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全身を使って操作するゲーム・コントローラーが続々登場

Jason Johnson Freelance writer and editor

Wii リモコンをはじめとするモーション・コントローラーが、ゲーム・コントローラーの新時代を切り拓きました。プレーヤーは指先だけでなく身体のさまざまな部位を使って操作し、風変わりな「Simon Says」ゲームのテレビゲーム版に参加したり、色鮮やかなゲームの世界を探検したり、壊れた心臓を組み立て直したりします。
※「Simon Says」ゲームは、先生が「Simon Says」と言ったときだけ命令に従うゲームで、日本語では「船長さんの命令」ゲームと呼ばれる。

短期間に爆発的な勢いで市民権を得たテレビゲームは、コントローラー・ボタンをカチカチと押す音が聞こえただけで人々にゲームを連想させるようになりました。テレビゲームの大半は手や指を痙攣のようにぴくぴくと動かすだけでコントロールでき、身体のほかの部位を動かす必要がありません。もちろん、Wii リモコンを振ってテニスボールを打ったり、Xbox Kinect で手の動きを検知させたりなど、指先だけで操作するコントローラーばかりではありませんが、それでも、900 にも及ぶ人間の関節や筋肉の大部分はほとんどプレイに使われていません。

ところが、これまでとは異なる新世代のゲーム・コントローラーの登場によって、ボタンをカチカチ押して操作するコントローラーは、もはや主流でなくなりつつあるようです。最近登場した魅力的なゲーム・コントローラーは、従来のコントローラーに引けを取りません。

ゲーム開発者やゲームデザイナーは、これまで以上に、プレーヤーが全身を使って楽しめるような、型破りで愛嬌のあるハイテクゲームを作り出しています。

Homies
Homies

装置製作者兼インタラクティブ・デザイン・インストラクターのサム・シェフィールド氏は、野生に帰ったような気分にさせてくれる愉快なゲーム「Homies (僕の小人)」を制作。このゲームは、ポップアートからヒントを得たというロボットのマスクをかぶり、指示されたとおりに動作をするという、いわば「船長さんの命令」のテレビゲーム版です。ただし、マスクをかぶっているため動作はぎこちなくなります。横柄な態度の執事が出す命令に従って、プレーヤーはロボットの鼻の穴や耳の穴などに指を突っ込みます (あまり褒められたことではありませんが)。

「目玉はバネの上に乗っているので、追いかけ回さなければなりません。マスクをかぶっているので自分の動作を目で確認できず、やってみると意外に難しいはずです。

このゲームの趣旨は、自分の顔のパーツがどのように配置されているのか、改めて確認する機会を与えることなのです」とシェフィールド氏。

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Homies は、Game Developers Conference 2015 の ALT.CTRL.GDC (代替コントローラーを展示するセクション) に初出展されました。ほかの実験的なコントロール・インターフェイスと並んでいる Homies を目にして、多くの人が大笑いしたり、怪訝そうな目を向けたりしましたのも無理はありません。Homies のレベル 2 では、プレーヤーは狼のマスクをかぶります。

プレーヤーは、命令に従って頭を画面上の月に向け、アオーンと大声で吠えなければならないのです。さらにレベル 3 には、映画「アマゾンの半魚人」に出てきたようなマスクが登場するはずでしたが、シェフィールド氏は半漁人にぴったりなジェスチャーを思いつかなかったためにこのアイデアをあきらめたと言います。

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身体のいろいろな部位を使ったゲームを実験的に開発しているのは、シェフィールド氏だけではありません。固いプラスチックに覆われたゲームパッドにとらわれず、自由に発想しようとしているゲームデザイナーはますます増えつつあります。もちろん、テクノロジーがなければアイデアを実現することは不可能だったと言えるでしょう。

インテル® RealSense™ 3D カメラのような新しいタイプの入力装置が成熟期を迎えたことを受け、創造性をかきたてるツールが次から次へと登場しています。

インテルのデベロッパー・エバンジェリスト、エリック・マンションは、「モーション・コントロール・カメラの初期バージョンを使ったことがある人なら分かると思いますが、まるで『スティックマン』(某人間を操って敵を倒しながら進むゲーム) をプレイしているような代物でした。今、私たちはインテル® RealSense™ テクノロジーを使って、もっと細かい調整ができるようにしようとしています。コンピューターに人間の持つ奥行き認識能力を与えることで、顔や手のジェスチャーを読めるようになります」と説明します。

このこと自体、とてもやりがいのある挑戦です。ゲームをやる上で基本的に不可欠とされているコントローラーについてもう一度考え直すことは、しばしば遊び方そのものをがらりと変容させる結果につながります。

alternative gaming controllers

例えば、今年の ALT.CTRL.GDC に出展された「Palimpseste」は、万華鏡を思わせる空間の中を一人称視点で探索するゲームで、ゴーグルに付いているダイヤルを回すと、赤、青、緑のカラーフィルターが入れ替わり、それまで隠されていたものがゲームの世界に現れる仕掛けになっています。

また、「Awkward Ellie」では、プレーヤーは象の鼻を模したかぶり物をつけて不器用な象になりきります。高価なせともの屋で周りの人に迷惑をかけるようなタイプのキャラクターです。

Awkward_Ellie_2_no credit

ALT.CTRL.GDC 以外では、独立系ゲームの祭典 IndieCade で「Maze of Heart」が紹介されました。これは、次世代モーション・センサー・カメラを使って、プレーヤーの全身を一種の機械仕掛けのパズルボックスに見立てたゲームです。プレーヤーは、身体のさまざまな部位が壊れて散らばってしまったロボットの心臓を、自分の両手両足を動かすことで移動させ、元の胸の位置まで戻します。

このゲームの設計技術は非常に未来的ですが、こうした進化に対し「自然に帰ろう」とする要素も見受けられます。

「新しい没入型 3D テクノロジーの数々を見ていて面白いのは、今までのゲームが置き去りにしてきたような人間のジェスチャーをゲームで使えるようにしたことです。

身ぶり手ぶりには驚くほど語彙があり、実用的なだけでなく、さまざまな表現ができます。ところが、デジタルゲームをプレイしている時はそれらを全く使いません。最近出てきたこれらのテクノロジーによって、人間のジェスチャーに新しい可能性が開かれつつあります」

例えば「Aboard the Looking Glass」では、プレーヤーは行方不明になった乗組員仲間を探すために、自分の両手のシルエットを透かし、ヒントを発見しながらゲームの世界を探検します。
例えば「Aboard the Looking Glass」では、プレーヤーは行方不明になった乗組員仲間を探すために、自分の両手のシルエットを透かし、ヒントを発見しながらゲームの世界を探検します。

複雑な操作を必要とするゲームパッドが嫌で、これまでゲームから遠ざかっていた人もいるでしょう。直感的なコントロールを可能にするテクノロジーには、楽しいことを想像するための豊かな環境を作り上げるだけでなく、そうした人々を温かく受け入れる力があります。

全身を使ったゲームの新しいトレンドは、マイクロジェスチャー (一瞬のかすかな身ぶりや表情) だとして、シェフィールド氏は、「それこそ、人間の手や指に本来備わっている機能です」と語ります。

標準的なコントローラーとカチカチとボタンを押す動作から一歩離れて全身を使ったゲームをデザインすることで、メディアは一層身近になり、人間に優しくなりつつあります。

 

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