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パンツもソックスもスマート化?! フィットネス・マニア必見のウェアラブル 7 選

Amy Roberts Writer and Fitness Professional

スマートな着圧ソックスから賢いブラにいたるまで、ウェアラブルをめぐる競争が進むにつれ、テクノロジーの価値も高まっています。

アクティブで (もしくはアクティブ志向で) テクノロジーに精通した人なら誰でも、単に 5km ランの自己ベスト記録やベンチプレスの最大重量を記録するだけでは飽きたらないでしょう。一方で、ウェアラブル・テクノロジーも、歩いた距離や、安静時の心拍数など、健康状態を数値で評価するための指標を毎日記録する必要性に迫られています。

現在、米国の成人のうち 16% がウェアラブルなフィットネス・トラッカーを所持しています。こうしたデバイスの人気は高まる一方で、2016 年の第 1 四半期の売り上げは、2015 年と比較して 40% も上昇。フィットネス・マニアたちは、自分の健康状態を分析すること、モチベーションを上げること、称賛されることに対して強い関心があるようです。そして、さまざまな企業がここに着目しています。

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Consumer Electronics Association (全米家電協会) のヘルスおよびフィットネス・テクノロジー委員会の議長であり、テクノロジー・インキュベーターの Misfit, Inc. 社でメディカル・ディレクターを務める、医学博士のマシュー・ダイアモンド氏は、こう語っています。

「現在のところ、主に小型化、エネルギーの効率化、デザインなどの分野で大きなイノベーションが起こっています。特に、テクノロジーを衣服、時計、宝飾品、その他のアクセサリーなど、人々が好んで身につけているものに組み込もうという動きがあります。これなら、楽な方法で長期間、テクノロジーを利用できるからです」

フィットネス・マニアなら、これらのテクノロジーを駆使して熱心に記録したがるのは明らかです。一方で、次々に登場する新しいウェアラブルの中で、これから先、どんなものが生き残っていくのかという点にも興味深いものがあります。ここでは、注目を集めるウェアラブルをいくつかご紹介しましょう。

1. 考えるキャップ

チェストストラップ (心拍数を測定するセンサーの付いた胸帯) をなくしたい、手首に邪魔なものは着けたくない、というランナーやサイクリスト向けのソリューションの 1 つが、Spree Wearables 社の SmartCap (200 ドル=約 2 万円) です。さまざまなセンサーを満載した着脱式の装置をキャップのつば前部に取り付け、心拍数や体温を測定する仕組みです。このキャップが、ランニング中やサイクリング中の位置情報も追跡します。

フィットネス・トラッキング製品の中で、体温を測定してトレーニングに反映できるのはこの SmartCap だけだと、開発元は主張しています。それもそのはず、研究によると、これこそが真に正確な体温を測定する唯一の方法だというのです。これに対し、National Athletic Trainers’ Association (全米アスレティック トレーナー協会) が提唱する標準的な方法は、直腸で測る方法です。

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2. 賢いスポーツブラ

OMSignal 社は、スマート衣料の開発を手がけるリーティング・カンパニーです。同社は、国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの CES 2016 で新製品を発表し、大きな話題を呼びました。話題になったのは、スマート・スポーツブラ (149 ドル=約 15,000 円) で、男性向けにデザインされたフィットネス・シャツを女性向けに展開した製品です。センサーが心拍数と呼吸数を測定し、多軸加速度計が歩数と運動強度を追跡します。

手首に着けるタイプだと歩数が多めに表示される傾向がありますが、センサーを体の中心部に配置することで、特にトレーニング中の心拍数の検知機能が向上し、測定誤差が軽減されると考えられます。

しかし、流通面ではいくつか課題も残っています。日々の歩数を取得するには、「スマートボックス」と呼ばれる装置付きのスマートブラを 1 日中、しかも毎日着用しなければならないからです。なかなか快適なスポーツブラが見つからずにいる女性にとっては、この点がネックになるかもしれません。しかし前途有望であることは確かです。

また、別のスマート衣料メーカーの Chromat 社は、NY ファッション・ウィーク 2015 で、スポーツ用の衣料品エアロ・スポーツ・ブラを発表。これは、インテル® Curie™ モジュール、汗センサー、形状記憶合金モジュールを使用し、発汗時に着用者を過熱から守ってくれる製品です。

OMSignal 社マーケティング部の広報を務めるチェルシー・ブッシュ氏は、「いつの日か、スマート衣料ではなく、単に衣料と呼ばれる日が来るでしょう」と述べています。

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3. ウェストラインの知恵

CES 2016 で、サムスンの社内ベンチャーである Creative Lab プロジェクトは、ヘルストラッカー機能を搭載したスマートベルト「WELT」を発表。このカジュアルな見た目の革のベルトは、バックルに数多くのセンサーが取り付けられており、ウェストサイズとベルトの張り具合いの変化を 1 日ごとに測定します。食事の摂取量の目安になるのはもちろん、歩数や、着用者が座り続けた時間なども分かります。

