スポーツ

強くなるための解決策:ウェイト・リフティングのレベルを押し上げるテクノロジー

Dana McMahan Writer

革新的なトラッキング技術やアプリの恩恵を受けているのはパワー・リフティング選手やボディビルダーだけではありません。気軽に楽しむ程度の人でも、テクノロジーのおかげで成果がみるみる上がり、怪我の発生も少なくなっています。

スポーツ向けテクノロジーは、ランニング、サイクリング、そしてウォーキングでさえここ数年で爆発的に発展しました。それなのにまだ「テクノロジー化」されていないスポーツ分野が 1 つ残されています。それがウェイト・リフティングです。ウェイト・リフティングでは、昔ながらのトラッキング方法やトレーニング方法に固執する傾向があり、トレーニング・ジムでは、煩雑きわまるスプレッドシートに紙とペンでトレーニングの記録を入力するという光景をいまだに目にします。

ところが、そんな状況も変わりつつあります。最近のウェイト・リフティングは、最新のアプリやツール、ウェイト・リフティング用テクノロジーの恩恵を受けており、21世紀のスポーツにふさわしい状況になってきています。このようなテクノロジーは、バーを握りトレーニングに励むアスリートたちを新たに活気づける可能性を秘めています。

Weight lifting

ここまで来るのになぜこれだけの時間がかかったのでしょうか。ソーシャル機能とトラッキング機能を備えたウェイト・リフティング用アプリ Gravitus の共同開発者であるエリック・ワグナー氏は、次のように考えています。

「重いものを持ち上げる。それは何かの目的の手段としてであって、それ自体が目的ではない、と考えるのが普通でしょう」「例えば、人々はジムに行って体重を落としたり筋肉を引き締めたりしますが、その行為自体がスポーツだとは考えません」

そのような考え方を持っているアプリ開発者は、フィットネス・マーケットにおけるウェイト・リフティング分野を見落としていたわけです。

「スポーツとして見ると、パワーリフターや、ボディビルダー、ウェイト・リフティング愛好家、クロスフィッター、他競技のアスリートなど、それぞれのコミュニティーが細分化しています」とワグナー氏は続けます。「我々はそういう状況をふまえて、あらゆる種類のウェイト・リフティングに対応するアプリを開発したいと思ったのです」

さて、ここでどんなレベルのウェイトリフターにも大いに役立つテクノロジー・ツールを 5 つ紹介しましょう。

  • 競技に向けたトレーニングにうってつけのアプリ:Gravitus

Gravitus は 2015 年 11 月に開発された iPhone 向けアプリで、トラッキング、ソーシャル・シェアリング、競技支援の 3 つの主要な機能を持っています。ワークアウトの履歴をアプリ内で簡単に記録でき、時間とともに自分の成果がどのように変化しているのか確認することができます。

「ワークアウトの履歴を確認することで成果が上がることはよく知られています」とワグナー氏。「入力に費やす時間を極力減らすことで、なるべくワークアウトに集中できるようにしたかったのです」ソーシャル機能も重要な機能の 1 つです。

「ワークアウトの結果を友達とシェアしたり、逆に友達の結果から学んだり競い合ったりすることで、自分のワークアウトの励みにもなるし、納得のいく成果が生み出せるようになることも知られています」

Gravitus Screenshot
Gravitus Screenshot

ユーザーが自分のワークアウト結果を投稿すると、友達がそれを見たりコメントすることができます。6 秒間ループ再生されるビデオクリップを共有することのできる Vine でフォームやトレーニングに関するちょっとしたアドバイスを教え合うことで、コミュニティー全体の知識が高まります。

  • カスタマイズ可能なワークアウト・メニューを提供する革新的なアプリ:Jefit

ウェイト・リフティングについてもっと深く知りたいユーザーには、Jefit とその広範なエクササイズに関するデータベースがお勧めです。このアプリは iPhone と Andriodの両方に対応しており、数千もの細かいエクササイズの項目から自分だけのワークアウト・プログラムを組み立てることもできるし、「筋肉を増強」や「贅肉を落とす」、一般フィットネスなどのカテゴリー別にあらかじめ用意された膨大な数のルーティンから好きなものを選ぶこともできます。

exercising

検索すれば、ケトルベルやバンドなど、この分野独特の器具を使ったエクササイズがあることも分かります。身体の特定の部位を重点的に鍛える器具もあります。例えば、バーベル・リバース・グリップ・スカルクラッシャーはいかがでしょう。Jefit を使えば、進捗状況の履歴を確認したり活発なコミュニティー・フォーラムに参加することができるため、新しい動きを学んだりマスターするのに役立ちます。

  • 新しい計測方法でワークアウトを支援:PUSH

すでに本格的にウェイト・リフティングに取り組んでいて今の自分のレベルを次のレベルに押し上げたいという人なら、強度、力、速度が計測可能なセンサー付きのアームバンド PUSH が有用だと感じるでしょう。

