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創造性に広がりをもたらす Minecraft Mod

Kathryn Madden iQ Contributor and Killscreen editor

新しいツールと Minecraft Mod (改造データ) の登場が、ゲームのメーカー・ムーブメントを刺激。現実世界と仮想世界の境界線を曖昧にします。

2,000 万人以上の人々が、自らの創造力を駆使し、Minecraft で果てしない仮想世界を作り上げています。Minecraft には大半のゲームとは大きく異なる点があります。それは、Minecraft の拡張性の限界を超えようとしているのが、開発者ではなくプレーヤーであることです。

彼らは仮想のボクセル (ピクセルに対し、3 次元デジタル画像を構成する単位のこと) を使って、タージ・マハルからデンマークの国全体まで、あらゆるものを作り上げています。しかも、これらは現存するものの複製でありながら、Minecraft の世界では共有や変更が可能です。

「Minecraft コミュニティーは、世界中のコード・プログラマー、アーティスト、ミュージシャン、コンテンツ・クリエイターなどで構成されています」と語るのは、装飾的なブロックモデルで知られるモッダー (MOD 開発者) の Razz 氏です。

同氏によれば、多くのプレーヤーは Minecraft Mod を使用することでオリジナルを超えるゲームを生み出していると言います。こうした「マインクラフター」は、ゲームをただプレイするだけでなく、仮想世界と拡張現実が織りなすエンターテインメントの未来を形作っているのです。

Minecraft は仮想世界

数年前、Oculus 社の CTO、ジョン・カーマック氏は、Minecraft の Mod 開発コミュニティーに注目しました。彼は仮想現実 (VR) のエバンジェリストであり、FPS というジャンルを築いたことで知られる初代「Doom」を手がけた有名なゲーム開発者でもあります。そのカーマック氏は、今年初めに開催された Oculus デベロッパー・カンファレンスで、Minecraft を「VR 化すべき最も重要かつ唯一のアプリケーション」と評価。

さらに、「Minecraft には、そこに集まった人々が物理的に存在できる 3D 仮想空間、『メタバース』を実現できる可能性を秘めています」と語っています。その無限に広がる拡張性の高さと、ユーザー生成コンテンツを取り込む仕組みにより、Minecraft は仮想作品と物理空間をつなぐ存在になるだろうと言うのです。

Microsoft は、Minecraft を拡張現実ヘッドセットの Hololens でプレイできるように作業を進めています。世界最大のゲームイベント E3 2016 で同社はデモを公開。マインクラフターとテクノロジー・ジャーナリストたちは、その新たな可能性に度肝を抜かれました。

まだ試作段階の製品ですが、Microsoft コーポレート・バイス・プレジデントのクドウ・ツノダ氏はイギリスのガーディアン紙に対し、「Hololens はデジタル世界のモッダーやクリエイターのための画期的なツールになるでしょう」と述べています。

拡張現実によって、人々はもっと直感的にコンテンツを作れるようになります。

「3D コンテンツの制作工程を瞬時に理解できる人は少数です。2D の画面で 3D を作るのは、非常にややこしい作業だからです。今後は、ゲームに機能を追加してカスタマイズすることを楽しむコミュニティーがどんどん増えるでしょう。とても良い傾向です」とツノダ氏は語ります。

ミックスメディアによるモッディン

マインクラフターには、VR ではなく、ミックス・リアリティー (現実世界の映像と CG を融合させる技術で、複合現実と呼ばれる) のアプローチがピッタリはまるでしょう。ハードウェアによる Mod 開発とソフトウェアによる Mod 開発を融合させるため、磁石で電子回路をつないで電子工作が行える電子ビルディング・ブロック、littleBits (リトルビッツ) がゲームでも使われはじめています。

littleBits で Minecraft 向けに開発された bitCraft を使うと、モッダーは littleBits のハードウェアと Minecraft のレッドストーン回路 (さまざまな操作を自動化したり遠隔操作ができるようにしたりする仕組み) を組み合わせて、一方の現実から別の世界へとシームレスに移動するオブジェクトを作り上げることができます。

