給料の額が高く、家族も健康で、HIV の罹患率や出産時の死亡率が低くなることが分かっています。また、女性は自分の居住地域に投資する傾向が高いため、女子に教育の機会を与えることは地域経済、さらには国家経済を活性化することにもつながります。

しかし、残念なことに、学校に行けない女の子の数は世界中で 6,200 万人にものぼります。

その理由は、学費を払えない、学校に通うための安全な交通手段がない、女の子には教育を受けさせる価値がないという考え方が根付いている、などさまざまです。

この問題に注目してもらおうと、2015 年 10 月、#62milliongirls というキャンペーンが始まりました。これは、米国のミシェル・オバマ大統領夫人と世界中の女子教育を支援するインテルが出資する取り組み「Girl Rising」の一環で、社会の問題意識を喚起し、教育が人生を変えることを実証するのが狙いです。

初等教育就学年齢に相当する子供のうち、実際に学校に通う女の子の割合はここ 15 年で上昇していますが、もっと増やす必要があります。中でも特に大きな課題となっているのは、思春期の女子の就学率を上げることです。こうした課題を背景に、国連は The Power of the Adolescent Girl (思春期の女子の力) を今年のテーマに掲げました。

国連の文書によると、思春期は女子にとって重要な時期であるとされています。思春期の女子に、安全で健康的な生活と教育の権利が与えられれば、将来彼女たちは働き手、母、指導者、科学者、企業家、リーダーとして、世界を変える力を身に付けることができます。

今年に入ってから、ホワイトハウスは「Let Girls Learn (女子に教育を) 」イニシアチブを開始。この取り組みは特に思春期の女子を対象としており、彼女たちが教育を受ける際の障壁を取り除くことを目指しています。

行動しなければ変わらない

マララ・ユスフザイ氏は、パキスタンのスワート渓谷に住む女の子です。彼女は、すべての子供たちが楽しく学校に通い、性別に関係なく、教育を受ける権利を持つべきであると強く感じていました。

しかし、現地のタリバンの指導者たちは正反対の考えでした。それどころか、この地域の女学校を攻撃したのです。このような脅しにも負けず、マララ氏は泣き寝入りしませんでした。

「黙り続けるか、ここで立ち上がるか、どちらかの道を選ばなければならないときがあります」とマララ氏。

2008 年、11 歳のマララ氏は、ペシャワールで女子の教育を求めるスピーチをしました。

その後も、BBC のブロガーとして活動しながら、自身の状況を公の場で訴え続け、次第に教育活動家として国際的に高く評価されるようになりました。

これに激怒したタリバンは彼女に殺害を予告。2012 年 10 月 9 日、学校からの帰り道を狙い、タリバンの狙撃犯が彼女の額を銃撃したのです。

マララ氏は銃撃による負傷から回復した後も、教育活動家として積極的な活動を続け、国連でもスピーチを行いました。そして 2014 年、史上最年少でノーベル平和賞を受賞したのです。

今年の国際ガールズ・デーに合わせて、アカデミー賞受賞経験を持つ映画監督デイビス・グッゲンハイム氏による新編ドキュメンタリー映画『He Named Me Malala』(私はマララ) が公開されました。

グッゲンハイム氏は最近のインタビューでこう述べています。「彼女は自分の信念を貫くために、自らを命の危険にさらすことになりました。これほどまでに厳しい道を選択できたからこそ、並外れた人物になり得たのです」

現在もマララ氏は自らの信念に基づいて活動を続けており、他の人々にも行動を促しています。彼女は国連でのスピーチで、こんな風に語っています。「読み書き能力の欠如、貧困、テロリズムに対して名誉ある戦いをするために、本とペンを手に取りましょう。この 2 つこそが最も力強い武器なのです」

女性とテクノロジーをつなげる

ナイジェリアのムシンに住む美容師のジェシカ・オルジ氏は、コンピューターを「Yahoo ボーイズ」のための道具だと考えていました。「Yahoo ボーイズ」とは彼女の造語で、インターネットを通じてお金を巻き上げる人々のことです。もちろん、自分がキーボードに触るなど、考えても見ませんでした。

そこへ、女性とテクノロジーをつなげ、インターネットのジェンダーギャップ (性別の違いによる格差) を解消するための取り組み「Intel® She Will Connect」プログラムが開始されました。対象となるのは、性別によってインターネット利用率に大きな開きがある地域です。彼女が住むサハラ以南アフリカでは、女性がオンラインにアクセスする比率は男性に比べて 43% も低い状況です。このプログラムでは、女性がデジタル活用能力を高め、テクノロジーを利用する方法を学び、生活の質を高めていけるように支援しています。

