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モトクロス・ファンを虜にするテクノロジーとは?

Deb Miller Landau iQ Managing Editor

ファンを熱狂させるフリースタイル・モトクロス。6 月 24 日、スペインで開催された世界最高峰の大会「Red Bull X-Fighters」では、ウェアラブル・センサーとコンピューター・テクノロジーが活躍。驚異的なマシンの動きと飛距離が初めて明らかにされました。

マドリッドにあるスペイン最大のラス・ベンタス闘牛場でバイクと人間の限界に挑戦したのは、マタドール (闘牛士) のごとく勝負に挑んだフリースタイル・モトクロス (FMX) のライダーたちです。

熱狂的な盛り上がりを見せる Red Bull X-Fighters のファンたちは、命知らずのライダーが繰り出す驚異的なトリック (アクション) を心待ちにしていました。15 回目となる今年は、観客によるストンピング (足を激しく踏み鳴らすこと) や歓声が一段と大きくなっただけでなく、新しいリアルタイム・データ・トラッキング・テクノロジーの採用により、ファンは競技をこれまで以上に近くで感じることができたようです。

マドリッドのラス・ベンタス闘牛場
マドリッドのラス・ベンタス闘牛場

「これほどまでに素晴らしいトリックをこなす人間は、世界でもほんの一握りです。トラッキング・テクノロジーは、複雑な動きを細かく分析し、選手がこうしたトリックを繰り出すためには何が必要なのかをファンに分かりやすく提示してくれます」と、インテルのニュー・デバイス・グループ、リサーチ・サイエンティストのジミー・ホールは語ります。

スペインのマドリッドで、インテル® Curie™ モジュールを Red Bull X-Fighters のヘルメットに取り付ける、インテルのタイラー・フェターズ
スペインのマドリッドで、インテル® Curie™ モジュールを Red Bull X-Fighters のヘルメットに取り付ける、インテルのタイラー・フェターズ

マッチ箱より少しだけ大きいインテル® Curie™ モジュールを各ライダーの体とバイクに複数取り付けます。各モジュールには、ボタンサイズのシステム・オン・チップ (インテル® Curie™ モジュール) のほか、加速度計、ジャイロスコープ、磁気計、超広帯域の位置センサーといったさまざまなセンサーが搭載されています。これらすべてのコンポーネントが連動することで、リアルタイム・データを計算する仕組みです。

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Red Bull X-Fighters 2016

取得したデータを解析するためのアルゴリズムを開発したホールは、FMX の選手たち、放送局、Red Bull のチームと話し合い、選手とバイクのジャンプの高さ、滞空時間、静止時間、速度など、Red Bull X-Fighters で測定すべき最も重要なデータを検討したと言います。

「選手たちは、滞空中にテクノロジー・パックが顔めがけて飛んでくるのではないかということを一番気にしていましたね」とホールが語るように、検討の結果、モジュールは目立たない位置に取り付ける必要があることも分かりました。

Red Bull X-Fighters マドリッド大会でテクノロジーの説明を受けるリーバイ・シャーウッド選手
Red Bull X-Fighters マドリッド大会でテクノロジーの説明を受けるリーバイ・シャーウッド選手

インテル® Curie™ テクノロジーは、今年前半に米国コロラド州アスペンで開催された X ゲーム冬季大会や米国テキサス州オースティンで開催された X ゲーム夏季大会など、複数の競技で使用された実績があります。Red Bull X-Fighters では、選手とマシンの両方を測定するため、テクノロジーをさらに進化させる必要がありました。

Red Bull X-Fighters 2016
Red Bull X-Fighters 2016

「FMX では、選手とマシンの動きの違いが非常に重要になります。テクノロジー・ソリューションを開発する場合、私たちは常にフィット感を考慮しています。闇雲にテクノロジーを開発しているわけではありません」とホールは説明します。

ホールと彼のチームは、マドリッドの会場全体に、インテル® Edison ボードを搭載した「アンカー」と呼ばれる受信機を設置しました。このアンカーは、ライダーとバイクから発信されるデータ・ストリーミングを受信する役目を果たします。

「こうしたすべての機材を組み合わせることで、ライダーを 3D 空間でとらえることができるのです」とホール。

Red Bull X-Fighters を支える舞台裏の作業
Red Bull X-Fighters を支える舞台裏の作業

さらにアンカーは、受信した信号を使って各モジュールの位置を特定し、その情報を一元化されたインテル® NUC サーバーに集約。サーバーでは、データをつなぎ合わせて複雑なアルゴリズムを適用し、動きを分析します。また別のコンピューターでは、グラフィックスを描画し、会場のいたるところに設置されたスクリーンや Red Bull TV ライブストリーム上に表示します。

「センサーからデータを取得して画面に表示するまでのすべての処理が、基本的にはほんの一瞬で行われます。非常に複雑なシステムにデータを通すわけですが、視聴者がタイムラグに気づかないように素早く処理しなければなりません」とホール。

選手の動きを妨げないことが重要視される Red Bull X-Fighters でのテクノロジー活用
選手の動きを妨げないことが重要視される Red Bull X-Fighters でのテクノロジー活用

こうしたプロセスを実現するには、膨大なセンサーデータ、接続能力、計算能力が必要です。

「これは、ウェアラブル・テクノロジーの進化を証明するような取り組みです。とてつもないスピードでデータを処理し、変化する動きに合わせて、ほぼリアルタイムでスクリーンに表示しなければなりませんからね」とホールは語ります。

これは、今年初めに提携を開始したインテルと RedBull Media House (RNMH) 社の初のコラボレーション事例になります。

RBMH 社の CTO、アンドレアス・ガル氏はこう振り返ります。 「テクノロジーと人間の能力を、かつてない夢のような形で融合させたかったのです。

ウェアラブル・テクノロジーにより、選手のトレーニング方法や能力の向上に大きな効果が期待できます。さらに、ファンも選手たちのパフォーマンスをよりリアルに体験できるようになるはずです」

Red Bull X-Fighters 2016
Red Bull X-Fighters 2016

「トリックを見るだけでなく、選手の滞空時間やジャンプの速度を知ることで楽しみ方がさらに広がるでしょう。テクノロジーのおかげで、ファンを選手の動きにより深く惹き付けることができます」(ホール)。例えば、スローモーションのリプレイを見ることで、視聴者はライダーの動きを理解し、トリックがいかに緻密に構成されているかを知ることができます。

この闘牛場で華麗なショーを演じてきた数百人の闘牛士のように、Red Bull X-Fighters のライダーたちも、その勇気と驚異の身体能力で観客を魅了してきました。さらに今年は、史上初となるリアルタイムのデータが加わったことで、観客の興奮は最高潮に達したようです。

「その場にいなければ競技のスケール感はなかなか味わえませんが、ほかの何かと簡単に比較できるような数字を知ることで、その場にいるファンでさえ、さらに充実した体験ができるのです」とホールは語っています。

編集者より: この驚きの新体験シリーズでは、コンピューター・テクノロジーの活用による素晴らしい体験をご紹介していきます。コンピューター・テクノロジーが、科学、メーカー・ムーブメント、ファッション、スポーツ、エンターテインメントなどに新たな体験や発見をもたらすストーリーをお楽しみください。これらのストーリーを支えるテクノロジーは、驚きの新体験で詳しくご覧いただけます。

 

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