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バーニングマン 2016 も度肝を抜くテック作品が目白押し

Kristin Houser Writer & Editor, LA Music Blog

身体から切り離された 12 個の頭部が歌うロボット合唱隊から、高さ 8.2m の画面が炎に包まれるビデオゲームまで、「バーニングマン」の会場では、テクノロジーがさらなる新境地を見せてくれます。

ネバダ州のブラックロック砂漠で開催される大規模なフェスティバル「バーニングマン」には、毎年多くの参加者が音楽を楽しもうと訪れます。

電磁力で動作する幅 15m もの光の彫刻や、数百点に及ぶ巨大なアート・インスタレーション群がずらりと並び、普段は荒涼とした何もない砂漠がバーチャルギャラリーに一変。

毎年、世界中のアーティスト、クリエイター、メーカーが壮大なインタラクティブ・アート・インスタレーションを制作し、この会場でバーナーと呼ばれる参加者たちに作品を発表するのです。多くのアーティストは、テクノロジーを駆使してコンセプトをカタチにし、作品を作り上げます。

Site 3 Fire Arts 社のセス・ハーディー氏はこう説明します。

写真提供:Nicola Bailey

「テクノロジーは、芸術作品として認識される全く新しい表現方法を生み出します。こうした作品を展示する博物館はまだありませんが、バーニングマンのようなイベントは、あらゆる表現や作品のためのインスピレーション、ギャラリー、歴史的な記録としての機能を発揮します」

何人かのアーティストは、センサーや可燃性のピクセルパネルなど、あらゆる素材を使って制作したバーニングマン向けのテック・インスタレーションを、今年 8 月の本番でお披露目する予定です。参加者は、そうした作品から何らかのメッセージを受け取ることで、大きな驚きを体験できるでしょう。

ここで、今年のバーニングマンを彩る作品のいくつかをご紹介します。

ファイヤーテトリ

毎年参加している常連のジョディ “ファイヤータイガー” マッキンタイヤ氏は、2015 年のバーニングマンで自身のアート・インスタレーション「ファイヤーテトリス」を発表し、ゲーム界をあっと言わせました。彼が所属する MIAOU Labs 社のチームは、炎と膨大な数のテクノロジーを使って、数十年前に誕生したビデオゲームのテトリスを高さ 8.2m の画面で再現して見せたのです。

MIAOU Labs 社の設計エンジニア、アラリック・ベルシェロン氏は、「テクノロジーがファイヤー・テトリス・プロジェクトのカギだったのは間違いありません。ファイヤーテトリスは、エンジニアリングを駆使したテクニカルマシンと言ってもよいでしょう。つまりテクノロジーそのものです」と語っています。

ベルシェロン氏は、多数のグラフィカル・ソフトウェア・ツール、コンピューター支援設計 (CAD) ソリューション、回路設計ソフトウェアを使用したプロジェクトを計画していますが、物理的な部品の多くは CAD ファイルから直接 CNC レーザーカッターで加工していると言います。

「CAD を使用して構造とプロパン配管を同時に設計することで、最新の部品表で作業を進められるだけでなく、設計の早い段階で位置合わせや干渉などの問題を予測できるようになりました」とベルシェロン氏。

ゲームのコアとなる 5 x 5 フレームのピクセルパネルを制御したのは、MIAOU Labs社が独自開発したテトリス・ソフトウェアを実行するノートブック PC です。もちろん、バーニングマンの参加者たちは、この大規模なゲームアート作品をプレイすることも可能です。

クリアできなかったプレーヤーは燃え上がるピクセルが鉄製の構造物を上っていく様子を見て文字どおり熱くなりますが、高まるプレッシャーに根を上げる参加者はいなかったようです。ベルシェロン氏は、「多くのプレーヤーが肌寒い砂漠の夜にゲームの熱気を楽しんでくれました」と振り返ります。

ヘリオ

彫刻アーティストであり、2015 年ワールド・テクノロジー・アワードの候補者にも選ばれたケイト・ローデンブッシュ氏は、16 回目の参加となる今年のバーニングマンで、テクノロジーを融合した新作のアート・インスタレーション「ヘリオス」を発表する予定です。

参加者がこの巨大な彫刻を作動させるには、自分の中で何に火を点けたいかを申告しなければなりません。その後、階段を使ってヘリオスの 6 つあるアクティベーション・プラットフォームの 1 つに上ります。地上 3.6m の高さにあるプラットフォームは内側を向いており、15m の中庭を構成しています。

