テクノロジー・イノベーション

人工知能と機械学習:SF の世界が現実に!

Deb Miller Landau iQ Managing Editor

レストラン選びから、天気予報、世界的な食糧危機問題の解決まで、私たちの日常生活の至るところで人工知能が役立っています。

人工知能 (以下、AI) は、どこか真実味に欠ける SF の世界の話として、まるで他人事のように捉えられてきました。しかし実際には、私たちが気付いていないだけであって、日常生活のさまざまな場所で AI が利用されています。

例えば、詐欺請求の疑いを知らせる銀行からの警告メッセージ、エクササイズを促すスマートフォンの通知、Siri や Cortana のような音声認識機能… これらすべてに AI が使われているのです。

また、これ以外のさまざまな分野でも、私たちの生活の質の向上に役立っています。スポーツ分野では、アスリートの運動時間がケガの発生にどう影響するかを評価するバイオメトリクス測定に活用されています。作物の収穫量を最大化したい農業従事者は、水を与えるベストなタイミングを知ることができ、気象学者は融雪量を正確に計測することができます。スマートシティーは電力管理に、医療関係者は病気の発見やゲノム配列決定の実施、治療の追跡に AI を利用しています。

インテルの機械学習担当ディレクターを務めるニディ・チャペルは、「人工知能は基本的に、人間が特別なプログラミングをする必要がなく、機械が自ら理解し、学習し、外の世界とやり取りをします」と説明します。

AI は包括的な用語です。この中には、蓄積したデータから数学アルゴリズムを用いてコンピューターに思考させる、機械学習 (以下、ML) と呼ばれる技術やツールのセットも含まれます。また、ディープラーニング (以下、DL) も AI に含まれます。DL は ML の 1 分野であり、神経回路網モデル (脳の機能に見られる特性に基づいてシミュレーションすること) を用いて画像認識や言語処理などを行います。

「こどもの成長過程をイメージしてください」とチャペルが語るように、こどもは世界を観察し、人々がどのように他者とやり取りするのかを注意深く見て、社会規範を学びます。一つひとつ教えてもらうわけではありません。「人工知能も同じです。いちいちプログラミングしなくても、機械が自ら学習してくれるのです」

さらに、「AI は 3 つのことを行っています」とチャペル。はじめに、データを使ってパターンを見つけ、世界を捉えます。次にそのパターンを認識し、最後に自らの認識に基づいてアクションを起こします。

例えば、あなたが Facebook にハイキングの写真をたくさん投稿したとしましょう。するとアルゴリズムは、「特定の人物と山頂にいるあなたの写真がたくさんある」と認知します。次に、「その特定の人物とあなたはハイキングが好きなのだ」と認識し、あなたが好みそうな人物やハイキングを勧めるというわけです。

「この一連のプロセスは、すべて機械学習によるものです。機械はますます賢くなっていて、人間がより的確に意思決定したり、より短時間で研究することを可能にしてくれます」とチャペルは語ります。

慎重派の懸念を緩和する AI の可能性

一方で、AI に懐疑的な意見があるのも事実です。それは、機械に支配されてしまうのではないかという懸念です。しかしチャペルは、コンピューターの学習能力は実際にさまざまな方法で人類を助けているとして、こう説明します。

「私たちは、AI を人間の代わりにしようとしているわけではありません。AI を利用して人間の能力を高めようとしているのです。事実、AI は人間にできることを増やしてくれています。そのおかげで、私たちの生活はより豊かになるのです」
チャペルによれば、運転中に紙の地図を慌てて広げるのはもう過去の話だと言います。今日では、データを駆使した動的な地図アプリを利用できるようになっています。道路が変わったり新しい橋が架かっても、機械がそれを学習してくれるため、交通状況の監視や運転時間の短縮に役立ちます。

一方、教育金融医薬品などの分野では、これまでに何十年も、AI と ML の両方が活用されてきました。「AI は社会の発展に貢献している」とチャペルが語るように、 AI はオンライン・ハラスメントの軽減や、人身売買のような問題の解決に役立つほか、作物の収穫量を最大化することで世界の飢餓を減らしています。また、ウイルスにも効果的です。例えば、ジカウイルス感染症なら、蚊の移動パターンを予測したり、病気を媒介している可能性が最も高い蚊の種類の特定することで、病気を予防できます。

増え続けるデータの有効活用

「学習内容が高度で複雑になるにつれ、それを理解するために必要なデータも多くなります。また、機械に提供する学習データが多ければ多いほど、予測精度が高まることが証明されています」とチャペル。これは、機械学習が一般に普及すれば、驚くべき量のデータが必要になることを意味します。当然ながら、コンピューターの処理性能が高いほど、短時間で学習できることにもなります。

インテルの CEO、ブライアン・クルザニッチはインテル・デベロッパー・フォーラム2016 (IDF 2016) の基調講演で、人気の画像チャットアプリ「Snapchat」 への投稿、電子メールの送信、ゲームのプレイなど、私たちが日常的に行っていることだけで、1 日に 600 〜 700 MB 分のデータを生み出しているという話をしました。

クルザニッチによれば、2020 年にはこの数字が 1 日 1.5 GB に跳ね上がるというのです。ただし、これは人間に限った話です。自動運転車は 1 日当たり 4,000 GB 分のデータを、スマートファクトリーは毎日 100 万 GB 分のデータを生み出すことになるとされています。

「自動運転車は AI と ML の実用化の良い例です」とチャペル。1 台の車にコンピューターを搭載し、その車だけに学習させるのではなく、道路を走行する車がそれぞれクラウドにデータを送信すれば、他の車の学習を助けることも可能です。

データのクラウドソーシングと考えるとよいでしょう。例えば、ある車が「工事中」の標識を検出して迂回したとしても、他の車はその情報を利用できません。しかし、その車がクラウドに警告情報を送信できれば、障害物を「学習」する車が増え、車の流れはスムーズになります。

AI、ML、DL は、サイエンス・フィクション (空想科学) の世界からサイエンスファクト (科学で実現できること) へと進化しています。

インテルの主席副社長兼データセンター・グループ本部長を務めるダイアン・ブライアントはこう語っています。「AI は私たちのまわりの至るところにあり、人と世界の関わり方を変えつつあるのです」

 

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