テクノロジー・イノベーション

空飛ぶデータマシン、上空から世界をデジタル化

Shawn Krest Writer, Movable Media

ドローンは、さまざまな業界や組織にとって不可欠なデータ収集ツールになっています。

もはや“カメラを搭載した飛行ロボット”という言葉では言い尽くせません。 なぜなら、上空に浮かぶデジタルの目として、価値ある洞察の提供や効率化に貢献するビジュアルデータを収集しているからです。

現在の商用ドローンは、橋や建設現場の 3D マップの作成、前人未到のブラジル熱帯雨林地域の調査、安全な採掘場所の発見、迅速な災害救助活動の支援などを行っています。 ドローンのおかげで、ますます実世界のデジタル化が進み、人々はコンピューター・テクノロジーや人工知能 (AI) を使用して物事を追跡し、管理できるようになっています。

「ドローンの未来は、収集するデータと、そのデータの活用法にかかっています。私たちが作り上げようとしているものには、ドローンをはじめ、センサー、データベース、クラウド・コンピューティング、マシンラーニングなどの技術が極めて重要になってきます」と語るのは、Airbus 社の UAV 開発・応用イノベーション・マネージャー、

ロニー・グネコ氏です。

航空業界における安全検査にドローンを使用する方法を開発しているグネコ氏は、インテルの AscTech Falcon 8 ドローンで撮影した高画質の航空写真を処理し、航空機の 3D モデルを作成するシステムを構築しました。 ドローンが撮影したデジタル画像は、設計に特化した Airbus 社のソフトウェアによって分析され、検査者は損傷の識別、正確な損傷場所の特定、検証可能な検査のための記録などが行えます。

エアバス機の上を飛行するドローン
インテル® Falcon 8 ドローンを使用してビジュアルな安全検査を実施する Airbus 社。 写真提供: Airbus 社。

従来は、新しいエアバス機の品質検査に 2 名の人員を配置し、移動クレーンでの作業に 2時間を要していましたが、「Falcon と当社が開発したソフトウェアを使用することで、約 10 分のフライトで航空機の周囲をすべて飛行し、150 枚の高精細画像を撮影できます」とグネコ氏は 説明します。

実世界をデジタル化するドローン

農業、建築業、製品配達、その他の業界に使用される商用ドローンの売上は、世界市場全体で現在の 20 億ドル (約 2,250 億円) から 2020 年には 1,270 億ドル (約 14兆円) に増えるだろうと、コンサルティング会社の PwC 社は予測しています。

ドイツに本社を置く MAVinci 社の共同最高経営責任者で共同設立者のマルコ・メラー氏は、「ドローンの産業利用が急速に進んでいるのは、時間とコストを節約できるだけでなく、危険な検査における人員の安全を確保できるからです」と説明。同社はインテルが買収した企業で、無人航空機システム (UAS) による土地測量と地図化を専門としています。

「ドローンによってさまざまな業界が一変するでしょう。 測定の必要なものに物理的に触れる必要がなくなるなど、これまで必要だったさまざまな人的操作を省けるようになります」とメラー氏。

MAVinci 社は、ドイツの国内若手科学者コンテストで出会った技術者らが 2009 年に設立。その後、欧州宇宙機関 (ESA: European Space Agency) の支援を得て成長してきました。メラー氏が、「同社はデータの収集と処理を行うエンドツーエンドの自動ツールチェーンに重点を置いている」と言うとおり、インテルの商用ドローンシステムにおいて、飛行任務の計画からデータ管理テクノロジーまで、エンドツーエンドのシステム構築には欠かせない存在です クラウドベースのデータ処理と分析ツールによって、 [Learn more about Intel Insight Platform technology.]

さまざまな業界がドローンシステムを利用して、 インフラや機器、環境の管理を行うための 2D または 3D モデルを作成できるようになります。

現在、同社は、カメラとソフトウェアを搭載し、飛行計画から、管理、制御、データ処理までを行う軽量の完全自動航空機を製造しています。

上空からのデータ収集の自動化

事前に作成された飛行計画によってプログラムされたドローンは、指定された場所でカメラを起動し、土地や地上に固定された物体のデジタル画像を撮影します。 それらの画像がモザイク画のように組み合わせられて、1 つの 3D デジタルマップになります。

ドローン (飛行するデータマシン)
危険で測量士が入れないような人里離れた地域の地形も調査できる、MAVinci 社の固定翼ドローン Sirius Pro。 写真提供: MAVinci 社。

「当社は誤差範囲が 3 センチメートル未満の精密技術を開発しました。 この技術を使うと、飛行任務の制御と計画を自動的に行うことができます」とメラー氏。そうした任務には橋やインフラの検査も含まれます。

この正確なマッピング機能が完成するまでは、測量士が手作業で、距離を示す大きな白い十字マークを地面に付けなければなりませんでした。 しかも、これらの基準点は、緯度、経度、高度のちょうど中心にくるように特別な機器で測定されており、 この十字マークを目印に、ドローンの収集データを修整できるようになっていたのです。

これは大変な作業でした。 「MAVinci 社のドローンなら、基準点など必要ありません。常に現在地を正確に把握するようプログラムされているからです」とメラー氏。

おかげで、測量プロセス全体をスピードアップできるとともに、測量前の下見という面倒で危険な作業を回避できます。 また、MAVinci 社なら、熱帯雨林や不安定な地形など、地面に印を描くことができない場所にもドローンを送り込めます。

上空から収集する数ギガバイトものデータ

「MAVinci 社の固定翼ドローンは、1 日当たり約 200 ギガバイトのデジタル画像を生成します。

非常に大きなハードディスク・ドライブでも、1 台のドローンですぐにいっぱいになります」とメラー氏。また、「昨今、業界全体で、ドローンが収集するデータの管理と分析に重点を置くようになっています」と指摘します。

このようなデータは、安定的な運用、安全の管理、 さらには効率性の追求を必要とする企業や組織にとって極めて有益であり、

今後は、自動化、コンピューター・ビジョン、AI が大きな役割を果たすようになると考えられます。

さらに、天然資源の採掘、農業、保険、インフラなど、特定の業界の独自のニーズにも対応できるとして、メラー氏はこう予測します。

「今あるツールは、主として体積測定です。

大きさや長さをキャプチャーすることで測定できます。 正確な位置を特定し、土地や物体のマップを作ることも可能です。 物体のさび、ひびなどの変化が分かる極めて高精細の画像をドローンで撮影できるので、今後は、自動検出機能も強化されるでしょう」

MAVinci 社の固定翼ドローン Sirius Pro によって、農家は植物の健康状態の監視や作物の生産量の最適化を行えるだけでなく、水の消費量や肥料のコストを削減できます。 しかも同社のドローンなら、地上に基準点を設定しなくても、完全自動飛行が可能です。

「コストをかけずに素早く安全に効率よくデータを収集できるドローンは、実世界とデジタル世界をつなぐ極めて重要なツールになるでしょう」とメラー氏は語っています。

※文中に記載の金額は、日本語原稿執筆時の為替レートで計算しています。

編集者注: インテルがもたらす新しい商用ドローンのイノベーションについて、詳しい情報をぜひご覧ください。

 

 

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