米国の国立生物工学情報センターが公表した研究結果によれば、一般的に、手首よりもヒップや腰回りにトラッカーを付けるほうが歩数カウントの精度が高いとのこと。とはいえ、ランチで食べ過ぎたことを反省させられるようなものを、わざわざ装着したくない人もいるかもしれませんね。

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4. 利口なパンツ

フィットネス・テクノロジーのメーカーは下半身の身体計測に目を向けていますが、製品の多くは、週末だけ運動に励むような人ではなく、プロのスポーツ選手を対象にしています。

Athos 社のショートパンツとカプリパンツ (主要なヘルストラッカー機能が付いて 348 ドル=約 35,000 円) は、心拍数の測定機能のほか、筋活性度を測定する筋電図センサーを搭載。疲労度も追跡できます。これは、どんなアクティビティーの最中にも、活動量および筋肉の左右差の両方を測れるようにしようと生まれた製品です。この業界に詳しい市場調査会社 Tractica 社の研究部長、アディティア・カウル氏はこう語っています。

「疲労度は、必ずしも 1 つのセンサーではなく、心拍数、筋活動、脳波図などの復数のセンサーから取得したデータをもとに総合的に測定されます。しかし、プロのスポーツ選手が翌日プレイできる状態かどうか、最高レベルのパフォーマンスを発揮できるようになるまでどのくらいかかるかを教えてくれるようなアルゴリズムを導き出してこそ、真のイノベーションと言えるでしょう」

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5. コーチのようなカプリパンツ

Lumo Bodytech 社はランナー向け製品の開発に取り組んでいます。この製品はショートパンツとカプリパンツ (各 200 ドル=約 20,000 円) に組み込まれた数多くのセンサーからデータを収集。スマートフォンのアプリを通じて的確なアドバイスをしてくれます。

同社のパンツは 9 つの軸を持つ動作センサーと加速度計、ジャイロスコープ (物体の角度や角速度を感知する装置) を使って、1 分当たりの歩数 (ケイデンス)、骨盤の位置と動作パターン、ステップの弾み具合、足を着いたときのスピードの低下 (制動)、接地時間、ストライドの長さといったランニング効率に関わる要素を追跡します。

6. 包括的な着圧

BSX Insight 社から販売されているのは、ふくらはぎを着圧するランナー向けサポーター (300ドル=約 30,000 円) です。このサポーターには皮膚を通過する赤外線 LED ライトが付いており、筋酸素濃度を測定できるようになっています。このサポーターを使うと、通常は血液検査や臨床検査でしか判断できない乳酸のしきい値 (有酸素運動と無酸素運動の変換点のことで、無酸素性作業しきい値または略して AT とも呼ぶ) に関するデータが取得でき、ランナーが最適なトレーニングの有効ゾーンを知るのに役立ちます。

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7. 高性能ソックス

ランニングのコーチを務めるパンツに驚かないとすれば、200 ドル (約 2 万円) のソックスはどうでしょう? Sensoria 社のソックスには、データ収集を行うためのアンクレットが装備されており、スマートフォンにリンクし、テキスタイル・センサー (センサー機能を有する織物) と布地の中に織り込まれた導電性繊維 (電気を通す性質を持つ繊維) により、装着者のランニング状況を把握します。

このソックスは、アプリを使って着地時の状況、ケイデンス、ランニングのペースといったデータを収集。ユーザーが事前に設定しておいた状態から外れたときにフィードバックを返します。装着者は、靴を変えることによるデータの変化も比較できます。

現在は、接地面は最小が良いとされる時代です。当然ながら、ランナーの着地時の状況に注目しなければなりません。具体的には、かかとからの着地がいかに悪いか、または不自然か、ということに注意を払う必要があります。なぜなら人間の足は、足の中心または前部のほうが力を分散しやすくできているからです。スマートソックスや付随するアプリは、こうした考えに基づいて作られています。ただしランニングと解剖学の専門家全員が、この考えに賛同しているわけではありません。

理学療法士であり、『Anatomy for Runners: Unlocking Your Athletic Potential for Health, Speed, and Injury Prevention』(ランナーのための解剖学) の著者でもあるジェイ・ディチェリー氏は、Competitor.com のサイトで、「足の前部で着地することでメリットを得るためには、ストライド (歩幅) を伸ばしすぎないようにすることです」と指摘しています。このソックスはストライドを測定できないため、あらゆるランナーの役に立つというわけにはいかないでしょう。

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今後、フィットネス・トラッカーやスマートウォッチがより手ごろな価格で手に入るようになり、新しもの好きだけに受け入れられるのでなく、このまま本格的に普及していけば、スマート衣料や手首以外に付けるウェアラブルも、やがて一般に浸透していくことになるでしょう。スマートキャップやスマートパンツが当たり前になるのも時間の問題かもしれません。

 

※文中に記載の金額は、日本語原稿執筆時の為替レートで計算しています。

 

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