アスリートのラミ・アラマッド氏はメカトロニクスを専攻しており、ある機器をトロント大学で目にしたときにインスピレーションを受けました。それはフットボール・チームがバーベルのスピードを計測するために使用していた機器で、好奇心を誘うものの不格好な代物でした。

「それを見たとき、自分の中でパラダイムシフトが起きました。なぜなら、それを目にするまでは、持ち上げられる最大重量のことばかりに注目していたからです」とアラマッド氏。

その機器は 20 年も昔から出回っているもので、価格が 1500 ドル (約 18 万円) 以上と高額のため、トップレベルの選手が使っていたとアラマッド氏は説明します。また、その計測機器には厳しい制約がありました。

「機器を地面に置いて、バーにロープで固定しなければなりませんでした。計測結果は小さな LCD 画面に数値で表示され、しかもそれを紙に書き写さなければならなかったのです」「そんな代物をこの 21 世紀に目にするなんて、とおかしくなりました。当時はそれよりスマートな方法で計測している人はいませんでした」

アラマッド氏は加速度計とジャイロスコープを使って現代版の計測機器を試作しました。加速度計は歩数を計測するためにスマートフォンに搭載されているテクノロジーと似ていますが、試作機のそれはもっと厳密で詳細なデータを取得できるものです。ジャイロスコープは方位や動きの方向を示すのに使われます。

lifting

「これらのデータを組み合わせることで、バーの動きをしっかり把握することができます」とアラマッド氏。「スピードを計測することで、バーが止まるタイミングが分かります。これは非常に重要なことです。多くの研究結果から、自力の限界まで追い込むと、さまざまな悪影響があり怪我もしやすくなることが分かっています」

PUSH アプリではワークアウト結果の傾向と履歴が目で見えるようにデータを管理しており、しかもユニークな「最大挙上重量」テスト機能が搭載されています。「最大挙上重量」とは、1 回だけ挙げられる重量の最大値のことで、トレーニングではその最大値のうちどれだけの割合の重量を挙上したかに基づいています。

問題は、アスリートはトレーニングを調整するために 2、3 日おきに最大値をテストすることができない点です。

アラマッド氏は「我々が開発したこのアプリのテストモジュールなら、最大挙上重量を知ることができます」と説明します。

まず、推定最大挙上重量に対するパーセンテージを 3 回の挙上から計測します。次に、バーの動くスピードを基にユーザーに継続するかどうか指示します。これを 3 回繰り返して得た結果を基に、アプリが最大挙上重量を算定します。

  • 限界値を知る:Bioforce HRV

リフターにとって理想的なのは、もちろん、実際にバーベルをつかむ前にその日の体調について把握しておくことです。それが Bioforce HRV の目指していることです。朝、心拍数モニターで 3 分間心拍リズムの変動を計測することで、ワークアウトできる体調かどうかをチェックすることができます。

アプリ、スマートフォンに接続するトランスミッター、心拍計のセットを使って、ベースラインを設定します。その後、心拍から次の心拍までの時間の日変動をモニターすることができます。

この方法であれば、その日どれだけの負荷をかけてワークアウトするかを決めるのに自分自身の感覚などの主観的な方法に頼るのではなく、自分の体調が負荷をかけても良い状態にあるのかどうかを評価することができます。

自分の状態を知ったうえで、ツールからの緑色や黄色、赤色の表示を基に、休息すべき日と最大限の負荷をかけてトレーニングする日の調整をすることができるのです。

  • 筋肉を増強:Bulk Up!プロテイン摂取量のトラッキング

他のスポーツと同様に、ウェイト・リフティングでも自分の内部に取り込んだ燃料 (栄養) をモニターする必要があります。カロリー量や炭水化物の摂取量などがその例ですが、なかでもプロテインの摂取量は筋肉を付けようとしている人にとって最も重要な数値です。

摂取したツナやステーキ、シェークの中に何グラムのプロテインが含まれているのか調べて記録するのは、時間も手間もかかる作業です。そこで Bulk Up!Protein Tracker の出番です。

protein

iPhone ユーザーなら数回画面をタップするだけで摂取した栄養素を調べて記録を取り、重要なプロテインの摂取量をカラフルなグラフでも簡単にモニターすることが可能です。Android にも Protein Tracker は同様の機能が付いています。

これまで見てきたような、ウェイト・リフティングに励む人たちを支援するツールによって、スポーツ選手のウェイト・リフティングに対する見方が変わるかもしれません。今や、誰もが自分のトレーニングの進捗をトラッキングしたり他の人の結果と比較でき、データに基づいてトレーニングの方針を決められるような時代になりました。ウェイト・リフティングは独立した競技として、力強く発展しようとしています。

 

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