これにより、「仮想世界で開発するモノに現実世界の存在感を与えることができます。現実世界と仮想世界をつなぐことで、Minecraft を別の見方で捉えることができようになります。最初は、魔法のように感じるでしょう」と、bitCraft を開発したスタン・オクラシンスキー氏は説明します。

bitCraft のモッダーで教育者でもあるライザ・スターク氏は、ミックス・リアリティーが Minecraft の教育ツールとしての可能性を広げてくれるとして、こう語ります。

「現実世界とデジタル空間の両方でモノを作り上げていくため、互いが作用しあうようにうまく調整しなければなりません。こうして生み出された全く新しいプレイ体験を通じて、さまざまな問題解決能力と批判的思考能力が身につきます」

モッダーたちはこれまでに bitCraft を使用して、実際に警報を発するトラップドア侵入警報器シェイクスピアのロミオとジュリエットをムーディーに再演するための調光可能な照明スイッチ、さらにはなんと Minecraft スマートホームまで開発しています。

bitCraft だけではありません。VoidAlpha 社の Block Maker も新しいテクノロジーの 1 つです。これは、インテル® RealSense™ カメラを使用して現実世界のオブジェクトを 3D スキャンし、Minecraft の仮想世界でレンダリングするツールです。

カメラの前でオブジェクトを手で回転させたり、ターンテーブルの上で回転させたりしてデジタル版のオブジェクトを作成することで、Minecraft のボクセル世界に取り込むことができます。

VoidAlpha 社の最高執行責任者であるマーク・デイ氏は、Block Maker が、物理的なフィギュアやオブジェクトでプレーヤーをゲーム世界に「テレポート」させる Toy-to-Life トレンド (Toy-to-Life は、ゲームと現実世界を連動させ、おもちゃに命を吹き込もうという考え方) の新機軸になると考えています。

「現実世界で慣れ親しんでいるモノが、そのまま仮想世界の一部になるのですから、Toy-to-Life とは全く逆の流れです。Life-to-Toy になるわけですね」とデイ氏。

Activision 社のアクションゲーム「Skylanders」や、お気に入りのキャラクターと遊べる Disney 社の「Disney Infinity」、ゲームと連動する任天堂の「amiibo (アミーボ)」といった既存の Toy-to-Life カテゴリーのゲームとは異なり、Block Maker を使えば、子供たちは大好きなテディベアやペットのハムスターなど、あらゆるものを仮想空間に持ち込むことができます。

「人々は長い時間をかけて素晴らしい世界を作り上げていますが、使える時間には限りがあります。だからこそ、現実世界のアイテムを Minecraft の創作物として取り込むというアイデアは、非常に魅力的なわけです」と、インテルでインテル® RealSense™ テクノロジーのエバンジェリストを務めるエリック・マンション。まだリリース前であるにもかかわらず、Minecraft で使うオブジェクトの制作時間を大幅に短縮できるツールとして、多くのモッダーが Block Maker に大きな期待を寄せています。Razz 氏もその一人であり、このツールによって「モデラーの負担が減り、モッダーの作業時間を大幅に短縮できるでしょう」と語っています。

Microsoft Hololens が 3D 空間での容易なコンテンツ制作を目指したように、Block Maker もまた、Mod 開発スキルを問わず、Minecraft クリエイター予備軍の誰もがこの世界に参入できるようにと設計されています。

「9 歳の子供にも使いこなせるようになればと考えています。そうすれば、個人的に思い入れのあるオブジェクトを Minecraft の冒険の世界に追加する手段が得られますからね」とデイ氏。

bitCraft モッダーのブレンダン・トロンブリー氏は、Block Maker の登場によって、ユーザー生成コンテンツにおける現実世界と仮想世界の境界はさらに曖昧になるだろうと考えています。

「Block Maker でオブジェクトをスキャンして Minecraft に取り込み、そのオブジェクトを 3D プリンターで現実のオブジェクトとして出力したら、Minecraft 的な世界が見られるかもしれません」とトロンブリー氏。

しかし彼はこうも語っています。「実際にプレーヤーに聞いてみると、『ゲーム内の体験は実にリアルだけど、プレーヤー以外の人には理解できないものかもしれない』と彼らは答えるでしょう」

結局のところ、リアルな仮想世界にプレーヤーを引き止めておくために、Minecraft はほとんど助けを必要としていないのかもしれません。

ここに記載している Minecraft のすべての画像はモッダーの Razz 氏による作品です。

 

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