テクノロジー・イノベーション

サイクリストに贈るクリスマスプレゼント

Shawn Krest Writer, Movable Media

大人気のアウターからステレオシステムまで、最新の自転車テクノロジーは、サイクリストのスタイルアップや、安全で楽しい走行を可能にしてくれます。

サイクリスト向けの商品は、決して選択肢が豊富とは言えません。どれも限定的で、価格も高く、靴下に入れるプレゼントには不向きなものばかり。最低限必要なのは、自転車本体に、ヘルメット、屋内用トレーナーくらいで、彼らがそれほど多くのモノを求めていないのも事実です。

しかし、このホリデーシーズンには、通勤用自転車や趣味の自転車向けにスタイリッシュな新しいテクノロジーが数多く登場しています。しかも、おしゃれで機能的なだけでなく、路上での安全性も確保しているのです。

アウターウェアからオフィスウェアへ早変わり?!

とりわけ冬場の夜間走行では、サイクリストは安全性とファッションのいずれかの選択を迫られます。

「これまで、サイクリストは視認性の高い服を着て走っていました。確かに路上で自分の存在をアピールするには効果的です。しかし、まるでレモンのゆるキャラのような扮装でオフィスやパブに入っていくわけにもいきません。そんなときは、派手なウェアを急いで脱ぎ、ジャケットやバックパックに隠すのが常でした」と語るのは、スタイリッシュで安全なサイクリング・ウェアを開発する LUMO 社を設立したルーシー・ブレイナー氏です。

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最近まで、サイクリスト向けのウェアやツールは、少しの光でも明るく反射することで視認性を高めるため、派手なデザインのものがほとんどでした。しかし、あらたまった場でも目立ち過ぎず、かつ、暗い道や交通量の多い道でも視認性を犠牲にしない優れモノがついに登場したのです。

ブレイナー氏は、夫のダグ氏が自転車通勤に使用しているロンドンのバタシー環状交差点で 2 回も事故に見舞われたのをきっかけに、サイクリストのジレンマを解消するための行動を起こしました。

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「ドライバーは、夫が暗い色のジーンズを履いていたので見えなかったと言っていました。夫は見た目を重視するので、視認性の高いジャケットに着替えるのを嫌っていました。都会のサイクリストは、目的地に合わせたファッションを選びながら、同時に安全性も確保しなくてはなりません。これまでは、それらを両立させるソリューションがありませんでした」

そこでブレイナー氏は、サイクリストが必要なときだけ視認性を高めることができるウェア「LUMO」を開発。LUMO 社は、ボンバージャケットからポロシャツまで、スタイリッシュなサイクリング・ウェアを開発しています。ウェアに埋め込まれた LED ライトは、どこに配置されているか全く分かりません。点灯して初めてその存在に気づくくらいです。ルーシー・ブレイナー氏はこう説明します。

「クラシックにデザインされたジャケットの前後に、24 個のフレキシブルな高輝度 LED ライトを配置しています。LUMO を着たサイクリストは、ライトを点灯するタイミングを自分で選べます。普段は素材の下に完全に隠れて見えませんが、ひとたび点灯すれば、最大 400m の距離からも視認できる光を放ちます」

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このライトアップ・ウェアを 1 日中着たくないサイクリストのために、LUMO 社では Bermondsey バックパックも用意しています。

「Bermondsey は、ビンテージ感が漂う英国軍のリュックサックをモチーフとし、汎用性がきわめて高い防水仕様のロールトップ・タイプのバックパックです。バックパックの前後には 400m の距離から視認できるライトを配置しています」とブレイナー氏。

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さらに、天候を気にせず自転車に乗れる選択肢もあります。VEAR 社の Legs Jacket は、通気性を確保した防水仕様のカバーです。靴を脱がずに着用でき、パンツが濡れる心配もありません。

VEAR 社の共同設立者であるバレンティン・ニコラ氏は、プレスリリースで、「雨となると、途端に自転車に乗る気が失せてしまいます。高性能なレインパンツでありながら、現代的でスタイリッシュなデザインの Legs Jacket は、通勤中も濡れずに快適なサイクリングやウォーキングを楽しみたい人々が求めていたウェアです。都会に住む人々は、雪の日も、雨の日も、ジメジメした日も、寒い日も、このプロフェッショナルなウェアで快適な自転車通勤を楽しめるようになるでしょう」と語っています。

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このパンツには、水タンクとして機能するポケットが付いています。屋内に入ると、ウェアのあらゆる部位から漏れてくる水がそこに溜まっていく仕組みです。また、夜になると、ドライバーが同じ道を走っているサイクリストを視認できるように黒いパンツが光を反射して光ります。

Legs Jacket の開発資金はすべてクラウド・ファンディングの Kickstarter で集められました。2017 年 2 月には最初の製品が出荷される見込みです。

ドライバーからの視認性を向上

都会のサイクリストは、クルマの流れと同じ速度で移動しています。くねくねと曲がるコーナーを切り返し、小道から突然飛び出してくる場合もあります。死角もいたるところにあります。
そこで Blaze 社が開発したのが、路上でサイクリストが認識される面積を広げるためのライト「Laserlight」です。明るい LED ヘッドランプと、レーザーを使って現物に投影するレーザー・プロジェクションを組み合わせることで、サイクリストをさまざまな角度から視認できるように光を発します。

