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ゲームの未来を変える 5G

Jason Johnson Freelance writer and editor

クラウドでの VR ゲームの提供から、精密なジオロケーションによる拡張現実 (AR)、タイムラグのほとんどない e スポーツまで、5G ネットワークは今後 10 年間でゲームに新たな可能性をもたらすでしょう。

ゲーム Dota 2 では、わずか 0.1 秒が命取りにもなり得ます。

今年最大の予選会前夜、韓国の e スポーツチーム MVP.Hot6ix がインターネットを少しでも高速に利用するためだけに、シンガポール行きの便に乗ったのはそのためです。韓国では 0.16 秒の遅延が生じますが、シンガポールなら、わずか 0.06 秒の遅延で済むのです。

「最初は、ゲーム中に遅延が生じることに不満をこぼしていました」と、インタビューでウォン・ジェン・イー氏 (通称 Nutz) は答えています。

0.1 秒は取るに足らない時間に思えるかもしれませんが、このチームは、たった 0.1 秒であってでもシンガポールのチームに大きなアドバンテージを与えてしまうと考えたのです。

オンラインゲームでは、以前から遅延が問題になっていたのも事実です。接続にタイムラグがあると、一方のプレイヤーが何の落ち度もないのに、敵に後れを取ってしまいます。それでも、一般的に、その分のハンデは与えられません。
「超高信頼性・低遅延通信」と呼ばれる標準を目指す 5G なら、この問題を一気に解決できます。遅延時間が 1,000 分の 1 秒未満に抑えられれば、ほぼ即時に接続できることになります。

5G テクノロジーが公約を実現できれば、接続遅延は過去のものとなるでしょう。また、ゲーム環境も根底から変わることになります。

ゲームの新たな可能性を開く 5G

2019 年に、韓国は超高速 5G ネットワークを採用する最初の国となる予定です。これにより、ゲーマーのオンライン性能は飛躍的に向上するでしょう。SK Telecom 社の CTO、アレックス・チョイ氏によれば、ゲームは大幅なアップグレードの時期を迎えていると言います。これには、e スポーツ、拡張現実 (AR) ゲーム、仮想現実 (VR) ゲームなどが含まれます。

ラボでは、5G ワイヤレス・テクノロジーはすでに驚くべき速度に達しています。理想的な条件下での接続速度は、最高速ブロードバンドの 10 倍、4G 携帯電話網の最大 100 倍にもなりました。このように強力なネットワークは、完全自動運転車遠隔手術ロボットや IoT といった独自性の高いイノベーションの原動力になるものと期待されています。同様にゲームについても、5G は驚くべき可能性を開くと思われます。

5G でポケモンが進化

去年は数週間の間、まるで地球全体がポケモン GO に夢中になっているようでした。  シドニー近郊では、キュビズム作品のようなレアなポケモン「ポリゴン」を捕まえようと数百人が押し寄せ、交通を麻痺させました。モバイルデバイスを使って AR でピカチュウとその仲間を捕まえるなんて、確かにとても魅力的です。

将来的には、高速で信頼性の高い 5G ネットワークにより、AR のキャラクターたちも今まで以上にスマートで俊敏になるでしょう。

インテルのタウニー・シュリエスキーは、キャラクター・モデルが画面の前に浮かぶように現れる仕組みについて、「コンピューティング的に見れば、ポケモンは特定の場所に脈絡なく現れるだけの、単純で小さなオブジェクトです。キャラクターたちは自分の環境を認識していません」

5G の AR となると、この状況が変わる可能性もあります。Google のストリートビューなど、より高い帯域幅を必要とするジオグラフィック・データをゲームデザイナーが利用すれば、AR のキャラクターがさまざまな方法で現実世界の環境とやり取りできるようになるかもしれません。

例えば、ポケモンがプレイヤーとかくれんぼをするといったシーンが考えられます。シュリエスキーによれば、デジタル・キャラクターが木に登ったり、椅子の後ろにしゃがんだり、建物の中に逃げ込むこともあり得ると言います。また、より高速なネットワークならば、仲良しグループでチームを組んでポケモンを街中探し回るなど、AR を使ってほかのユーザーと新しい方法でプレイできる可能性もあります。

「近い将来にこれを実現するには、インターネット速度が重要となります。たくさんの情報を送信できるようになるのが理想的です」とシュリエスキー。

VR ゲームとクラウド

一方で、筋金入りのゲームマニアにとっては VR ゲームのコストが大きな負担となりますが、5G 接続はこの負担を軽減するとも言われています。

現在のところ、VR ゲームはコストが非常に高くつきます。VR ゲームを実行するには、高額のハードウェアをいくつも所有する必要があるからです。最先端のグラフィックス・カードとプロセッサーがなければ、Oculus Rift や HTC Vive などの VR システムはリアリティーのある豊かな仮想世界を描くことができません。

5G は、その回避策となる可能性があります。クラウド・コンピューティングは非常に強力ですが、現在のところ、クラウド領域はブロードバンドの速度制限を受けています。

「ネットワーク速度が向上するにつれ、クラウドで実行されるレンダリング機能と CPU 機能も増えるでしょう」と、VR 関連出版社 Wevr 社の共同創設者、アンソニー・バット氏は指摘します。

バット氏は、VR ゲームで高速の 5G ネットワークを利用することで、通常は自宅の PC で処理されるような複雑な演算やタスクの多くを、クラウド内で待機している多くのコンピューターに実行させられるようになると説明。

また、最終的には、PC 駆動型の本格的な VR ヘッドセットを、携帯電話のような簡素なデバイス上で実行できるようになるだろうと考えています。これにより、ついには VR ゲームが一般大衆向けになる日が来るかもしれません。

ただし、バット氏は注意喚起もしています。5G テクノロジーはまだテスト段階であり、最終製品のパフォーマンスについては多くの不明点があるからです (反響の高いこちらの意見を参照)。

とはいえ、プレイヤーが楽観的になる理由もたくさんあります。タイムラグのない e スポーツから、次世代の AR ゲームや VR ゲームへのクラウド利用まで、5G によってゲームの世界はほぼ確実に変わっていくことでしょう。

 

 

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