プラットフォームに上った後の手順について、ローデンブッシュ氏は、「電磁力で動作するこの作品を作動させるために、参加者はレオナルド・ダ・ヴィンチの有名な『ウィトルウィウス的人体図』と同じポーズを取る必要があります」と説明。これは、バーニングマン 2016 のアートテーマである「ダ・ヴィンチのワークショップ」にインスパイアされたアイデアです。

写真提供:Kate Raudenbush

しかも、インスタレーションならではの意義を維持するために、この作品は参加者一人では起動できない仕組みになっています。ほかの参加者たちがヘリオスの残りのプラットフォームを点灯させる必要があるのです。

「この作品のアイデアの根っこにあるのは、より明るい世界を具現化するためにコミュニティーが力を合わせる必要があるというメッセージです」と語るローデンブッシュ氏自身も、ヘリオスの展示準備を進めるテクノロジー・クリエイター集団のコミュニティーに属しています。

彼女はこう説明します。

「この作品でも、多くのテクノロジー・コラボレーションが生まれています。具体的には、3D モデラーの Rhinoceros、グラフィック制作ソフトウェアの Illustrator、フルクラウドの 3D CAD システムである OnShape、さらには CNC レーザーカッターおよび CNC ルーティング、溶接、サウンドや LED 照明のデザイン・テクノロジーを組み合わせて使用しています。

ヘリオスのレンダリング:Kate Raudenbush

もちろん、最後の瞬間にもテクノロジーを活用しています。すべてを太陽光発電で動かし、最後は花火を利用したテクノロジーで爆発的に点火するのです」

ルミフォニック・クリーチャー合唱

昨年、バーニングマンの参加者は、前例のない全く新しい方法で音楽を表現する機会を得ました。それは、センサーを使って、複数の顔で構成されたルミフォニック・クリーチャー合唱団の歌声を聞くというものです。開発したのは、Synarcade Audio-Visuals 社 (以下、Synarcade 社) で、同社のアーティスト・ディレクターであるマーク・ボロティン氏はこう説明します。

「12 個の異なる頭部に数百種類の状態や感情を与えるために、3 年かけてプログラミングしました。これらの頭部は、参加者の選択に応じて歌ったり、ビートを刻んだり、感動的な話を語ったりします」

写真提供:Nicola Bailey

Synarcade 社の開発チームは、インテル® Arduino モジュールを使って触覚インターフェイスを作り上げました。ユーザーは、カスタムメイドのセンサーに圧力をかけることで、それぞれの頭部から聞こえるオーディオを起動してミキシングできます。

合唱団のオーディオ・コンポーネントに多大な情熱と労力を注いだボロティン氏は、ビジュアルにも同程度のインパクトを与えたいと考えていたと言い、「12 個の頭部をよりリアルに見せるために、エンジニアのクリス・アンダーソン氏が実行したのは、専用に設計されたサーボモーターを使って物理的なオブジェを『機械化』することです。おかげで、巨大な頭部を集団でも単独でも動かせるようにプログラミングできるようになりました」と説明します。

ルミフォニック・クリーチャー合唱団はバーニングマン 2016 には出展されませんが、ボロティン氏と彼のチームは 2017 年にさらに大きいなスケールで展示するための準備を進めています。

ボロティン氏は、「今取り組んでいるのは、参加者の顔と声をリアルタイムに取り込むことです。そうすれば、作品との距離を縮めることができ、自分自身をサンプリングして、巨大なインタラクティブ作品と瞬時に一体化できます」と明かします。

ヘリオスのレンダリング:Kate Raudenbush

ファイヤーテトリス、ヘリオス、ルミフォニック・クリーチャー合唱団は、バーニングマンのテクノロジー・アート作品のほんの一部にすぎません。ローデンブッシュ氏の「これほどまでにアーティスティックな可能性を押し広げることができるのもテクノロジーがあればこそ」という言葉は、間違いなく多くのクリエイターの本音でしょう。

「テクノロジーによって、自分に何ができるか想像する方法が全く変わりました。テクノロジーは、アイデアをモデル化し、共有し、コラボレートし、実際に作り上げる作業を後押ししてくれます。新しい表現方法に挑戦するときは、いつもワクワクしますね」とローデンブッシュ氏は語っています。

 

ファイヤーテトリスのトップ画像提供:ジョディ “ファイヤータイガー” マッキンタイヤ氏。

 

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