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360 度リプレイで未来のスポーツ観戦に変化のきざし

Replay Technologies 社は、競技場に設置した高画質カメラと高速プロセッサーの力を借りて、あらゆるプレイを迫力の映像で追いかけます。

新しい高解像度スポーツ・リプレイ・テクノロジーのおかげで、いつもはテレビに向かって審判の微妙な判定や誤審にヤジを飛ばしているスポーツファンも、声を張り上げずに済むようになるかもしれません。 多くのプロ・スポーツ・リーグに導入されているリプレイ技術 freeD (フリー・ディメンショナル・ビデオ) による映像は、360 度見渡すことができ、ファンはサイドラインにいる選手と同じ角度からリアルにスポーツを楽しむことができます。

国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー CES 2016 で、インテルは、こうした臨場感あふれるリプレイ技術が、バスケットボール・ファンのゲーム体験をどう変えるかを余すところなく伝えました。

インテル CEO のブライアン・クルザニッチは、基調講演でこう語っています。「ご覧いただいている映像には、スポーツを観戦したり体験することの意味を再定義するほどのパワーがあります。もしかしたら、勝利の感動を味わうことの意味さえ、変えてしまうかもしれません。我々は、このテクノロジーが世界最大級を誇る数々の競技場に導入されることを期待しています」

freeD では、勝利を決めた瞬間やプレイをあらゆる角度から見られるだけでなく、重要な場面を何度も見たり、ソーシャル・ネットワーク上にカスタムクリップを投稿することもできます。このテクノロジーは主にスポーツのリプレイに使用されていますが、そのアイデアが生まれたのは少々意外な場所でした。

freeD を提供する Replay Technologies 社のマーケティングおよびコミュニケーション担当副社長、プレストン・フィリップス氏は、「freeD 誕生のきっかけは、防衛、コンピューター画像生成、視覚効果などの業界の専門家たちによる『クレイジーな』思いつきでした。それは、物理的なカメラの位置に制約されずに、現実を映し出す方法があるはずだという発想です」と説明します。

Replay Technologies 社は 2014 年、米国のビジネス誌 Fast Company の最も革新的な企業 10 社 (スポーツ部門) に選出された企業です。まるで魔法のような freeD 技術は、ロンドン・オリンピックや、ニューヨークで行われた全米オープンテニスの決勝戦でも活躍。現在も、野球のメジャーリーグ、ナショナル・フットボール・リーグなど多くの競技で使用されています。

360 度見渡せるリプレイによって、ファンは、ナイスプレイや疑わしい判定を新たな視点から観察できるようになります。例えばレブロン・ジェームズ選手が素晴らしい 3 ポイントシュートを決めた直後、審判がシュート前にアウト・オブ・バウンズ (線を踏む反則) があったと宣告したとしましょう。この場合、ファンは、カメラの捉えた角度からではなく、あらゆる角度からレブロン選手の足元を観察できるのです。

「高性能なエリア・スキャン・カメラ Teledyne DALSA Falcon 2 に搭載された高解像度の 5k センサーによってグリッドを作成し、360 度リプレイを可能にしています」とフィリップス氏。さらに、インテルのハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC) システムが 2D データを 3D のボクセル (3 次元デジタル画像を構成する単位) に変換します。

「好きなプレイを取り込み、本格的な 3D に変換すれば、試合に参加しているような気分で何度も見ることができます。まるであなたがディレクターであるかのように、視点を自在に操作したり変更することも可能なのです」とクルザニッチ。

このテクノロジーで最も印象深いのは、2D の映像素材を 360 度リプレイ映像へと変換するスピードです。フィリップ氏は、エンジニアが GPGPU (高速で画像処理演算を行う GPU を、画像処理以外の目的で利用する技術) を使用してシステムのアルゴリズムを開発するのと同等の作業がこれ 1 台で可能だとして、こう説明します。

「『freeD ビデオ』と呼ばれるこのデータを使うと、放送用に『ありえないビュー』のリプレイを作成できるだけではありません。ホームユーザーは、第 6 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー上で充実した対話機能を活用できます。これは、新しいタイプのビデオ形式やビジュアルランゲージを先取りするものです。

変換速度の高速化が実現したのは、インテル製品を搭載した HPC (ハイパフォーマンス・コンピューター) が効率的な処理に向けて最適化されているためです。さらに、『freeD レンダラー』により、センサーグリッドの対象範囲内にあるあらゆる場所から、見たこともないような斬新なビューをリアルタイムにレンダリングできます」

ヤンキース、ドジャース、ホワイトソックス、マーベリックス、キャバリアーズ、カウボーイズ、レイブンズ、フォーティーナイナーズと、ざっと名前を挙げただけでも、すでにこれだけのチームが freeD を採用。Replay Technologies 社では、さまざまなスポーツリーグのあらゆる現場への導入を目指しており、究極の総合格闘技 UFC、ラグビー、その他のスポーツファンへの広がりも期待できそうです。

フィリップス氏は、一度 freeD 技術を体験してしまうと、視聴者は、これまで当たり前だったはずの平面映像には戻れなくなるだろうと考えています。

「おそらく私たちが考えるより早く、3D 映像で完璧に現実世界を表現できるようになり、エンターテインメントに関する既成概念もそこに取り込まれていくと見ています。例えば、映画は映画館、対話型ゲームはスポーツ中継と一体化するでしょう。しかし最も重要なのは、ホログラフィーや仮想現実に関連するテクノロジーを使って、何千キロも離れた場所にいる相手と、デジタルで物理空間を共有できるようになるだろうということです」

と語るフィリップス氏は、ヨガのレッスンを例に挙げます。インストラクターが、互いに何千キロも離れた場所にいる生徒たちに一連のポーズをして見せます。生徒がハードウェアを身に着けると、彼らのアバターが同じ部屋に投影されるのです。これなら、インストラクターは一人ひとりの生徒のポーズを見ながら、必要に応じてアドバイスが送れます。

CCS Insight 社のテクノロジー・アナリスト、ベン・ウッド氏は、360 度動画や 360 度リプレイ映像が、実際に目で見ているものとのやり取りや操作の方法に影響を与えるだろうと見ています。例えば、このテクノロジーが、ジェスチャーや声で指示できるテレビのリモコンと連携したら、ファンは大喜びでしょう。

「テレビでフットボールの試合を観ているなら、音量の上げ下げを調節するような感覚で、『左にパン』、『右にパン』と声に出せばいいのです。ディレクターのカットを待つ必要はありません。画面をスワイプすれば、周囲の様子も映ります」とウッド氏。

一方、フィリップス氏は、さまざまなデバイスから試合に飛び込んで、プレイを間近に見られるようになるだろうと予測します。

「近い将来、2D のタブレットあるいは 3D の VR (仮想現実)/AR (拡張現実) デバイスなどのスイッチを入れるだけで、試合の中に飛び込めるようになるでしょう。お気に入りの選手の横を走ったり、すぐ近くからボールを眺めたり、サイドラインをぶらつくこともできます」とフィリップ氏。

家に居ながら審判の位置でプレイを見られるようになれば、画面に向かって叫ぶ必要もなくなるでしょう。仮想の選手たちは、さんざんヤジを飛ばされて気の毒なことになりそうですけどね。

イメージ画像の著作権:Replay Technologies Facebook ページ

 

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