「インターネットのおかげで、より多くの人々に自分のことを伝えることができます。Facebook* を使って、美容師としての自分の仕事をオンラインで宣伝できますし、チラシを作成したり、予算を立てることも可能です」とオルジ氏。

こうした事例はオルジ氏に限りません。

トゥイーフォンテーンのテントでは、19 歳のマギー・ムホンザ氏が、夢である結婚カウンセラーに向かって努力を続けています。家族の中で高校を卒業したのは彼女が初めてです。

「グローバルパートナーや地域のパートナーの協力のもと、新しいモバイルアプリやオンラインリソースを使って、Intel® She Will Connect で対面式の教育を受けた女性は 60,000 人を超えています」とフォレンダーは説明。この取り組みをさらに広げるため、年内に新しいオンライン学習プラットフォームのリリースも予定されています。

Women in Technology in Nigeria の創設者であり代表でもあるマーサ・アレード氏によると、このプログラムがアフリカに住む多くの思春期の女子をやる気にさせたようです。

「このプログラムでは、貴重な機会やリソースとの接点を作ることで、女子にテクノロジーを通じて社会的かつ経済的な力を与えています。また、彼女たちに発言権を与え、地域の中で変化を触発する存在になることを促しています」とアレード氏。

ケニアでは起業プログラムを通じて若者の自立を支援する 「The Youth Banner」が展開されています。この活動に従事するリリアン・ヌジョグ氏は、こう語っています。「我々がインテルと協働しているのは、デジタルリテラシーを前面に押し出すことで、女子や女性に力を与え、彼女たちの可能性を広げるためにほかなりません」

チャンスは訪れる

テクノロジーのジェンダーギャップが問題になっているのは米国も同じです。

2013 年のホワイトハウスのレポートによると、コンピューター関連の分野で 2020 年までに 140 万人の雇用創出が見込まれるものの、コンピューター・サイエンスを専攻する学生数は、それだけの雇用需要に全く追いついていないとしています。

予測では、雇用需要に対するアメリカ人の就業割合は 29% 未満。このうち女性の割合は 3% にも満たないとされています。

映画監督のロビン・ハウザー・レイノルズ氏とプロデューサーのスタッチ・ハートマン氏は、この問題に触発されて新しいドキュメンタリー映画『Code: Debugging the Gender Gap』(コード:ジェンダーギャップをデバッグする) を制作。今年のトライベッカ映画祭で初公開されたこの映画は、「ブログラマー (brogrammer:brother と programmer を合わせた造語) 現象」や、大手のテクノロジー関連企業で男性率が圧倒的に高い理由を深く掘り下げています。

Aspen Institute の所長であり伝記作家でもあるウォルター・アイザックソン氏は、このドキュメンタリー映画の中で、とりわけ次の点が驚きであると語っています。「初期のプログラマーには女性がたくさんいましたが、残念ながら彼女たちは歴史の記述から抜け落ちていったのです」。

その証拠に、20 世紀半ばには、初めて大規模デジタル・コンピューターのプログラミングを行い、世界初のコンパイラーを開発したグレース・ホッパー氏が、「コードの女王」「COBOL のおばあちゃん」などと呼ばれていました。

このドキュメンタリー映画は、テクノロジー業界でジェンダーギャップが広がった理由を探るだけでなく、その解決方法も提案しています。

また、こうした課題に対処するための教育プログラムも開始されています。

例えば、女子にプログラミングを教える Girls Who Code では、公的機関や私的機関と提携し、女子高校生がコンピューター関連の分野でチャンスを切り拓いていくための教育や動機付け、そのためのスキルやリソースを提供する取り組みが行われています。

Facebook* のエンジニアであるジョスリン・ゴールドフェイン氏は、この映画の中でこう語っています。「現在は、まさに『ロージー・ザ・リベッター (リベット工のロージー。第二次世界大戦で戦場に赴く男性の代わりに女性が労働力として重視された) 』の状況にあります。仕事はあるのに、働く人が足りないのです」

女性の地位向上に向け多方面に変化

世界中の女子や女性の地位向上に向けて、やるべきことは山積みですが、国連による意識向上の取り組みや、世界中の国々や組織の活動によって変化も見え始めています。

フォレンダーは最近、Intel® She Will Connect プログラムの支援を受ける女子や女性と会いにアフリカを訪れ、次のような感想を述べています。「印象に残ったのは、ものすごいエネルギーが生まれつつあるということです。もちろん障壁はあります。しかし多方面で、女子や女性に投資しようという意欲が高まっており、経済も成長しています。希望は広がっています」

 

写真提供:ウォールデン・カーシュ、スザンヌ・フォレンダー

* その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。

 

 

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