ヘルス

フィットネス・データの上手な活用方法とは?

Ken Kaplan Executive Editor, iQ by Intel

プロアスリートたちの間でパフォーマンスの分析が主流となるなか、パーソナルトレーナーは、フィットネス・データを使って、一般の人たちに健康的なパーソナルプランを提案する役割を担っています。

野球を題材とした映画「マネーボール」や 2014 年のドイツ・サッカーチームが導入したデータ分析アプリケーション Match Insights は、データ活用がアスリートに勝利をもたらすことを明示しました。現在では、プロアスリートや自分自身の身体能力を定量分析するフィットネス愛好家のように、誰もが自らの運動成果を追跡できるようになっています。しかし、すべての人がウェアラブル・テクノロジーを使って膨大なデータ量を処理しきれるわけではありません。

「毎日の歩数、ランニングや自転車での走行距離、心拍数、睡眠パターンを追跡するウェアラブル・テクノロジーやモバイル・アプリケーションには、運動する意欲を飛躍的に高める効果があります」と語るのは、EXOS 社のパフォーマンス・イノベーション・チームでバイスプレジデントを務めるクレイグ・フリードマン氏です。EXOS 社は、アスリートのパフォーマンス測定を支援するヘルスおよびフィットネス企業です。

「テクノロジーは、自分の体全体に起こっていることについて理解を深めるのに実に効果的です」とフリードマン氏。

しかし一方で、こうしたパフォーマンスのデジタル化の流れが大きく変わりつつあるとして、こう指摘します。

「かつては運動心理学の研究でしか得られなかったようなインサイトを、多くの人が利用できる時代になりました。しかし、今のところデータが先行している状態で、データ分析のための能力や知識が追いついていません」

MLB の春季トレーニングを専門とするフリードマン氏は、2006 年にはドイツ代表サッカーチームに協力し、2001 年には WTA テニスツアーに帯同しています。この数十年にわたる活動の中で、彼はプロスポーツにおいて、定量化できるトレーニングが普及していく様子を目の当たりにしてきました。

「インサイトや前後関係のないデータのためのデータは、自分の身体能力を定量化することに興味のない多くの人々にとって無意味なものです」とフリードマン氏。

将来人々がパフォーマンス・データを使って自分だけのフィットネス・プランを模索する上で、コーチの存在が欠かせないであろうことは、フリードマン氏にとって火を見るより明らかでした。

コーチやトレーナーがテクノロジーによるパフォーマンス・データの収集および分析方法を習得することで、より多くの人々を最適な健康状態に導くことができるというのが彼の考え方であり、EXOS 社がインテルと提携したのも、その背景にこうした考えがあったからに他なりません。

「データから一歩離れて、効果を考えながらその人について、あるいはその人がどんな希望を持っているかを深く理解することで、一人ひとりのニーズに最適な形でデータを整理できるはずです」とフリードマン氏は語り、さらにこう続けます。

「毎日一定の歩数を歩くにしても、活力増進、ストレス解消、ダイエットなど、人によって優先順位は全く異なります。一人ひとりが目標とする効果や成果を把握するところから始めれば、使用すべきデータが明らかになります。

例えば、体重を落としたければ、運動量に注目する必要があります」

日々の歩数やその他の運動を追跡し、食事と睡眠に関するデータの長期的な推移をチェックすることで、行動の変化が健康上の目標達成にどのように貢献できるかが明らかになります。

パフォーマンス・データはやる気を引き出すための格好の材料だと考えるフリードマン氏は、将来的にマイケル・ジョーダンのようになりたいのか、はたまた別のプロアスリートのようになりたいのかなど、一人ひとりの希望に注目します。

「多くの人々、特にスポーツをやっている若いファンは、プロアスリートに近づくにはどうすればいいかということに関心があるからです」と語るフリードマン氏は、個人のフィットネス・データをプロアスリートと比較することは難しいが、今後パフォーマンスの基準を標準化できれば容易になるだろうと考えています。これこそ、現在EXOS 社がプロアスリートと進めている事業なのです。

「意欲、栄養状況、運動と回復に関する個人のパフォーマンス能力のデータを取得し、全体的なパフォーマンス指数のスコアとして定量化します」とフリードマン氏は説明。

自分のパフォーマンス指数スコアが得られれば、そのスコアを使って健康的なトレーニング・メニューを作成し、パフォーマンス・データを憧れのアスリートと比較できるようになると言うのです。

多くのスポーツでは、プロアスリートの新たなパフォーマンス・データを見ることができます。スノーボーダーの場合、一般的に 10G の衝撃はソフトな着地と考えられていますが、X ゲーム※の冬季大会でスノーボードに小さな追跡装置を装着してデータを取得するまでは、それを確実な情報として伝えるのは困難でした。

※Xゲームとは、世界最高峰のアクションスポーツ競技の祭典で、スケートボード、BMX、スノーボードなどの人気競技を中心に世界中のトッププロが集結する。

スロープスタイルとビッグエアーという 2 つの男子種目に参加した X ゲームのアスリートたちは、フィットネス・トラッカーを着用するランナーのように、消しゴムほどの大きさのインテル® Curie™ コンピューティング・モジュールをスノーボードに搭載して競技に臨みました。

このモジュールには加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、気圧計、GPS が搭載されており、速度、滞空時間、距離、回転数などのデータを取得できる機能を持っていました。

こうして新たな科学的統計の手法を使って、アスリートが体験している加速度を自由落下の速度と比較することで、スノーボード大会を観戦していたファンは、命知らずなアスリートたちを数値で比較できたのです。さらに、多くのアマチュア・スノーボーダーは、スムーズな着地に必要な G の値に興味を抱くことにもなりました。

X ゲームの冬季大会での導入効果を踏まえれば、プロアマ問わず、インサイトに富んだパフォーマンス・データが大きなモチベーションにつながることは容易に想像できます。

 

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