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e スポーツ界のジェンダーギャップ、どう埋める?

Jason Johnson Freelance writer and editor

e スポーツを語るとき、男性を念頭におきがちですが、ゆっくりと、けれど確実に、競技ゲームは男性だけのものではなくなりつつあります。

競技ゲームの世界は、ビデオゲームの腕前なら誰にも負けない、才能ある若い男性たちがけん引してきました。彼らはキーボードやマウスを見事に操作します。少なくとも、彼らの大半は男性です。

しかし、女性たちの存在感はまだまだ小さいとはいえ、ずば抜けた才能を持つゲーマーの間のジェンダーギャップは、少しずつ埋まり始めています。

近頃は、競技ゲームに参加する女性プレーヤーが増えているのです。

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2015 年、「Intel Panel – Women in eSports」 出演時のMissharvy 氏 (左)
写真提供:ヘレナ・クリスチアンソン氏

29 歳のステファニー・アルビー氏 (ハンドルネーム:missharvey) はそんな女性プレーヤーの 1 人であり、女性 5 人による e スポーツチーム CLG Red の創始者です。このチームは、腕の良い男性ばかりが集まる他のチームとともに、プロチーム Counter Logic Gaming に所属しています。

アルビー氏は、女性チームを作る前は、UBINITED というチームに所属していました。世界一を決める 2011 年と 2012 年のワールド・チャンピオンシップ (WCS) では、一人称視点のシューティング・ゲーム「Counter-Strike: Global Offensive」の女性向け競技会で優勝しています。

彼女のこうした勝利の経験が、チームを、ビデオゲームの名手として世界有数の洗練されたグループへと導いていったのです。以来、数々のトーナメントで好成績を収めています。

2015 年 Intel Challenge Katowice 写真提供: Bownik
2015 年 Intel Challenge Katowice
写真提供: Bownik

しかし、彼女たちは常にレベルの高いプレイをしているにもかかわらず、e スポーツの最前線ではなぜか存在感がありません。

「女性の e スポーツは、アメリカではまだ始まったばかりですが、少しずつ成長しています」とアルビー氏。

彼女の主張は複数の調査結果で裏付けられています。

去年は、e スポーツの聴衆の 70% ~ 96% が男性でした。ゲームサイト Polygon の記事によると、2014 年の時点では、チーム・ストラテジー・ゲーム「League of Legends」の女性プロ選手はアメリカ大陸に 1 人もいませんでした。

2015 年 WCS S1 決勝 写真提供: ヘレナ・クリスチアンソン氏
2015 年 WCS S1 決勝
写真提供: ヘレナ・クリスチアンソン氏

WCS 2015に向けて、アルビー氏とそのチームは競技ゲームの強化キャンプに力を注いでいました。そんな彼女たちの練習スケジュールはかなりハードでした。

1 日に 12 時間のトレーニング・セッションをこなし、ゲームをプレイするだけでなく、戦略上の不備の解決、女性のプレーヤー人口がはるかに多いヨーロッパから参戦するライバルのプレイスタイルの研究などを行うことになっていたのです。

さらに 7 月の第 2 週目には、彼女たちはなんとしても、モントリオールにある Société des Arts Technologiques (学際的センター) に行きたいと思っていました。この場所で、予選を通過した女性の上位 7 チームと対戦するからです。

女性の前に立ちはだかるのは女性だけとは限りません。CLG Red は男性と対戦することもよくあります。例えば、フィラデルフィアで開催された Fragadelphia 5 トーナメントの前月には、ほとんどが男性で構成されたチームを相手に、自分たちの持ち味を生かしたゲームをしようと奮闘しました。

いまでこそ、そのときの相手チームはアルビー氏のチームとプレイすることに慣れていますが、冷酷で、ときに敵意に満ちた e スポーツの世界で女性であることは、ときに大きな足かせともなります。

2015 年 ESL Meisterschaft Frühling Hearthstone 写真提供: ヘレナ・クリスチアンソン氏
2015 年 ESL Meisterschaft Frühling Hearthstone
写真提供: ヘレナ・クリスチアンソン氏

「侮辱的な言動やネット上の毒のある振る舞いは、初心者のモチベーションを奪うのに十分過ぎます。あらゆる憎悪に対処するために、女性には本当に図太い神経と、感情的にならない覚悟が求められます」とアルビー氏は説明します。

最近の研究により、女性プレーヤーに嫌がらせをする男性ゲーマーは、競技の成績が悪い傾向にあることが分かりました。このような男性は、よりスキルの高い男性プレーヤーの前では従順に振る舞います。ほかの男性に負けたときは、女性プレーヤーに負けたときほど威嚇するような態度をとらないのです。

アルビー氏が、所属する組織内のチームに女性たちがばらばらに存在するよりも、むしろ女性だけのチームで団結することが重要だと考えるのは、こうした理由からです。

「男性チームの中でプレイすることもできますが、今の状況を改善したいと考えているのです」とアルビー氏は強調します。

写真提供: Bownik
写真提供: Bownik

女性のプレーヤーが広大な世界に散らばるのではなく、男性と女性が手を取り合って、e スポーツは女性にも開かれているというメッセージを送るのが理想です。

「当面は、ゲームをプレイし、競技に参加したい女性たちを勇気づけるような成功例を築いていくつもりです。そうすることで、e スポーツ界に飛び込んでくる女性たちが増えていくでしょう。私自身もそんな風にプレイを始めましたし、ほかの女性たちもそうだと思います。私がプレイを続ける理由もここにあります」 (アルビー氏)

 

編集者より:「Counter-Strike: The Rise of Female eSports Players in Europe」は、2015 年 10 月に iQ で公開され、欧州中の数多くの言語に翻訳されました。本記事は、iQ EMEA 編集者のカート・ド・バックが、ロンドンで開催されたDreamHack でチーム LGB eSports とチーム Property にインタビューを行ったものです。次の2 つのビデオは元の記事に掲載されたものです。

 

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