テクノロジー・イノベーション

デジタル時代のイノベーションを主導する 3 人の女性たち

テクノロジー業界で活躍する女性のエグゼクティブたちが、コミュニケーション、チームワーク、データ分析を駆使して、技術革新を促し、次世代を刺激しています。

昨年、テクノロジー企業が従業員の性別に関する統計を調べたところ、よく知られた事実が再確認されました。史上初のコンピューター・プログラマーの中には、グレース・ホッパー氏のような女性が存在するのも確かです。しかしながら、テクノロジー業界の進化に伴い、ブラグラマー・カルチャー (Programmer と Brother から作られた造語で、若い男性を中心とする技術者たちを表す) が台頭。男性が圧倒的多数を占める業界になっていたのです。

National Center for Women in Technology の 2014 年のレポートによれば、米国でコンピューティング関連の専門職に就いている女性は 26% に過ぎず、CIO に至っては、わずか 6% に留まっています。

これでは極めてバランスが悪いとして、変化の波も起こり始めています。

現在、多くの大手テクノロジー企業では、資質を備えた女性従業員を採用する動きが進んでいます。教育機関や NPO では、少女や女性が STEM 教科、つまり、科学 (Science)、テクノロジー (Technology)、工学 (Engineering)、数学 (Math) を本格的に学び、テクノロジー分野のキャリアを検討できるよう働きかけているのです。

この STEM 分野でキャリアを積み、エンジニアリング、マーケティング、起業家精神が融合した世界で、データ分析、ツール、創造性を駆使してデジタル時代のイノベーションを一変させている女性たちがいます。ここでは、頭脳明晰で経験豊富な彼女たちの中から、何人かをご紹介しましょう。

Becky-Brown

ベッキー・ブラウン

ベッキー・ブラウンは、インテルでの 21 年間に及ぶ経験を含め、テクノロジー分野でのキャリアを振り返り、職場で唯一の女性だったころのことをはっきり憶えていると言います。

男性ばかりに囲まれて机に向かっていたことを、「威嚇されているようだった」とブラウン。

しかし、そんな彼女も、今ではインテルのグローバル・マーケティングおよびコミュニケーション担当副社長として、会議室に堂々と席を構え、

インテルの「コネクテッド・カスタマー」体験の責任者として、数百万ドル規模のデジタル・マーケティングや、広告投資および戦略を担っています。

ソーシャルメディア戦略を推し進め、インテルのソーシャル・コミュニティーを 6 万人から 5 千万人に拡大させたのも彼女です。この功績が認められ、最近、Top Rank による「デジタル・マーケティングにおける最も影響力のある女性の上位 50 人」にも選ばれました。

数々の栄誉を受ながらも、ブラウンはその称賛を即座にチームと分かち合います。

「最高の人たちに囲まれて仕事ができるのは幸せなことです。従業員のモチベーションを高め、彼らの仕事が企業の成否を分けることを理解させ、励まし、興味のあることを追求するよう刺激を与え、点と点を結び付けてより大きな全体像を想像させる。優れたリーダーは、こうしたことに長けていなければなりません」とブラウン。

さらに、この業界では、機知に富み、能力あふれる優秀な専門家チームを構築することが特に重要であると強調します。なぜならデジタル分野における進化のスピードは高まる一方だからです。

「5 年前にはコンテンツ・マネジメント・システム (CMS) など存在しませんでした。サイト間は接続されておらず、別々のプラットフォーム上にあったのです。もちろん、Web マガジンの発行を可能にするソーシャル・パブリッシング・ツールもありませんでしたし、それが何かさえ知りませんでした。

その後実に多くのことが起こりましたが、それでも私たちは、なおもデジタル・マーケティングの最前線にいるのです」とブラウンは語ります。

チカソー族の血を引くブラウンは、モンタナで育ち、そこでインダストリアル・エンジニアリングの学位を取得しました。このバックグラウンドは、彼女が状況の変化に応じた効果的な管理を行うのに役立っていると言います。

「当初、私はワークフローと効率性をすべてとするジャストインタイム生産の分野に進みたいと思っていました。けれども今は、それらの多くをマーケティングに活かしています」

と語る彼女は、科学的なアプローチを推し進め、データ分析を仕事の指針としています。

「デジタル分野では数々の分析法を使用できます。お客様のニーズについて、データが多くのことを教えてくれることを知っています。

私たちはフタを開けて中を覗きます。そして、お客様をよりよく理解するためにそのデータを使用するのです」とブラウン。

自身の存在が他の人を刺激し、後に続いてほしいと願う彼女は、

「インテルのリーダーとしての私の役目は、若い人たちが STEM に興味を持ってもらえるよう、模範となることだと思っていますそれは性別に関係なく、誰にとっても簡単なことではありませんが、集中力と決意があればできるでしょう」と語っています。

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モニカ・コッカー氏

SmartGift 社の CEO であるモニカ・コッカー氏も、デジタル・イノベーションにおけるリーダーの一人です。SmartGift は、小売店およびブランド向けに開発された製品レベルのデジタル・ギフト・テクノロジーで、非常に個人的で柔軟性に富んだギフトの贈り方を提案し、コンシューマー体験に変革をもたらしています。