ブレイナー氏は、「Laserlight は、300 ルーメンの自転車用ライトを搭載しているだけでなく、サイクリストの前方約 9m の路上にサイクリストの画像を投影することで、同じ道を走るほかのドライバーにサイクリストの存在を印象づけ、死角によって見失わないように照らしてくれます」と説明。

つまり、サイクリストが車列に現れる前に、ドライバーは路面に投影された緑色の自転車に気づいて注意を喚起されるわけです。Laserlight と LED ライトを比較した独自の試験によると、都市バスのドライバーから見たサイクリストの視認性は 72% から 96% まで向上しています。ロンドン交通局が管轄するレンタル自転車の Santander Cycles では、この結果に大いに感銘を受け、12,000 台の自転車すべてにこのデバイスを導入しました。

百聞は一見にしかず

手放しで自転車に乗れる人はそれほど多くありません。自転車に乗りながら携帯デバイスで情報を取得するのはいささか困難でしょう。この問題を解決するために、サイクリスト界の Google Glass として名乗りを上げたのが Garmin 社の「Varia Vision」です。

このデバイスをサングラスに装着すると、サイクリストの目に情報が直接投影されます。速度、心拍数、走行距離、残りの距離とともに、進行方向などの情報をスクロールしながら表示してくれるのです。

頭部に装着する多くのデバイスのように、着用者の周囲の視界を妨げることはありません。さらに、Garmin 社のVaria Radar と連携させることで、後方から近づいて来る車などの状況をサイクリストに通知してくれます。

Oakley 社のサングラス「Radar Pace」は、サイクリストが路上から目線を外さないように機能します。最先端のインテル® リアル・スピーチ・テクノロジーを使用することで、装着者は走行ペース、心拍数、その他の生体情報を呼び出せるだけでなく、一体型のイヤホンを介して、コーチから有益なトレーニング・ヒントを受け取ることができます。

このサングラスには、ジャイロスコープ、加速度計、気圧計とともに、50,000 種類を超えるトレーニング関連のメッセージを理解できるバーチャルコーチが組み込まれているのです。

インテル・ヘッドダウン・プロダクト部門のビジネス開発担当シニア・ディレクターを務めるクリス・クロテューはこう語っています。

「Oakley 社はデザインを一手に引き受け、私たちは全く新しいテクノロジーと新たな製造テクニックの開発を担当しました。23 キログラムのテクノロジーを 56 グラムのフレームに詰め込んだのです。実際に着用しても、まさか最先端のテクノロジーが入っているとは思えないでしょう」

サイクリストのための音楽

自転車に乗りながらヘッドフォンを装着するのは不便であり、危険でもあります。ステレオシステムが搭載されている自転車はほとんどないため、サイクリストはお気に入りの音楽なしで長時間を過ごさなければなりません。

運動と音楽は多くの人にとって切っても切れない関係にあります。そこで、Scosche 社は BoomBottle を開発。このポータブルな Bluetooth ワイヤレススピーカーは、通常の自転車に設置されているウォーターボトル・ホルダーに装着できるように設計されており、パワフルなステレオサウンドを出力し、耐衝撃性と耐水性も兼ね備えています。

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サイクリストにはわくわくするホリデーシーズンに

LED ライトが埋め込まれた LUMO と同様に、Eco Helmet も自転車事故が開発のきっかけになった製品です。ブルックリンでレンタルの自転車に乗っていたイシス・シファー氏は、タクシーに横から衝突されました。幸い大事には至りませんでしたが、それ以来彼女は、レンタルの自転車に乗る場合も、ヘルメットを着用すべきだと考えるようになりました。

「私は世界中を旅して、現地で自転車に乗るのが好きなんです。大きくてかさばるし、トランクに入らないことを理由に、これまでヘルメットを持参したことはありませんでした。自転車サービスを利用する人々の一番の不満は、ヘルメットなしで自転車に乗る不安です」とシファー氏。

そこで彼女は、折り畳み式の再生紙ヘルメットを開発。レンタル自転車が普及している地域に自動販売機を設置し、販売できるようにしたのです。

ヘルメットはハニカム構造を採用。店頭のクリスマス飾りに使用する円形の紙を使ったアコーディオン式の展開設計で、自転車から落下したときの衝撃を吸収します。紙製のヘルメットとはいえ、米国の自転車用ヘルメットの衝突試験の基準を満たし、従来の自転車用ヘルメットと同等か、それ以上の保護性能を発揮します。しかも、生物分解性のコーティングを施すことで、最大 3 時間の雨にも耐えられます。

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Eco Helmet は使い捨て製品として設計されており、自動販売機の横にはリサイクル・ステーションが設置される予定です。

まだリリース前であるものの、その開発成果が認められ、2016 年 11 月 17 日に国際的な James Dyson Award を受賞しています。

スタイリッシュな LED ウェア、レーザー・プロジェクション・システム、ウェアラブル、ワイヤレススピーカーなど、新しい自転車テクノロジーが続々と登場し、世界中の自転車愛好家にとって楽しいホリデーシーズンになりそうです。

 

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