ゲーム

生体情報を巧みに利用したバイオフィードバック・ゲーム

Jon Irwin Author, Kill Screen

幽霊屋敷の中を通り抜けたり、障害物を乗り越えたり、闘争・逃走反応 (人が恐怖を感じたときの本能的な反応) を制御したり…。ゲームに挑戦するプレーヤーは、いかなるときも冷静さを保つことによって、自分の健康を取り戻し、心身ともに良好な状態へと引き上げなければなりません。

スペース・インベーダーが日本に登場したとき、ゲームセンターはこの宇宙からの侵略者に対する射撃場と化し、日本中で 100 円玉が不足する事態になりました。

このゲームは、誰の心にもある未知のものへの恐怖心をかき立てるストーリーで、動きは単純ですが、なかなか厄介です。

中でもプレーヤーが最もスリルを覚えたのは、宇宙的な効果音かもしれません。時間が経つにつれてどんどん加速していくシンプルなビート音が、何度プレイしてもプレーヤーをワクワクさせます。

どんなビデオゲームも、プレーヤーのバイオリズムになんらかの影響を与えるものですが、最近のゲームは、プレーヤーの生理的反応をゲームの中に取り込むように設計されています。

インテル® RealSense™ テクノロジー対応ゲームのエグゼクティブ・プロデューサーであり、長年インテル® RealSense™ テクノロジーによる感覚入力の開発に携わってきたチャック・マクファデンは、こう説明します。「ゲームの最も基本的な操作が、ボタンを押すことではなくなる日が来ると思うとワクワクします。自分がどういう反応をしたか、どこを見たか、何を言ったか、あるいは言わなかったかによって、ゲームを操作できるようになるのです。

あなた自身がそのまますっぽりゲームの中に入り込んだようなものです」

Skip a Beat

深度センサーを用いたカメラ技術のおかげで、ゲームメーカーは、プレーヤーの体の動きや心拍数をゲーム展開に反映できるようになりました。

従来のバイオフィードバック・ゲームの試みは、ほんのスタートにすぎなかったと言えるでしょう。例えば、「テトリス 64」 には、プレーヤーの心拍をモニターするイヤークリップが付属しており、心拍数の変化に応じてパズルゲームの難易度が変化しました。

しかし、最近の全く新しいゲームでは、単に面白くするためだけでなく、プレーヤーが自分自身の健康状態を把握し、それをコントロールできるようにするために、プレーヤーの体を利用するようになっています。今や、シューティング・ゲームでハイスコアを出す代わりに、プレーヤーは自分の精神的、情緒的、身体的な健康を獲得することに狙いを定めることができるのです。

これなら、少しは意味がありそうです。

Skip a Beat

オランダの小さなチームが開発した「Skip a Beat」は、測地系のイラストが得意な心臓病専門医が制作した「Flappy Bird」 (スマートフォン向けの人気アクションゲーム) にも似たゲームです。

プレーヤーが、スマートフォンの背面にあるカメラを指で覆い、フラッシュを照射すると、内蔵された光センサーがプレーヤーの心拍を記録。その数値が、画面の動きに影響を与える仕組みです。

プレーヤーの心拍数が上がると、空を飛んでいるカエルのキャラクターが大きくなります。これは、障害物を避けるのがより難しくなることを意味します。

安定した心拍数を維持し、冷静な状態を保つことができれば、さらに難しいステージに挑戦できるようになり、果てしなく走り続けられるようになります

Mindlight

「神経系フィードバック・ゲーム」とも言われる「Mindlight」の最大の敵は、想像上のモンスターなどではなく、プレーヤー自身の不安です。

プレーヤーは 1 つの電極が装備された簡単なヘッドセットを装着。この電極がプレーヤーの脳波を測定し、その結果をゲームの世界に反映するのです。

SF のような内容は、実際にはラドバウド大学発達精神病理学科の研究に基づいています。

ゲームの中のキャラクターが暗闇や不吉な館を進む際には、魔法の帽子に付いている灯りが、行く先を照らしてくれます。プレーヤーは部屋から部屋へと進みながらパズルを解き、恐ろしい生き物を倒していきます。

