ヘルス

体を動かす喜びを知るエクサゲーム Terra

Jason Johnson Freelance writer and editor

ウェアラブル・テクノロジーに搭載されたデータとゲーム設計を組み合わせた実験がカリフォルニア大学デービス校で行われ、健康増進ツールとしてのゲームの将来性が示されました。

カリフォルニア州デービスの中学生たちが学校へ通う道すがら、世界の人々の健康増進に貢献しました。スーパーヒーローとなったティーンエイジャーが手にした特別な力とは何か。それは歩数を記録できる道具 Fitbit です。

彼らは、サンフランシスコに本拠地を置くゲーム制作会社 Funomena 社とカリフォルニア大学デービス校が 2013 年に開始した共同実験の参加者だったのです。

彼らは毎日、自分のフィットネス・データを Terra という Web ベースのゲームに実験的にアップロードしていました。このゲームでは、現実世界で記録した歩数がゲームのポイントに換算されます。

プレイヤーは宇宙飛行士のヒーローとなって活躍するという設定です。滅びゆく地球から人類を移住させるために、まずは新しい惑星に入植しなければなりません。

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カリフォルニア大学デービス校の研究チームとゲーム制作会社 Funomena が共同開発した Terra

Terra でポイントを稼げば、多くの入植活動ができます。生徒たちは昼間はできるだけ歩数を稼ぎ、夜は宇宙の生き物たちの健康を回復させるか、入植地の環境を地球人に適したものにします。

「現実の生活に結びついたゲームを作ろうという狙いでこの実験を始めました」と語るのは、カリフォルニア大学デービス校教育学大学院の学習・脳科学学科准教授、シンシア・カーター・チン氏です。

ゲーム制作者たちは、生活態度をほんの少し改めるだけでとても健康的になれることを若い人たちに伝えたかったのです。

エクサゲームの登場

楽しみながらカロリー消費ができるゲームは Terra 以前にもありました。エクササイズの要素を取り入れたゲーム、いわゆる「エクサゲーム」が、テレビ画面やゲーム機とつながるトレーニング器具として定着してからすでに何年も経っています。

例えば、任天堂から発売されたファミリートレーナーというエクササイズ型入力装置は、お茶の間に居ながらにしてフィールド競技のトレーニングをしたりチャチャチャを踊ったりすることができました。最近の新しいフィットネス・ゲームとしては、Wii Fit のヨガKinect cardio が登場しています。

ところが、カーター・チン氏はこう指摘します。

「これまでのゲームは、健康的なライフスタイルを総合的に促進するものではありませんでした。つまり、一日の身体活動全体に対する考え方に変化をもたらすことはなかったと言えます」

そこで、Terra では、フィットネスを楽しみながら、毎日続けられる健康的な習慣を促すために、エクサゲームの考え方を一歩前進させることにしたのです。

Terra は、トレーニングを 30 分のルーチンワークにしてしまうようなやり方ではなく、一日を通じて子供たちにちょっとしたフィットネスの機会を与えるというアプローチを取っています。トレーニング器具も不要なため、外で元気に活動する子供たちのライフスタイルにぴったりです。

ぐうたらな生活を改善するために

定期的にトレーニングを行うことは、健康でいるための条件のほんの 1 つでしかありません。せっかくジムで汗を流しても、それ以外は机の前でじっと座っていたり、家でソファにもたれてだらだらとテレビを見たりしていては意味がありません。そればかりか、心身ともに悪影響を及ぼします。運動しない時間が長くなると、たとえ毎日エクササイズしていても、安定した精神状態が損なわれたり、心臓病や糖尿病の原因になったりするのです。

専門家も指摘しているように、ただ歩くだけの軽度な運動から中強度の運動を一週間を通して増やしていくことで、ぐっと健康的な生活が送れます。体を頻繁に動かすことにはたくさんのメリットがありますが、中でも脳細胞を増やしたり若く見られるようになったり、若年死を阻止したりする効果があるという研究結果もあります。

カーター・チン氏は、カリフォルニア大学デービス校が実施した Terra の実験結果について、実験参加者の 75% が一日の活動に効果が見られたと報告しています。それだけでなく、効果があった子供たちは自分の歩数データと身体活動の関連性を知ることに興味を示したとのことです。

参加者の中には、自分のライフスタイルが原因でゲームが思い通りに進まないことに不満を示す人もいました。学校が遠すぎるため徒歩で登校できない生徒や、歩数計がプールでの使用には対応していないため、水泳をやっているのにポイントを獲得できない生徒がいたのです。フィードバックから分かったことは、フィットネスの種類は人によって大きく異なるため、ウェアラブル・テクノロジーもカスタマイズできる必要があるということです。

「非常にパーソナルな情報を一人ひとりの行動に活かそうとするなら、個々の異なる状況に対応できるテクノロジーを用意しなくてはならないということです」とカーター・チン氏は説明します。

パーソナル・フィットネス・テクノロジーは今後ますます多様化しながら進化していくことでしょう。同時に、身体データを使ってプレイするゲームの種類もどんどん増えていくはずです。Terra ではプレイヤーの歩数をグラフで表示しますが、歩数以外の測定データを使えれば、果てしなく可能性が広がるでしょう。

ゲームという楽しいインセンティブに、毎日気軽に使えるウェアラブルが加わることで、体調を整え、健康な身体を作るための最高の習慣が身につき、ぐうたら人間をスーパーヒーローに変えてくれるかもしれません。

 

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