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ファンタジー・フットボールで勝つには?

Shawn Krest Writer, Movable Media

バーチャル・リアリティー・ゲーム「ファンタジー・フットボール」のオーナーたちは、たとえスター選手をドラフトで獲得できなくても、新しいテクノロジーと最新の指標を使って勝利を目指しています。

現在、ファンタジー・フットボールを楽しむ人々の数は、国に例えると世界第 20 位の規模に匹敵し、フランス、イギリス、スペイン、イタリアなどの人口を軽く超えています。
※ NFL の全チームの中から好きな選手を選んで仮想チームを編成。実際の試合での選手の成績に応じて仮想チームにポイントが加算され、そのポイントで成績や勝敗を競い合うゲーム。

今年は、昨シーズンからさらに 31%増の約 7,500 万人がファンタジー・フットボールに参加。仮想チームのオーナーたちは、このゲームに 46 億ドル (約 5,500 億円) を費やすだろうと推測されています。

また、こうしたファンタジー・スポーツの急速な普及は、今後しばらく続くと見られています。賞金が懸けられ、競争は激しさを増す中で、ファンタジー・スポーツのプレーヤーたちはどうやって勝利を収めることができるのでしょうか。答えは「データ」です。

ファンタジー・フットボールのリサーチ会社 Edge Up Sports のイリヤ・タバクはこう説明します。「人々がファンタジー・フットボールに参加するのは、楽しむため、社交のため、そして勝つためです。しかし、チェックしなければならない情報は膨大であり、かなりの労力を要します。当社では、この手間がかかる作業をテクノロジーで支援しています」

ファンタジー・フットボールの業界が成長するにつれて、プレーヤーを支援するツールの数は増え、その複雑さも増しています。こうした現状を踏まえ、Edge Up Sports をはじめとする企業は、ドラフト指名や毎週行う選手のラインナップ選択を最適化するための支援を提供しているのです。

高度な統計情報の提供

オーナーの中には、シーズン第 3 週にカウボーイズの控えクォーターバックであるブランドン・ウィーデンを出場させた人もいたでしょう。しかし、彼が獲得したファンタジー・ポイントは約 8 ポイントに過ぎず、結果的に、ウィーデンは出場させるべきではなかったと言えます。また、フランク・ゴアをスタメンではなくベンチ入りさせてしまったために、22 ポイントを逃したチームもあったでしょう。これも残念な選択でした。

統計およびメディア事業を手がける Football Outsiders は、こうした選手の選択を支援しています。データの権威であるアーロン・シャッツ率いる Football Outsiders は、過去 20 年以上にもわたる各プレイのデータを活用。映像を分析するアナリストのチームによって情報が付加され、NFL の選手やチームを評価するための新たな指標を開発しています。

また、ESPN (アメリカのスポーツ専門テレビ局) 向けに、ファンタジー・フットボールにおける毎週のラインナップ選択も支援。自社で運営するコラムの中で、ゴアやウィーデン、さらには 13 ポイントを獲得したパンサーズのレシーバーであるテッド・ジンなどについても、貴重な情報を提供しています。

同社が活用しているのは、Kubiak と名付けられたパフォーマンス予測モデルです。Kubiak という名前は、かつてはブロンコスの控えクォーターバックであり、現在は同チームのコーチであるゲイリー・クビアックから取ったものです。8 月の後半、Football Outsiders は Kubiak を使用して、各選手の基準値に基づいたファンタジー・ポイントと平均ドラフト順位を比較。

その結果、ファンタジー・フットボールのドラフトにおいて、イーグルスのクォーターバックであるサム・ブラッドフォードがあまりにも過大評価されていることが分かりました。また、ブロンコスのディフェンスが非常にお買い得であるという評価も示されました。実際、ブロンコスは開幕 3 試合で 49 失点しか許しておらず、これはリーグ全体で 3 番目に良い数字です。

さらに Football Outsiders のシャッツと彼のチームは、解説者たちの独自の見解についても分析しています。同社の最近の記事では、どのレシーバーの「キャッチ半径」(他のレシーバーがミスしそうなパスに向かっていきキャッチする能力) が大きいかについて分析。

