テクノロジー・イノベーション

AI でスマート化するドローン、写真家にも使いやすく

Ken Kaplan Executive Editor, iQ by Intel

認定ドローンパイロットや人工知能 (AI) の専門家によると、テクノロジー・イノベーションによってますますスマート化するドローンは、機能が豊富になり、簡単に操縦できるようになるといいます。

数年前から市場に登場したドローンは、操縦の難しいリモート制御のドローンから、今や、スマートな自律型の飛行ロボットに置き換わりつつあります。 最先端のコンピューター・ビジョン (ロボットの目) と AI のテクノロジーが搭載された新しいドローンは、自動的に見て、考え、所有者に対して反応できるようになっています。おかげで簡単かつ安全で、ほとんどの人が操縦できるようになると、専門家は見ています。

「より高度なテクノロジーによってスマート化し、ますます機能が豊富になるなど、ドローンのイノベーションは急速に進んでいます」と、ドローン愛好家である写真家 のカーラ・マーフィー氏は語ります。彼女は、小型の無人航空機 (UAS) の商用飛行ライセンスを受けた Part 107 認定パイロットです。

「ドローンが登場した当初を知っている人であれば、ドローン・テクノロジーが短期間でいかに飛躍的な進化を遂げたかが分かります」とマーフィー氏。

Drone360 Magazine への寄稿者であり、DroneDeploy 社などの企業コンサルタントを務めるマーフィー氏は、毎年開催される フライング・ロボット国際映画祭 に携わっています。 「ドローンの進化によって、新しい写真体験が広がっているだけでなく、操縦や追跡も容易になり、ほとんどの人に扱えるようになっています」とマーフィー氏。

数年前までバッテリー持続時間は最大でも 6 分ほどでしたが、 現在は最大 30 分です。 新しい DJI Spark のように、顔認識用の内蔵 AI や衝突回避用の物体検出機能を搭載したドローンも増えていくだろうとマーフィー氏は考えています。 こうしたテクノロジーによって、ドローンは、まるで飛行するパパラッチのように所有者に付いていったり、

状況を認識して物体を回避したり、 シンプルな手の動きに反応できるようになっています。

スマートに飛行するドローン

今年 DJI 社がリリースした最初のミニドローンである Spark には、多数のカメラとセンサーが搭載されています。これらから送られる信号は、Movidius™ Myriad™ 2 VPU (Vision Processing Unit) 上で動作する AI およびディープラーニング・アルゴリズムに入力されます。

このビジョンシステムは、物体の検出と回避、3D マップの生成、状況認識の確立を行い、さらにはパイロットの顔を認識して、手の動きに反応することができます。 具体的には、ドローンの底部に内蔵されたビジョンセンサーが、下にあるものを検出し、識別して、パイロットが差し伸べる手の上でも、安全に着陸します。

マーフィー氏は AI を搭載した Spark の 自動化機能について、「上空から自撮りするように合図を送った後、手で追い払うようにすると、家に戻らせることができます。

リモコンがなくてもドローンを制御できるなんて驚異的です。 ほんの数年でドローンがどれだけ進化したかを示す良い例です」と説明します。

また、コンピューター・ビジョンとインテリジェントなアルゴリズムを搭載することで衝突や物体の回避機能が新しいドローンに普及していけば、救命装置にもなるとして、

「狭いスペースを飛行していて、十分な余地があるかどうか分からない場合、このようなセンサーを搭載していると非常に役に立ちます。ドローンの損傷につながる衝突を回避するためには極めて重要です」と語ります。

何より、パイロットはリモコンや画面に釘付けになる必要がなく、飛行が容易になります。 その分、パイロットは周囲のものに意識を向け、完璧なショットの撮影に集中することができるのです。

コンパクトな Spark には、これまで大型の高価なドローンでしか利用できなかったテクノロジーが搭載されています。 特筆すべきは、デバイスに搭載された AI をいわゆる「エッジデバイス」で使用できるよう特別に設計されたチップとソフトウェアが搭載されている点です。このエッジデバイスには、コンピューティングとインターネット接続にかかわるほぼすべての機能が含まれています。

明確に認識

インテルの子会社である Movidius 社の組込みマシン・インテリジェンス担当ディレクター、コーマック・ブリックによると、Spark に搭載された Movidius™ Myriad™ 2 VPU によって、ドローンは考察、学習、行動を同時に素早く行うことができます。

CPU はさまざまな種類の処理を実行できますが、VPU はちょっと違います。「VPU は 1 つの極めて限定された視覚処理に合わせて調整されているため、低消費電力で高速のパフォーマンスを提供できます」とブリック。

Spark ドローンを見せるコーマック・ブリック
また、AI を内蔵したミニドローンは、ベストショットの撮影に最適だとして、こう説明します。

「VPU によって、ドローンは従来の幾何学的なビジョン・アルゴリズムとディープラーニング・アルゴリズムの両方を使用できるので、空間認識と状況認識の両方を行うことができます。

例えば、現在の位置、所有者の位置、所有者の手の位置を認識し、安全にホバリングできるコースを選び、所有者の手のひらにソフト・ランディングできるのです」

Spark は所有者の手から飛び立つと、すぐにカメラが認識可能な周囲の特徴を探して、デジタルマップを作成します。 その間、ドローンは常にユーザーの顔を認識し続け、ユーザーがフレームに入るようにします。

インテリジェントなドローンの未来

ブリックは、Spark の例からも分かるように、AI によってドローン市場が変化しており、テクノロジーは今後も絶え間なく進化し続けていくだろうと見ています。

ブリックのチームがリリースしたばかりの Movidius™ Myriad™ X は、専用のニューラル・コンピューティング・エンジンを搭載した初の VPU です。これによって、デバイスメーカーは、現在よりもはるかに高い演算性能を利用できるようになります。 そうなれば、ドローンはさらにスマート化し、より安全に飛行できるようになり、より多くの映像撮影を完全に自動化できるはずです。

「将来的には、ポケットからドローンを取り出して空中に放ち、裏庭でバーベキューをしている間ずっと、周囲を飛行させることができるでしょう。

さらに、バーベキュー終了の 1 時間後には、ソーシャルメディアで共有できるように、45 秒にまとめたビデオクリップもしくは 10 枚のベストショットをスマートフォンに送信することもできるでしょう」とブリック。

また、AI を組み込むことによって、ドローンが簡単かつ安全に飛行できるようになるだけでなく、ブリックは、「あらゆる種類の新しい自動撮影カメラやナビゲーション機能の可能性が切り拓かれるでしょう」と語っています。

マーフィー氏は、ドローンがますます自律化し、簡単に人生の瞬間を切り取れるようになると、ますます人気が高まるとして、

「ドローンがさらに使いやすくなり、面白くなっていくこの流れは、まだまだ続くでしょう」と語っています。

編集者注: DJI Spark に使用されている Myriad™ 2 AI テクノロジーは、最近新たに、製品開発者や、研究者、メーカーがプラグ・アンド・プレイの形で利用できるようになりました。 Movidius™ Neural Compute Stick  は初の USB タイプのディープラーニング推論キット兼自己完結型の AI アクセラレーターであり、これによって専用のディープ・ニューラル・ネットワーク処理機能を幅広いエッジデバイスで利用できるようになります。

 

 

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