教育

ネット接続玩具が新時代の遊びを開拓

Jon Irwin Author, Kill Screen

新世代の子どもたちは、ネット接続玩具で遊びながら新たなスキルを身に付け、創造力を養っています。

積み木からアメリカ生まれの抱き人形「キャベッジ・パッチ・キッズ」まで、子ども向けのおもちゃは、遊び手に想像力を膨らませるように働きかけてきました。 一方、「タッチスクリーン型キューブ」や「ローリングロボット」をはじめとする新時代のネット接続玩具は、子どもたちを夢中にさせ、世界に関する知識をもたらします。

おもちゃ市場は全体的に成長傾向にあります。マーケティング会社の NPD Group によれば、11 の主要グローバル市場で売上成長率が 7% 上昇していると言います。 こうした中、ライセンス産業向けの業界誌を発行する License! Global は、ネット接続玩具が 2016 年の一大トレンドになると予想しています。

  • Robo Mama のキッチンセット
    例えば、従来のプラスチック製キッチンセットの調理台では、アメリカ生まれの小麦粘土「プレイドー」でスパゲッティを作ることぐらいしかできませんでしたが、Robo Mama のキッチンセット (ミネアポリスで開催された IoT ハッカソンに出展) では、シェフになりきり、実際に火を使って調理しているような気分が味わえます。

このセットには、導電パッドが仕込まれたデジタルの蛇口やフライパンが備えられており、この導電パッドでさまざまな野菜や加熱設定を検出できるようになっています。LED ライトで直感的に操作できるため、さまざまなレシピや調理方法を簡単に学べます。火を扱わずに、ビギナー向けの料理教室を安全に楽しめるのです。

  • BB-8
    子ども用のキッチンセットだけではありません。 Sphero 社からスマートフォン・アプリで制御できる BB-8 が登場したのを機に、これまでポーズが固定されていたプラスチック製アクションフィギュアも、一気に最新のおもちゃの仲間入りを果たしました。 スター・ウォーズの世界を模したよくある商品とは別次元の Sphero 社製ドロイドの箱を開くと、あたかもタトゥイーン宛ての荷物を受け取ったかのような気分に浸れます。

Sphero 社の共同設立者であるイアン・バーンスタイン氏はこう語ります。
「映画の中の BB-8 になるべく忠実な製品を作りたかったのです。ですから、細かい装飾まで完璧に仕上げる必要がありました。球体全体に高品質なデザインを施し、すべてを忠実に再現する作業は容易ではありませんでした」

BB-8 のパッケージングからホログラフメッセージの保存、再生機能まで、細かなディテールがはるか彼方の銀河系を身近に感じさせてくれます。パワフルな小型コンピューターが普及したことで、1977 年当時は不可能だったことが現実になっています。ある意味、Bluetooth は新たな“フォース”と言えるでしょう。

高い応答性とユニークな個性を備えたこの精巧なレプリカは、スター・ウォーズの不思議な魅力を醸し出す世界へと遊び手をいざないます。タッチ操作と音声に反応する BB-8 は、他社製のおもちゃからは得られない独自のパーソナルな体験をもたらします。

とはいえ、ドロイドやライトセーバーは現実世界からかけ離れていると感じる人もいるかもしれません。Sphero 社では SPRK (学校、両親、ロボット、子ども) プログラムも推進しています。これは、ネット接続玩具を教室に持ち込み、生徒たちに「自分ならアプリで制御できる球体をどんなことに使いたいか」を考えてもらうプログラムです。

「5,000 以上の学校で数十万人の子どもたちが、Sphero (社名と同じ名前を持つ、アプリで制御するボール型ロボット「スフィロ」) を使ってプログラミング、数学、天文学、ソーシャルスキル、工学、その他の多くの知識を学んでいます」(バーンスタイン氏)

  • Sifteo Cubes
    もちろん、新しくて魅力的な遊び方を創造する試みは、今に始まったことではありません。インターネットが広く普及し、パワフルなテクノロジーが日々登場している現在、おもちゃ製作の本質が根本から変わりつつあります。

2011 年、デザイナーのバーニー・リン氏とデーブ・メリル氏は、昔ながらの木製の積み木に LCD タッチスクリーン (タッチパネル対応の液晶ディスプレイ) と位置情報センサーを組み込むことで、現代版の積み木にアップデートしました。この Sifteo Cubes は、一見どこにでもある木製の積み木に見えますが、その中身は多種多様なビデオゲームを表示するスタイリッシュなミニチュア・コンピューターなのです。 両氏は、コンパクトで柔軟なテクノロジーを利用することで、子どもたちの積み木に対する意識を変えることに成功しています。

  • Spyro’s Adventure
    物理的な遊びと仮想ゲームを組み合わせた Sifteo 社のハイブリッドなデザインは、すぐに業界に広まりました。 同じ年、Activision 社と Toys for Bob 社はこのアイデアをさらに発展させ、フィギュアと連動するアクションゲーム「Skylanders: Spyro’s Adventure」(スカイランダーズ:スパイロの大冒険) を制作。

このゲームは、ゲーム内のデジタル・キャラクターに対応するアクションフィギュアを中心に進んでいきます。「ポータル」にフィギュアを置くと、ダイナミックな仮想世界でお気に入りのアバターと一緒に戦うことができます。こうした「Toys-to-Life」(おもちゃに命を吹き込む) カテゴリーには、ディズニー、任天堂、レゴも次々と参入し、市場は急速に拡大しつつあります。

  • LEGO Dimensions
    ビデオゲームの「LEGO Dimensions」は、黄色いブロックで出来たキャラクターに命を吹き込むことで、80 年代の子どもたちの夢を実現しています。

Skylanders とよく似ていますが、Dimensions は“参加”という重要な要素を加えています。Skylanders では、完成品のフィギュアを集めてゲームを進めますが、LEGO では、子どもたちが自分でキャラクターを作ることができるのです。組み立て方の違いによって、仮想世界でさまざまな目的を果たします。

  • Anki Overdrive
    21 世紀に新しくなって再登場した懐かしいゲームと言えば、「Anki Overdrive」でしょう。これは、1960 年代に人気を博したスロットカー・レーサーの現代版です。 オリジナル版ではプラスチック・コースを走るモデルカーのスピードしかコントロールできませんでしたが、今度はスマートフォン・アプリで調整したりカスタマイズを行うことができます。

さまざまな形状、サイズ、形態で登場しているネット接続玩具は、ほんの 2 ~ 3 年前には不可能だった“参加”という要素を実現しています。

アクションフィギュアをポータルに置けば、いきいきと躍動し始めます。プラスチックの卵をフライパンに落とせば、ジュージューと焼ける音がします。80 年代の子どもは R2-D2 (スター・ウォーズに登場するドロイド) を手で転がしていましたが、彼らの娘たちは iPhone のボタンを押して BB-8 を操作し、パーソナル・メッセージを届けています。

こうした応答性の高さが遊びの場を変えています。子どもたちには選択の機会が与えられ、その結果を目で見て確認できます。

IoT が遊びと融合することで、子どもたちは、将来に役立つテクノロジーを身に付けることができるのです。多くのモノがインターネットにつながり、デバイスやソフトウェアで制御される中、こうしたおもちゃは、子どもたちにとってデジタルの未来への第一歩となっています。

 

寄稿者:Jess Joho

 

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