また、ファンタジー・フットボールのオーナーに対し、潜在的なマイナス要因について警告を与えています。例えば、キャリー (ボールを持って走ること) 回数が 370 回を超えたランニングバック (攻撃側のポジション名) は翌年にケガをしやすいことや、ランニングバックの能力のピークは 28 歳であること、

レシーバーは 30 歳、クォーターバックは 32 歳を境に能力が低下することなどが報告されています。

最新情報を収集する

選手にケガやスランプは付きものであり、ファンタジー・フットボールのオーナーは、毎週のラインナップ選択やウェーバー制度 (前回最も成績が悪かったチームから優先的に獲得できる制度) による選手獲得のため、常に最新情報に目を光らせておく必要があります。

「ほとんどの人はシーズン開始時にフットボールの分析記事を読み、信頼できそうな数人の分析家を見つけるでしょう。しかし、情報量は膨大です。選手やコーチの話、統計的予測、フットボール・アナリストによる予測など、たくさんあります」とタバク。

rotoworld.com や CBS Sports の player news などには、各選手に関する大量の最新情報がリアルタイムに流れてきます。Rotoworld では、「最も検索されている選手」として、他のオーナーたちが関心を持っている選手を確認することもできます。

しかし、どれだけフットボールに関心があろうと、あらゆる情報に精通することは困難でしょう。

タバクが所属する Edge Up では、IBM の Watson スーパーコンピューターと人工知能の技術を駆使して、Twitter* も含めた Web をくまなくチェックし、選手に関する発言のすべてを収集しています。

スーパーコンピューターは個々の発言を評価し、選手のおおまかな調子の波 (上り調子、下り調子のいずれであるか) を導き出します。「これは、Rotten Tomatoes (映画のレビューサイト) でアメフト選手のトム・ブレイディーを評価するようなものです」と語るタバクは、

Edge Up のアルゴリズムでは、情報ソースが信用できるものかどうかまで考慮していると説明。

「一般的なファンタジー・フットボールのプレーヤーは 2 つか 3 つのソースからの情報を参考にしているようですが、当社は 2,000 ものソースを対象としています」と語っています。

選手のケガを予測する

中心選手のケガほど、当初の予定を狂わせるものはありません。ファンタジー・フットボールのオーナーにとって、ケガをしている選手に関する情報は大量にあるものの、ケガをしそうな選手を予測する方法などほとんどありません。

ファンタジー・フットボール業界における予測サービスのトップ企業の 1 つ、ScoutPro は、Inside Injuries の創業者であるアンドリュー・ララジ博士と共同で、各選手の負傷レポートカードを開発。これは、選手の過去のケガや手術の情報を基に、再びケガをする確率を示すものです。

例えば、スティーラーズのクォーターバックであるベン・ロスリスバーガーは、第 3 週に内側側副靱帯 (ないそくそくふくじんたい) を損傷しましたが、彼の過去 2 年のレポートカードの評価は C+ ~ B+ でした。

レポートカードには次のように記載されています。「ロスリスバーガーは過去にレベル 2 のケガを複数回負っており、脳震とうを起こしたこともある」

また、第 2 週にケガをしたカウボーイズのクォーターバック、トニー・ロモの評価は、一貫して B 以下でした。

レポートカードには、「ロモはレベル 1 のケガである椎間板ヘルニアによって 2013 年シーズンを終えた。内視鏡による顕微鏡下ヘルニア摘出術を受け、完全に回復するまでに 4 カ月を要している。また、利き腕にレベル 2 のケガを複数回負っている」とあります。

レポートカードには、ファンタジー・フットボールのオーナーがケガの状況をより詳しく把握できるように、画像も掲載されています。例えば、選手が負傷した箇所を示す身体図や、X 線画像、 MRI スキャン画像を見ることが可能です。

これらのツールを開発する企業は、貧乏球団を強豪チームにまで育てたビリー・ビーン (映画「マネーボール」で知られるゼネラルマネージャー) のように、今週のスタッツ (プレイ成績) やケガの予測システム、スーパーコンピューターなどを駆使して、ファンタジー・フットボールのオーナーたちに勝利をもたらしたいと考えているのです。

 

ショーン・クレストは、CBSSports.com、ESPN.com、MLB.com、The Sporting News をはじめとする多くのメディアに寄稿しています。彼の著書『Baseball’s Meat Market』が、2016 年 3 月に Page Street Publishing から出版される予定です。


* その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。

 

 

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