サイエンス

気象観測ステーションを DIY する“なりきり気象学者”たち

この記事を読んだ後に、隣人が屋根の上にいるのを見たら、あなたはこう考えるでしょう。「彼はウェザーチャンネル (天気予報や気象関連の情報を扱う米国の専門番組) に負けないような気象観測ステーションを設置するために、Web カメラ、温度計、携帯風速計を取り付けているのだろう」

盛大なファミリーピクニックを計画したのに、強風とひどい雨で水浸しになるほど最悪なことはありません。

もちろん、テレビのニュースをつけたり、天気アプリをチェックしたり、ネットで検索して、自分の地域の天気を調べることはできます。しかし一方で、これでは全く満足できない人たちがたくさんいます。彼らは予測を立てるため、ガーデニングのため、はたまた単に興味本位で、正確に自分のいる場所の天気を知りたいのです。

これが、個人向けの気象観測ステーションを自作する人たちが増えている理由です。

国立測候所のナショナル・メソネット・プログラムのマネージャーであるカーティス・マーシャル博士は、こう説明します。「裏庭に気象観測ステーションを設置するのは、比較的新しい現象ですね。最近は操作が簡単で、手ごろな価格のものをあちこちで目にします。

市販されているので容易に入手できますし、観測結果を Web サイトに無料でアップロードして、世界中の人たちと情報を共有できるのです」

weather station

手作りの気象観測ステーションは飛躍的な進歩を遂げています。わずか数十年前、駆け出しの気象学者たちは、コーヒーの缶を雨量計として使うなど、家庭内の日用品を寄せ集めたり、金物屋で追加材料を買ったりしなければなりませんでした。

現在では、気温、気圧、相対湿度、降水量、風速および風向といった気象の基本的な要素が測定できる完全な気象観測ステーションがどこでも購入でき、価格は 150 ドル (約 18,000 円) から 1,000 ドル (約 120,000 円) を超えるものまであります。

一部の高度なシステムでは、土壌の温度や水分、日射、葉に残る水分など、さらに特殊な項目を測定することもできます。

テクノロジーの進歩によって、個人向けの気象観測ステーションのデータ共有方法も進化を遂げています。例えば、Arduino Boards は、さまざまなセンサーで周辺環境を検知するオープンソースのデバイスです。また、クレジットカードほどの小さなコンピューターの Raspberry Pi は、インターネットに接続して、Weather Underground のような商用気象サービスに地域データをアップロードしたり、共有することができます。

「これらのデバイスが発売される前は、気象センサーをデータロガーに接続し、さらにそれをコンピューターに接続して、データをインターネットにアップしなければなりませんでした。Arduino や Raspberry Pi が登場したおかげで、手作りの気象観測ステーションに興味がある人々にとって、データの共有方法は以前よりずっと簡単になりました」と、Weather Underground の気象学者、カリ・ストレンフェル氏は振り返ります。

weather app

例えば Weather Underground は、巨大な国際気象観測ステーションのネットワークを持っています。これは、裏庭や自宅の屋上にある気象観測ステーションから集めたデータを報告してくる人々によるネットワークです。

「最先端の技術革新により、観測した気象データをさらに次のレベルに発展させることができます。スモール・ウェアラブル、つまりどこへでも持って行ける小さな気象モニターとスマートフォン用の風速計を連動させるのが最新の流行です。これで、どこへ行っても風速を測ることができます」とストレンフェル氏。

では、気象観測に利用できる個人向けの最新技術をいくつか見てみましょう。

  • Web カメラ:間近で確認したり、個人で楽しんだり

現在、気象マニアたちは、BloomSky などの Web カメラを観測ステーションに取り付けています。「世界初のスマート気象カメラ」とも呼ばれるこのカメラは、HD ライブカメラと Wi-Fi、Android および iOS に対応したアプリを組み合わせた、まさに気象観測ステーションです。

ストレンフェル氏は、「Web カメラによる天気モニターは、気象に関する画像を伝えることができます。この画像を通じて、遠隔地の天気の状況を確認できるのです。例えば、冬に遠くまで運転する予定がある時は、天気をチェックするだけでなく、Web カメラで道路に雪が積もっているかどうかを、あらかじめ確認できます」と説明。

カメラを設置して角度を空に向けておくだけで、BloomSky が写真を撮影し、気温や湿度に変化があればいつでもユーザーに通知してくれます。カメラが撮影した画像は気象データと対応付けられており、ユーザーはどこからでも、自宅の天候を観察できます。

weather map

また、すべての情報はクラウドに送信されるため、“なりきり気象学者”たちは、世界中の BloomSky ユーザーとそのデータを共有できます。おまけに一日の終わりには、その日の空模様のコマ撮りビデオがカメラから送信されます。

「HD カメラでは、なかなか見事な天気画像が撮れるんですよ」とストレンフェル氏。

  • 極めて小さなテクノロジー:非常に狭い範囲を測定

モバイル機器に挿し込んで使えるミニ気象観測ステーション Thermodo は、非常に狭い範囲の気温を測定することができます。

例えば、キッチンに置いて、クッキーを焼いた後にどれだけ室温が上がるかを調べたり、ごみを出す時に持って行き、ガレージが室内よりどのくらい寒いのかを確認する、といった使い方です。

ストレンフェル氏は、「こうしたデバイスは、ハイキングや子供のサッカーの試合などで、すぐに外気温を測りたい場合にも便利ですよ」と補足します。

weather tech

価格はブラックが 30 ドル (約 3,500 円)、アルマイトが 45 ドル (約 5,300 円) で、Android および iOS 用の無料アプリが付属しています。

  • 風速計:そよ風も簡単に測定

正確な風速の測定に関心があるのは気象マニアだけではありません。ウィンドサーフィン、セーリング、カイトサーフィン、パラグライダーの愛好家、科学者、ゴルファー、ドローンの操縦者、農業従事者、ハイキングやサイクリングをする人たちも同じです。

現在は、最新技術のおかげで、外出先でも簡単に正確な測定ができるようになっています。

wind meter

ヨーロッパの Vaavud 社が最近発売した 2 種類の小さくて丈夫な風速計は、スマートフォンのヘッドフォン・ジャックに挿し込んで使えるもので、アプリに接続して正確な風速を計測できます。2 種類の特徴はそれぞれ次のとおりです。

Mjolnir は 40 ドル (約 4,700 円) で、回転する 2 つのカップが風速を計測。内蔵された磁石がユーザーのデバイスに測定結果を伝えます。Slepnir は 60 ドル (約 7,000 円) で、2 枚のカーブしたブレードを使って風速と風向の両方を計測。内蔵された光センサーにより、毎秒 44,100 件の測定値を記録できます。

また、アプリを使用して、ユーザーがいる正確な位置の平均風速、現在の風速、最大風速を表示できるほか、自分の測定値や経過を記録したり、ほかのユーザーの測定値を参照して、これから向かう先にどのような風が吹いているのかを、正確に判断することもできます。

 

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