プレーヤーがビクビクしたり、不安になったりするたびに灯りは暗く消えそうになり、行く先がはっきりと見えなくなるのです。

「Mindlight」を手がけた GainPlay Studios は、プレーヤーの実際の精神状態をリアルタイムにフィードバックすることにより、恐怖反応をコントロールする能力を強化する、新しいタイプのビデオゲームを制作しています。

Nevermind

人は、時に怖いものが見たくなります。Flying Mollusk が制作した「Nevermind」は、幽霊屋敷を探検するプレーヤーが緊張すればするほど、ますます幻覚的で恐ろしい体験を味わえるホラーゲームです。

このゲームでは、特別なバイオフィードバック・デバイスは必要ありません。プレーヤーの精神状態を知る方法として、インテル® RealSense™ カメラを内蔵したセンサーが使われています。

このセンサーにより、プレーヤーの気持ちがゲームの世界に反映されます。バイオリズムが非常に不安定であると判定されると、それまで平和だったキッチンがゆがんで水浸しになり、動きのない悪夢に変わります。

この悪夢のような場面が本当にプレーヤーに恐怖を感じさせるかどうかを検証するため、開発チームは何度も何度もテストを重ねたと言います。これは実に難しい作業でした。

ゲームの開発段階をサポートしたマクファデンは、「不安を掻き立てるイメージや、突然ドキッとさせる手法は、何度も同じ体験をすることで、次第に効果が薄れていきます。我々は、心拍数を操作するための独創的な方法を考え出さなければなりませんでした」と説明します。

最終的に完成したのは、現実をゆがめることでプレーヤーの恐怖感をもてあそぶ「The 7th Guest」や「Silent Hill」などのアドベンチャー・ゲームとは全く異なるゲームでした。ゲームの中の恐怖と現実世界にある恐怖の間の壁を取り払うことで、結果としてゾッとするような恐ろしいゲーム、「Nevermind」が完成したのです。

Wild Divine

ビデオゲームでは、プレーヤーが任務を達成した報奨として、耳をつんざくような爆発音でプレーヤーを興奮させることがよくあります。「Wild Divine」は、このようにすり減った神経を鎮めるところに着目しました。

「Wild Divine」は単なるエンターテインメントではなく、“瞑想のレッスン”とも言えるゲームです。プレーヤーは、IomPE バイオフィードバック・センサーを使用して、自分の体の反応をすぐに捉えることができます。

あるシーンでは、水に浮かんだバラの花びらが画面に映し出され、プレーヤーは、ゆっくりと息を吸ったり吐いたりするように指示されます。

一般的な瞑想ビデオでは、「正しくできているかどうか」は、実践する人の判断に任されていますが、「Wild Divine」では、内蔵センサーがその質問に答えてくれます。開発者が意図したとおり、プレーヤーはゲームと通じて、瞑想というものは「注意を払う練習以外に何もすることはない」のだと理解することができます。

MindMasters

バイオフィードバックは、プレーヤーに今までにない新しい体験をもたらしてくれますが、ゲームをプレイすることによって、もっと大きなコミュニティーに重要な情報を提供できるとしたらどうでしょうか。

こう考えたロチェスター工科大学とセント・ジョーンズ大学は、共同プロジェクトを立ち上げ、単にプレーヤーの神経システムを測定するだけでなく、データ収集が行える生理学的コントローラーの開発に着手しました。

あらかじめ用意された一連の質問に答えると、各プレーヤーに自分だけのアバターが生成されます。プレーヤーは闘争・逃走反応を利用して注意深くアバターを導き、仮想環境の中を進んでいきます。

こうしてプレーヤーは、ゲームを通じて、家庭、学校、職場などで困難を乗り越える能力を強化できます。

一方、研究者は多数のプレーヤーの累積結果を調査することにより、精神衛生上の問題や行動上の問題に対応するより良い方法を見つけ出すことができます。

さらにもう 1 つのメリットとして、プレーヤーに「科学の発展のために」ゲームをしているのだというインセンティブを与えることもできるでしょう。

 

 

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