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新たなステージを迎える PC 改造文化

Kevin Ohannessian Author, Kill Screen

PC が古くさくて味気ないグレーの箱だったのは過去のことです。 昨今のゲームプレーヤーは、ケースの形状から、アイコンや壁紙などのテーマ、テクノロジーに至るまで、PC のあらゆるものを改造しています。

ドライバーを片手に、コンピューターのケースを開けて覗いてみましょう。 グラフィックス・カードを増設したら、次は冷却効果を高めなければなりません。

ここまで来たら、 もう後戻りはできません。前進あるのみです。

オーバークロック (メーカー設定を上回る速度で CPU を動作させる技術) が主流になりつつある今、PC ユーザーは自分のマシンを思うように動作させるための新たな方法を模索しています。

「車をカスタマイズするのは、もはや珍しいことではありません。 カスタムカーを好む人は、色を塗り替えたり、リムを変えたり、エンジンや内装をカスタマイズしたりなど、徹底的に自分好みに作り変えます」と話すのは、インテルのテクニカル・マーケティング・エンジニア、ジョニー・ロドリゲス。 「コンピューターの改造もこれと同じ」と語る彼自身も、

コンピューターを改造してハイエンドマシンを構築し、プロセッサーの限界に挑戦しています。

PC を全く新しいマシンに改造する人たちは、「PC モッダー (PC 改造者)」と呼ばれています。 彼らは、コンピューターを収納するシンプルな箱を用意し、並はずれた見事なマシンに改造します。

彼らが何を望んでいるのかは、改造後のマシンを見れば分かります。 テクノロジーを追加してスペックを強化し、とにかくパワフルなマシンを追求する人もいれば、 ケースから部品を取り出して別の場所に取り付けることで、新たなフォームファクター (コンピューターを構成する主要部品の物理的寸法や位置などを規定した規格) を追求する人もいます。

また、自分らしさを表現しようと、ケースをアート作品にする人もいます。

「時代は 4K (フルハイビジョンの約 4 倍の解像度に対応した映像) に移行しつつあります。 4K 画質でゲームをするなら、ゲームを楽しむのに十分なフレームレートを確保するために、少なくとも SLI (スケーラブル・リンク・インターフェイス) が必要になるでしょう。もしかしたら、SLI でも役不足かもしれません」と、インテルのソリューション・アーキテクト、アレハンドロ・オヨスは説明します。SLI とは複数のビデオカードを接続して、より高速に描画できるようにする技術のことです。

写真のようにリアルなゲームを楽しむために、DIY ユーザーは自分の PC にグラフィック・カードを増設します。最大 4 枚のビデオカードを SLI を使って接続させる場合もあります。 そうなると、CPU や RAM も変更しなければなりません。

つまり、あらゆるものをオーバークロックし、全体で動作速度を高めることになります。 馬力を上げると当然ながら発熱量も増えます。多くの PC モッダーは、冷却ファンに加えて、水冷システムのチューブとラジエーターを追加しています。

「まさにドミノ効果です。 テクニカルな改造からスタートしても、あっという間にこの状態です。 青く塗ったらどうだろう? チューブをこの上に通したらクールかな? などとね。 もはや中毒状態です。もちろん良い意味で、ですが」

一部の PC モッダーは、新しいテクノロジーを追加すると、コンピューターのシャーシまですべて取り替えます。 コンピューター部品を新しいケースに組込みたくなってしまうのです。

デスクが小さくて PC を置くスペースがなければ、 フレームの中にコンピューターを入れて 壁に掛ければいいし、

バック・トゥ・ザ・フューチャーのファンなら、 PC をデロリアンのモデルカーの中に入れることだってできます。 PC モッダーは、時間とお金が許す限り、何でもできるのです。

「究極の PC モッダーは、何もない状態からでもシステムを組み上げます。 彼らはおそらく、シャーシと金属板を溶接し、自分だけの特別なマシンをデザインするでしょう。可能性は無限大です」とロドリゲス。

ファン精神は、PC の改造において欠かせない要素の 1 つです。 あるスーパーヒーローのファンは、ケースに黄色と赤の金属プレートを追加して、アイアンマンのアーマー風に仕上げました。 ケースをトロンのバイクにしたファンもいます。

中には、レーザー・カッティング・マシンを使ってプレキシガラスにエッチングを施す人もいます。

「何とかして差別化したいわけです。 目立ちたがりの精神ですね。 LAN パーティーに行くと、周りをあっと言わせるようなシステムで自分のスキルを誇示したくなるのです」(オヨス)
※LAN パーティーは、各自がコンピューターを持ち寄り、お互いのマシンを LAN で接続してマルチプレイでコンピューター・ゲームを楽しむイベント。

最近は、コミュニティーもオンライン化しています。 改造をテーマとした多くの Facebook グループが存在しており、数千人のメンバーが登録しているグループもあります。

また、Web サイトやフォーラムも盛んです。このような場で、PC モッダーは自分たちの作品の画像を共有したり、手順を説明したガイドを公開しています。

PC モッダーの初心者は、ベテランの作業を見て自分の作業に活かします。 かつては、優れた改造作品は展示会やトーナメントでしか見られませんでしたが、今や世界中で簡単に共有できる時代です。インテルでは、Instagram でハッシュタグ #ExpertMode を付けて世界中の作品を紹介しています。

「たくさんの改造コミュニティーが存在します。 最初はそのうちの 1 つをフォローし、彼らの作品を通して、さまざまなテクニックをチェックしてみるといいでしょう。私も見たことがないような新しいテクニックが次々と生まれています」とロドリゲスはアドバイスしています。

PC の改造人気は衰える気配がありません。 e スポーツ市場が拡大を続け、トーナメントの参加者が増加する中、PC をカスタマイズして目立ちたいと望む人も増えています。

PC モッダーの中にはプロになる人もいます。彼らは企業に所属し、オーダーメイドの改造を行ってイベントを盛り上げます。 また、簡単に試せるようになったことで、改造人気は確実に高まっています。

「以前は、改造に使える部品を提供しているのはひと握りのメーカーでしたが、 今では、海外通販に対応しているショップもあるほどです。どこからでも部品を調達できます」と語るロドリゲスは、Amazon や Newegg でも改造用部品が手に入るようになると見ています。

「また、iBuyPower や Falcon Northwest のように、カスタマイズしたシステムを Best Buy、Fry’s、Micro Center などの小売店で販売する企業もあります。 とても健全な市場と言えるでしょう」(ロドリゲス)

 

Flickr フォト (Garrette 提供)

 

 

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