同社の共同創設者でもある彼女は、その肩書を嫌っています。

「共同創設者という肩書は適切でないと思います。この言葉にはあまり動きが感じられません」
彼女に言わせれば、共同創設者という言葉は、歴史の教科書に出てくるような「古代帝国の創設者」といった使い方がふさわしいと言うのです。

「継続可能なビジネスを構築するための、有機的で安定したプロセスを包含する共同クリエイターまたは共同メーカーなどの言葉を採用するべきではないでしょうか」と彼女。

そんなコッカー氏の仕事は、企業の進路を示すこと。ビジョンと戦略を設定し、パートナーシップを構築し、才能を発掘します。それでも彼女は、自身を会社の一員にすぎないとして、チームマネジメントをオーケストラの指揮者に例えます。

「リーダーの仕事は、従業員一人ひとりに自分自身の可能性について認識してもらい、彼らの才能を引き出すことによって、単なる寄せ集めではなく、もっと価値のあることを達成できる集団へと導くことです」(コッカー氏)

SmartGift を立ち上げる前に、このインド生まれの起業家は Guguchu 社を共同創設しています。Guguchu は、インディーズ・レーベルおよびミュージシャンのためのデータ主導の e コマースおよびマーケティング・プラットフォームで、その後、ソニー・ミュージックの子会社に買収されました。彼女は、他の e コマース新興企業のアドバイスを行ってきた経験があるかと思えば、ウォールストリートでのトレーダーとしてのキャリアもあります。

SmartGift では、将来を見据え、データを活用して改善を進めています。

コッカー氏は、「私たちは常にワークフローの隅々までテストし、ユーザー調査を行い、弊社の製品の中核であるミレニアル世代の人たちを引き込みます。そのためには、ハード面とソフト面の両方のデータが重要になるのと同時に、

新しい考え方と行動を奨励することで、イノベーションを促すことも大切です。

私たちは、20 世紀のマネジメント原則に従って運営しているわけではないのです」と語り、イノベーションを起こすために、業界をまたいで相互にアイデアを出し合うことを提案しています。

また、女性にはそれを可能にする能力があると信じています。

「研究によると、女性はリーダーシップの取り方において、男性より開放的で表現豊かである傾向があることが分かっています。1 つはコミュニケーション・スキル、つまり人の話を聞くスキル。2 つ目は問題解決スキル。そして 3 つ目は優秀で楽しいチーム環境を築くための能力。この 3 つに尽きますね」とコッカー氏。

さらに、「より多くの女性をテクノロジー分野に招き入れるには、幼少期のころから STEM 教科に関心を持たせることです。少女たちに本格的な科学に触れさせれば、発育期に数学やロボット工学の素晴らしさに目覚め、やがて大人になってから同僚や性別のプレッシャーに屈してしまうこともなくなるでしょう」と語っています。

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プラチ・グプタ氏

2010 年に LinkedIn 社にソフトウェア・エンジニアとして入社したプラチ・グプタ氏は、現在、エンジニアリング部門のディレクターとして、会社のグループ製品のための技術ロードマップと戦略的ビジョンの責任を担っています。彼女は自身の成功について、女性を支援、指導してくれる企業文化のおかげでもあるとして、こう語ります。

「LinkedIn 社のエグゼクティブ・チームは意識がとても高く、キャリア形成の支援に本当に気を配ってくれます。

私の仕事は、チーム全員にビジョンと目標を理解してもらうこと。目標を達成するのに必要なツールを提供し、必要に応じて障害を取り除きます」

イノベーションを刺激することの重要性を指摘する彼女は、

月に 1 度、「数日間」にわたって、新しいスキルを学んだり、プロトタイプを作成する時間を従業員に提供しています。LinkedIn 社は、Hack Day (プログラマーたちが集まり新しいテクノロジーを紹介するイベント) のコンテストのスポンサーでもあり、グプタ氏自身はこのコンテストで何度も入賞しています。

LinkedIn の [in]cubator プログラムは、グプタ氏が共同創設したものです。これは、従業員がチームを組み、プロジェクトのアイデアを企業幹部に対してアピールできるというプログラムです。有望なプロジェクトを提案したチームには、3 カ月間かけてそのプロジェクトを進めることが許されます。

「私たちはよく言うのです。測定できなければ改善もできませんよと」と語るグプタ氏は、改善は継続的でデータ主導であるべきだと主張します。

LinkedIn 社の Women in Technology Initiative もグプタ氏が共同創設したものです。ここでは、LinkedIn で働く女性たちを少女や若い女性の模範として機能させることによって、テクノロジー分野における男女比の問題に取り組んでいます。

グプタ氏は、自身が LinkedIn 社で出会ったような企業文化を探すよう、女性たちにアドバイスします。「成功している女性や、会社でリーダー的地位にいる女性を探すのです。そんな女性を見つけたら、そこが、あなたに投資し、あなたの成長を支援してくれる場所かもしれません」

IIM-India

変化の兆し

現在の予測では、2022 年にはコンピューティング関連の仕事が 120 万にも及ぶとされています。次世代の女性コンピューター技術者には数多くの機会がもたらされるでしょう。

かつては自分の席に座るのもためらっていたブラウンは、ここ数年の変化を感じています。

「強い女性がこの業界全体から生まれつつあります。時代は変化しているのです」

 

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